fbpx
Local Prime

TOPIC/読み物

『書写山圓教寺』ロープウェイで気軽に行ける紅葉・新緑が美しい大伽藍

(写真提供:書寫山圓教寺)
(写真提供:書寫山圓教寺)

『書寫山圓教寺(書写山円教寺)』。世界遺産・国宝姫路城とならぶ、姫路を代表する観光スポットです。 「西の比叡山」とも呼ばれる千年の古刹(こさつ)であり、新緑・紅葉の名所として、また映画や大河ドラマなどのロケ地としても知られています。 山上へのロープウェイやおよそ1Kmの参道を迂回するマイクロバスもあり、気軽に参拝できるのもうれしところ。 自然に囲まれた信仰の世界。街中とは違う空気感。特別なひとときが体験できます。

千年の古刹「書写山円教寺」

書寫山圓教寺

姫路で育った人には、なじみ深いスポット『書寫山圓教寺(しょしゃざん えんぎょうじ)』(以下、書写山円教寺)。今も昔も小学校の林間学校でおなじみです。

書写山円教寺の創建は康保3(966)年。開基・性空(しょうくう)上人が、紫雲に導かれ入山し、天人が岩山の中腹にあった桜の木を拝むのを見たことから、生木に観音像を刻まれたのが始まりといいます。以来、1000年を超える歴史があります。
正式名は「天台宗別格本山 書寫山圓教寺」といい、名前の通り天台宗の中でも特別な位置づけをされている寺院です。
西国三十三所観音霊場(最も歴史があるとされる観音巡礼)の第二十七番札所で、札所寺院の中で最大規模。比叡山、大山とともに天台宗の三大道場と称され、京都からも皇族や貴族らが多く訪れている「西の比叡山」とも呼ばれる信仰の地です。

2024年度のNHK大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部を主人公にしたドラマで、まさに書写山円教寺が誕生した時代の話です。 花山法皇は、性空上人に結縁(けちえん、仏法と縁を結ぶこと)を求めて訪れ「圓教寺」の寺号を授けるなど深く関わりのある人物。歌人の和泉式部は、紫式部とともに仕えていた中宮彰子と訪れています。書写山円教寺が誕生した時代が、どのように描かれるか楽しみです。

巡礼道に和泉式部との逸話が紹介されている
巡礼道に和泉式部との逸話が紹介されている

後の時代には、源義経に従った武蔵坊弁慶がこの地で修行した逸話とともにゆかりの品々が今も伝えられ、戦国時代には羽柴秀吉の軍が布陣するなど、多くの歴史が積み重なった場所でもあります。

「弁慶のお手玉石」とも呼ばれる「護法石」
「弁慶のお手玉石」とも呼ばれる「護法石」

書写山円教寺の見どころ

「書写山ロープウェイ」

書写山円教寺は、標高371メートルの書写山山上にあるものの「書写山ロープウェイ」を利用すれば約4分で行けます。
山上駅には、展望デッキ「ミオロッソ書写」があり、姫路の市街地が一望できます。開運の「かわらけ投げ」もあるので、ぜひ挑戦してみてください。

奥に志納所がある
奥に志納所がある

ロープウェイの山上駅を降りてから巡礼道が続きます。
途中、志納所があり志納金500円を支払い入山。ここから摩尼殿下までプラス500円(往復)で巡回マイクロバスが利用できます。

広い境内には、国や県の重要文化財に指定された建物がいくつもあり、境界のようなものはありませんが、大きく3つのエリアに分かれています。

「西国三十三箇所霊場めぐり」

ひとつは、仁王門から十妙院にかけての「東谷」。仁王門までは、巡礼道(東坂)が続き「西国三十三箇所霊場めぐり」ができるようになっています。

仁王門。モミジが美しい場所でもある
仁王門。モミジが美しい場所でもある

仁王門から先が境内。不思議と空気が変わったような気持ちになります。

摩尼殿に掲げられたご詠歌
摩尼殿に掲げられたご詠歌

書写山円教寺のご詠歌に「はるばると登れば書写の山おろし 松の響きも御法(みのり)なるらん」とあるように、まさに風に揺れる松の枝の音すら祈りの言葉に聞こえてくるという境地を感じることができます。

巡礼道の途中、開けたところにベンチがあり、休憩ができます。

ここからはロープウェイからでは見えなかった姫路城の天守が見える
ここからはロープウェイからでは見えなかった姫路城の天守が見える

巡回マイクロバスに乗ると、今紹介した参道は通りません。ただ、参道は急な坂が続き、歩きやすいところではないので、ご年配の人やベビーカーを利用の人、体力に不安な人はマイクロバスの利用をオススメします。

専用道を走る巡回マイクロバス。巡礼道から撮影
専用道を走る巡回マイクロバス。巡礼道から撮影

東谷の先にあるのが、摩尼殿(観音堂)を中心とした「中谷」。清水寺(京都市)と同じ、崖や岩肌に建築する日本独特の建築様式である「舞台づくり」(懸造(かけづくり)、掛造り(かけづくり)などともいいます)の摩尼殿に圧倒されます。

摩尼殿前

特に紅葉シーズンの見応えは抜群。下から眺めるのもよし、舞台から眺めるのもよし。秋を満喫できるスポットです。

摩尼殿前には、軽食やお土産物を販売する「はづき茶屋」があります。

(写真提供:書寫山圓教寺)
(写真提供:書寫山圓教寺)

最後に、3つの堂や奥之院のある「西谷」があります。

摩尼殿から3つの堂に至るルートは2つあり、摩尼殿の下から行くルートと摩尼殿裏を通るルートがあります。

摩尼殿裏からのルート

個人的には、摩尼殿裏からのルートで行くのがおすすめ。ワクワクするような雰囲気のある社殿後ろを通り抜ければ、千年杉と呼ばれる大木や映画『ラストサムライ』にも登場した大仏様など、緑に囲まれた気持ちのいい道になっています。

三之堂

「三之堂(三つのお堂と混同されることがあるが「三之堂」という固有の名称)」は、コの字型に並んでいて、左から舞殿のある常行堂、長大な二階造りの食堂(じきどう)、二層屋根の大講堂。いずれも国指定重要文化財です。

2023年10月16日撮影。まだ青モミジだが紅葉が待ち遠しい
2023年10月16日撮影。まだ青モミジだが紅葉が待ち遠しい

コの字のもう一辺には、五重塔がありましたが1331(元徳3・元弘元)年の落雷で焼失。現在は、姫路の藩主であった本多家廟所があります。

常行堂の裏へとまわり、鐘楼や金剛堂があるあたりは、美しい紅葉が見られます。弁当持参で訪れたなら、展望公園あたりで景色を楽しみながら味わうのもいいでしょう。

2023年10月16日撮影。鐘堂。モミジが色づき始めていた
2023年10月16日撮影。鐘堂。モミジが色づき始めていた
2007年撮影。金剛堂
2007年撮影。金剛堂

摩尼殿や三之堂を見て回るだけでも、所要時間は約2〜3時間。 他にも、奥の院や書写山山頂あたりまで行けば白山権現(十一面堂)など、見どころはまだまだあります。

奥の院・開山堂の軒を支える金剛力士像。左甚五郎の作と伝わる
奥の院・開山堂の軒を支える金剛力士像。左甚五郎の作と伝わる

ベストシーズンは紅葉シーズン

書写山円教寺が最もにぎわうシーズンは、秋。紅葉シーズンです。10月下旬か11月末までは、境内はもちろん、書写山ロープウェイの車内からも紅葉が楽しめます。

瑞光院の門前。2007年撮影
瑞光院の門前。2007年撮影

境内には、紅葉の見どころがたくさんあります。杉や松などの常緑樹の木漏れ日を浴び、赤や黄色のグラデーションを見せてくる紅葉の美しさを、あちらこちらで見かけることができます。
毎年、11月の中頃には「書写山もみじまつり」が開催されます。通常非公開の重要文化財の特別公開や夜間にライトアップが行われます。

書写山もみじまつりで公開される十妙院の庭を塀の外から撮影
書写山もみじまつりで公開される十妙院の庭を塀の外から撮影

期間中は、駐車場が満車になり1〜2時間の駐車場待ち渋滞が発生します。ロープウェイの混雑よりも、とにかく駐車場待ちの渋滞が大変。秋の行楽シーズンとも重なり、姫路城から書写山までのルートおよび周辺道路一帯が混雑します。
混雑を避けるならば、ロープウェイの始発が8時30分からなので、できるだけ早い時間に行かれることをおすすめします。
路線バスについては、ある程度優先して走行ができるのと駐車場には入りませんので、できるだけ路線バス(神姫バス)の利用をご検討ください。

(写真提供:書寫山圓教寺)
(写真提供:書寫山圓教寺)

書写山もみじまつり2023
【日時】2023年11月17日(金)〜19日(日)
【期間限定特別公開】十妙院・木造性空坐像(開山堂)・天井絵(金剛堂)、いずれも国指定重要文化財
【期間限定特別公開時間】10時〜16時
※18日(日)14時から特別奉納公演和太鼓演奏あり
※期間中17時から20時まで摩尼殿周辺でライトアップ
【書写山ロープウェイ営業時間】
(もみじまつり期間中の11月17日から11月19日は夜間延長運行を実施)
上り始発8時30分 下り最終20時30分        

御朱印ファンに耳寄りな情報があります。
2023年秋(10〜11月)限定で「錦秋御朱印」が登場しています。

摩尼殿の錦秋記念御朱印
摩尼殿の錦秋記念御朱印
大講堂の錦秋記念御朱印(右)
大講堂の錦秋記念御朱印(右)

書写山円教寺を楽しむイベント

書写山円教寺では、多くの行事が行われています。寺社としての大切な行事がいくつもあるのですが、一般参詣者でにぎわう主なものには、次のようなものがあります。
・12月31日・1月1日 年越し・初詣(書写山ロープウェイ12/31大晦日夜間〜1/1初日の出早朝運行夜間運行あり)
・1月18日 修正会(しゅしょうえ)
・2月3日 節分会(せつぶんえ)・星祭
・5月上旬 書写山新緑まつり
・11月中旬 書写山もみじまつり
これらの他に、2023年の8月には「ゆめさき夢ランタン祭り」が開催されるなど、さまざまな企画が催されているので、公式サイトやSNSなどで情報を確認ください。

修正会で使われる道具や衣装。食堂2階(宝物階、拝観無料)に展示
修正会で使われる道具や衣装。食堂2階(宝物階、拝観無料)に展示

写経体験は毎日可能です。般若心経の写経(費用は1000円)は1時間ほどかかりますが、花びらをかたどった散華(さんげ)のかたちの色紙におこなう「花びら写経」(300円)は、10分程度でできるとあって人気です。

また、毎日の祈祷会はSNSでライブ配信されています。

書写山円教寺へのアクセス方法

書写山円教寺へのアクセスは、車かバスになります。
車の場合は、カーナビで「圓教寺」や「円教寺」で検索しても出てきません。出てきても山の上で行けません。
麓の書写ロープウェイ乗り場のとなりにある「書写の里美術工芸館(tel.079-267-0301)」で検索ください。書写ロープウェイ乗り場の横には、約270台(普通車)の無料駐車場があります。多いように感じますが、紅葉シーズンなど行楽シーズンは満車になります。

公共交通は、路線バスが2系統あります。
姫路駅(北口)バスターミナルの10番乗り場から「書写山ロープウェイ行き」で終点、もしくは、18番乗り場から「書写西住宅・山崎方面行き」で書写郵便局前が運行しています。両系統合わせて、日中は1時間に約3便あります。

18番乗り場から「書写西住宅・山崎方面行き」で書写郵便局前

書写山ロープウェイ麓駅と書写ロープウェイバス停は徒歩ですぐ。書写郵便局前までは徒歩約7分です。帰りに書写ロープウェイバス停が混雑している場合は、書写郵便局前の利用をおすすめします。

また、お得な切符もあります。

「書写山ロープウェイセット券」

「書写山ロープウェイセット券」
書写山ロープウェイの往復乗車券と姫路駅北口までの路線バス往復券。
料金 大人1,420円(小児710円)。
通常より大人料金で140円安くなり、ロープウェイ乗り場での切符購入の手間が省けます。
姫路へ宿泊込みで訪れる人には「しろのまちめぐり2DAYきっぷ」
市内中心部バス2日間乗り放題に書写山ロープウェイ往復券セット
料金 大人(1,600円(小児800円)。


購入場所は、姫路駅北口バスロータリーからすぐの「キュエル姫路」1階で販売しています。朝8時から20時(土日祝は18時)まで営業。ちなみに「書写山ロープウェイセット券」は現金のみでの購入になるので、お気をつけください。

ローカルプライムのYouTubeチャンネルでも紹介していますので、参考にしてください。

訪日外国人には、1日1,000円で乗り放題になる「Hyogo Amazing Pass」が便利でオトクです。
詳しくは、Mobersを参照してください。

Mobers/Hyogo Amazing Pass

(ライター 塚本)

※本記事は2023年10月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

書寫山圓教寺(書写山円教寺)

住所兵庫県姫路市書写2968
電話番号079-266-3327
営業時間冬季 8時30分~17時
春〜秋季 8時30分〜18時(日祭日は延長あり)
定休日無休(書写ロープウェイ運休日あり)
志納金一般(中学生以上)500円、小学生300円、未就学児童は無料、
プラス500円で巡回マイクロバス(往復)が利用可能
HPhttp://www.shosha.or.jp
SNSFacebook  https://www.facebook.com/ShoshazanEngyoji
Instagram  https://www.instagram.com/shoshazan_engyouji/
X(旧Twitter)  @engyouji_shosha

書写山ロープウェイ

住所兵庫県姫路市書写1199番地の2
電話番号079-266-2006
営業時間始発便8時30分から15分間隔で運行、
最終便は時期により変動あり(公式サイトを参照)
https://www.mt-shosha.info/category/charge/index.html
定休日定期検査・整備のため、例年2月頃に長期運休
(2024年は2月13日(火)~3月13日(水))
料金大人 片道600円 往復1,000円 小人 片道300円 往復500円
姫路駅北口から路線バスとセットになった
「書写山ロープウェイセット券」(大人1,420円、小児710円)あり
アクセス(車)山陽自動車道 「山陽姫路西インター」からの場合 東に5.5キロ、
姫路バイパス「中地ランプ」からの場合 北西に7.5キロ、
中国縦貫道「夢前スマートインター」からの場合 南に11キロ
アクセス
(バス)
神姫バス姫路駅北口「10番のりば(8系統)」から
「書写山ロープウェイ(圓教寺)行き」で約30分
駐車場普通車約270台、無料
HPhttps://www.mt-shosha.info
SNSFacebook  https://www.facebook.com/mt.shosha/
Instagram  https://www.instagram.com/mt.shosha_ropeway/
X(旧Twitter) https://twitter.com/SRopeway/
YouTube              https://www.youtube.com/@user-mx3bo4xp8w

ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)

姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。

TOPへ