fbpx
Local Prime

TOPIC/読み物

刻一刻と表情を変える海と空を眺める贅沢な時間 自然とアートが融合した1日2組限定の宿【今井荘】

「今井荘」

赤穂御崎の海の家として一世代を築いた民宿「今井荘」が、沖縄在住のアーティスト・梅原龍氏のプロデュースにより、カフェとしてリニューアルオープンしたのは2012年。その2年後、2014年に同じく梅原氏が手がけ、2部屋だけの宿としてオープンしました。オーシャンビューの部屋からは、のんびりと海と空を眺めることができ、日常の喧騒から離れた特別な時間を過ごすことができます。

波打ち際まですぐの立地

福浦海岸がすぐ目の前
福浦海岸がすぐ目の前

赤穂御崎は、小豆島や家島諸島など瀬戸内海の島影が美しい景勝地です。赤穂御崎の中心地、温泉街付近を起点とする海沿いの遊歩道は「今井荘」がある福浦海岸にも続いています。

細い路地を抜けると素晴らしい景観が広がる
細い路地を抜けると素晴らしい景観が広がる

バス通りから、旧御崎小学校跡の駐車場方面へ下り、海へ向かう路地を通って「今井荘」へ。かつての民宿の看板が目印です。

休憩所の名残がいい味をうんでいる
休憩所の名残がいい味をうんでいる

「今井荘」のシンボル的なこの景観。映えるでしょう。海の家時代の休憩所の名残ですが、ここから見える海と空がまた美しい。まさに絵になる風景なんです。

現在の今井荘の外観
現在の今井荘の外観

民宿時代の看板は残しつつ、見事に生まれ変わった「今井荘」。オープンしてからも、少しずつ手を加え、アップデートしています。

海水浴場の海の家として大賑わい

改装前の今井荘(2010年頃)
提供画像:改装前の今井荘(2010年頃)

昭和30~40年頃、福浦海水浴場の海の家として盛隆を極めていた「今井荘」は、休憩所はもちろん、ロッカーやシャワー室、脱衣所を備えた民宿でした。

休憩所もにぎやか(2010年頃)
提供画像:休憩所もにぎやか(2010年頃)

海が目の前に広がるこのスペースは、ひさしを付けてゴザを敷いた休憩所。貸しボートなどもやっていたそうです。名物はおでん。昔を知る赤穂の人たちは、当時の今井荘をとても懐かしがります。

2010年に今井荘リニューアルプロジェクトがスタート

現在は沖縄に在住している梅原龍さん
現在は沖縄に在住している梅原龍さん

3代目のオーナー、今井崇文さん・良子さん夫妻は「瀬戸内ののどかなところ、美しい海が見える風景をもっといろいろな人に知ってほしい、のんびり過ごせる場所ができたら」と常々思っていたそう。そんな今井荘に転機が訪れたのは、2010年のこと。埼玉県出身の画家・梅原龍さんとの出会いでした。当時、梅原さんは、北海道から沖縄まで年8~10回程度展覧会を行っていました。今井夫妻は、梅原さんの赤穂での展覧会を見て、さらに日本や世界を旅した話を聞いて衝撃を受けたそう。梅原さんに手紙を書いて、新生・今井荘のプロデュースを依頼しました。

カフェをしていたころの1階部分
カフェをしていたころの1階部分

まずは、1階部分をカフェにリノベーションして2012年にオープンしました。カフェに置かれた大きなテーブルは梅原さんがデザインをして、大阪在住の作家さんにオーダーメイドしたものです。
※カフェは現在休止中

梅原さんが壁にペイントした絵もステキ (2012年頃)
梅原さんが壁にペイントした絵もステキ (2012年頃)

世界中でいろいろなものを見てきた梅原さん流に旅の要素を取り入れ、ボートの櫂や漁で使っていた籠など海の家の備品をオブジェとして残しつつ、新しいものを取り入れた斬新な空間ができあがったのです。

今井荘の展示室(2017年頃)
今井荘の展示室(2017年頃)

1階の更衣室だったスペースは、2017年には「今井荘の展示室」としてギャラリーに改装し、料理に使っている器やコーヒーなどを販売する空間へと変わりました。現在は「今井荘の図書室」として、滞在中に読んだりできる旅、料理、コーヒーの本などを選書して置いています。

1日2組だけ泊まれる宿へリノベーション

提供画像

2階は1日2組だけ泊まれる宿としてリノベーションし、2014年にオープンしました。2階は木造部分で、築70年の建物には大きな柱や梁がありましたが、柱をうまく抜いて、ワンルームに。「建築の”け“の字も知らないからできたんでしょうね」と梅原さんは笑いますが、インドネシアのジャワ島へ自ら行ってオーダーメイドしたドアや、買い付けてきた調度品の数々は、他にはない今井荘のインテリアとして見事になじんでいます。

提供画像

朝日が出るころは、季節によりこんな感じで大きな窓から太陽の光が降り注ぎます。

提供画像

朝焼けの時間になると、こんな空や海の色を楽しむことができます。同じ部屋から見える景色なのに、季節や時間、もちろん天候によっても全く異なります。
こうやって、ただ海や空を眺める時間がたまらなく贅沢なんです。

部屋のなかのバスからも海と空が眺められる
部屋のなかのバスからも海と空が眺められる

部屋のバスはインドネシアのタイル張り。バスタブからも海と空の景色を見ることができます。そんな時間も非日常ですよね。

1階もどんどんアップデート

朝食(イメージ)
提供画像:朝食(イメージ)

食事は1階カフェでいただきます。夕食・朝食ともオプションですが、朝食は「あこうぱん」のパンを使ったフレンチトーストや季節の野菜サラダなど、夕食は旬の食材を使った家庭料理です。

1階テラス
1階テラス

1階の西側部分もアップデートしたスペースの一つ。空間を贅沢に使い、海を見ながら食事をすることができます。

昔は、冬になれば炬燵を置いていたこともあった入り口横のスペースです。ここは基本的に宿泊者専用で、クッションを背もたれにしながら、ひなたぼっこをするなど、ゆっくり過ごすのに最適です。

ボートの櫂や壁画も毎年アップデート
ボートの櫂や壁画も毎年アップデート

こんな「今井荘」の醍醐味を知るリピーターも多く、毎年12月31日に来て、今井夫妻と一緒に新年を迎え、次の年の予約をして帰るお客さん、自分たちが好きな季節になると訪れる関東からのお客さんもいるそう。「都会は作られた風景だけどここは自然の風景だからゆっくりできる」といわれることも。「関西で雑貨屋を営むお客さんと仲良くなって、私たちがそのお店を訪れることもあって。そんな交流も楽しいですね」と良子さん。
自然の美しさを楽しむだけでなく、人との交流も広がる特別な空間ともいえます。

恒例の展覧会や音楽イベントなども開催

梅原龍さんの展覧会のようす
梅原龍さんの展覧会のようす

「行ってみたいけど宿泊しないと今井荘には行けないの?」という方には、定例の展覧会や不定期のイベントをご案内します。
毎年9月には、梅原龍さんの展覧会を開催しています。写真は2018年9月14日~22日開催の「梅原龍作品展 真夏の海に浮かぶ月」のようす。1階スペースに作品が並び、龍さんが作るランチメニューなどをオーダーすることができます。2023年9月の「梅原龍 椿 作品展 我が永遠の花と羊」では、龍さんの旅ごはんランチやパフェ、似顔絵ポートレートなどのイベントもありました。壁画のライブペイントをすることもあるそうです。2018年から自家焙煎をはじめた崇文さんが淹れるコーヒーを飲むことができるかも。
その他、2023年から2024年にかけては、「Kupu knit展-Le momet-」(2024年1月27日~31日)、「風とたわむれ光にまどろむ」(2023年6月2日~5日)、「LA DANSE AU SOLEIL」(2023年5月26日~28日)、「夏の私と帽子展」(2023年4月20日~24日)といった企画展がありました。今後の予定はSNSなどをチェックしてくださいね。

2024年には一棟貸しの宿にも着手

梅原龍さん(中央)と今井夫妻
梅原龍さん(中央)と今井夫妻

「都会は作られた施設のなかで遊ぶだけだけど、ここは自然と向き合えるとことがいい。田舎ならではの旅の楽しみができる。大型ホテルではできない楽しみ方。ナンバー1ではなくオンリー1の空間ですね」と梅原さん。今井荘ならではの空気感や抜け感は来てみてこそわかること。
2024年は、民宿だった東側部分をリノベーションして、同じく梅原さんプロデュースで一棟貸しの宿も作るそうです。キッチン付なので、おいしい食材を買ってきて自分たちで調理もできる宿。海沿いの遊歩道を通って、イタリアンの名店「SAKURAGUMI」にも行けるので、そこにご飯を食べに行くのもアリだし、冷凍ピッツァを購入して、キッチンで温めるのもアリ。 「岡山を中心に定期的に開催されている瀬戸内国際芸術祭に、一番東側のエリアとして今井荘を拠点に赤穂御崎全体で参画できたらいいですね」とみなさん。自然とアートが融合した、ここにしかない特別な宿、それが今井荘です。

(ライター 歌見)

※本記事は取材時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

今井荘

住所兵庫県赤穂市御崎550-2
電話番号0791-42-3549
営業時間チェックイン15:00
チェックアウト10:00
定休日不定休
アクセスJR播州赤穂駅からウイング神姫<亀の井ホテル赤穂行き>で20分、
西山町下車徒歩5分
山陽自動車道赤穂ICから車で約15分
駐車場20台
SNShttps://www.facebook.com/imaiso
https://www.instagram.com/imaiso_ako_/
歌見さん

ライター 歌見(うたみ)

晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。

TOPへ