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特別展「海洋堂と博物館」
特別展「海洋堂と博物館」は、兵庫県立歴史博物館開館40周年記念&姫路城世界遺産登録30周年記念特別展として開催されています。開催期間は2023年7月15日(土)から9月3日(日)まで。
開館初日の7月15日には開会式が行われ、斎藤兵庫県知事や株式会社海洋堂の宮脇修一取締役専務らが出席されました。
入館してまず目に入るのが、エントランスの記念撮影スポット。右側にエヴァンゲリオン初号機、左側は「新横浜ありな」という2004年にイタリアのヴェネチアで開催されたヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展の日本館のカタログ付録として制作されたフィギュアの巨大版です。どんな役割を果たしたのかは、展示の中で解説されています。
その間にある白い像は、株式会社海洋堂の宮脇専務の愛称が付いた「センム像」。実にソックリです。
本展は「第一部 海洋堂のあゆみ」「第二部 海洋堂と日本文化」「第三部 海洋堂と博物館」の三部からなり、最後に「海洋堂からの挑戦状」としてクイズ形式の展示構成になっています。
「海洋堂と博物館」展示内容を簡単に紹介
第一部では「海洋堂のあゆみ」が紹介されています。日本を代表するフィギュアメーカー誕生の歴史を作品とともに振り返ります。
海洋堂は1964(昭和39)年に大阪守口で一坪半の小さな模型店から始まりました。創業者は現専務の父。アイデアマンで昭和40年代、帆船模型の完成品を立派なケースに入れ、高度成長で好況だった企業に装飾品として販売するなど商才を発揮し事業を大きくしていきます。
その後、現在の本社がある門真市に「海洋堂ホビー館」を創設。特撮ブームの影響から、マニアたちの間で「ガレージキット」(自分達で1から作る少量生産の模型)が生まれ、海洋堂でも趣味の延長線上で作って販売するようになったのが、フィギュアメーカーとしての海洋堂の始まりです。当時の「ガレージキット」が展示されています。
この状態から色を塗り質感のある作品に仕上げるのかと思うと、素組のプラモデル経験しかない身にとっては信じ難い商品です。
その後、ソフトビニール製のガレージキットや、アメリカ製のアクションフィギュアが人気になると、海洋堂は日本製のアクションフィギュアを開発。可動領域をあえて限定することでポージングを決めやすくするなど、その独創性で海洋堂の名が高まっていきます。
極めつきは食玩。中におもちゃが入った「チョコエッグ」という商品で「フィギュア」という言葉を定着させ、現在の地位を確立しています。手をチョコだらけにして楽しんだ思い出をもつ人も多いのではないでしょうか。昨今は、さまざまなカプセルフィギュアが人気です。
第一部の展示は、何気なく見るのではなく、これらの点を意識してみるとより一層楽しめます。
第二部「海洋堂と日本文化」では、日本で古くから二次元の世界で描かれてきた妖怪や浮世絵などを造形化した経緯やその時に経験した発見から得た、日本文化やモノ作りの伝統に対する考えや取り組みを見てとれます。
二次元作品までもフィギュア化し、絵では見えない部分まで形とするフィギュア原型師の想像力には驚かされます。
仏像フィギュアに力を入れていく経緯なども、楽しめることでしょう。兵庫県立歴史博物館収蔵の多聞天立像とフィギュアの見比べができる展示になっています。他にも自在置物(金属板を素材とした精巧な細工物)では、海洋堂の作品だけではなく、昭和に明珍火箸の明珍宗之氏が作られた作品(兵庫県立歴史博物館蔵)も展示されています。
海洋堂が考えるホビー業界の使命
第三部「海洋堂と博物館」では、ジオラマの展示が多くあります。これは「海洋堂ホビー館」を創設した頃、アメリカの帆船模型で有名な会社の社長の言葉に感銘を受け「人類の遺産、地球の遺産を再現することがホビー業界の使命」という考えを持つようになったことに関係します。
ジオラマとは、光を当てると絵柄が変わる絵(透かし絵)を見せる見世物を指していた言葉(それを体験できる展示もあります)。現在では情景を再現した模型の名称に使われています。本展では、創業者の宮脇修氏が考案し「海洋堂フィギュアミュージアム黒壁」(滋賀県長浜市)で展示されている「ボックスジオラマ」が多く展示してあります。
他にも、フィギュア水族館や伊藤若冲の絵画をフィギュア化したもの、大英博物館や国立博物館などの所蔵品フィギュアがあります。まさに「人類の遺産、地球の遺産を再現」。美術館や博物館で展示されているものを食玩やカプセルフィギュアで再現する海洋堂の技術を実感できます。
見て買って楽しむ「海洋堂と博物館」
第三部「海洋堂と博物館」では、ジオラマの展示が多くあります。これは「海洋堂ホビー館」を創設した頃、アメリカの帆船模型で有名な会社の社長の言葉に感銘を受け「人類の遺産、地球の遺産を再現することがホビー業界の使命」という考えを持つようになったことに関係します。
ジオラマとは、光を当てると絵柄が変わる絵(透かし絵)を見せる見世物を指していた言葉(それを体験できる展示もあります)。現在では情景を再現した模型の名称に使われています。本展では、創業者の宮脇修氏が考案し「海洋堂フィギュアミュージアム黒壁」(滋賀県長浜市)で展示されている「ボックスジオラマ」が多く展示してあります。
他にも、フィギュア水族館や伊藤若冲の絵画をフィギュア化したもの、大英博物館や国立博物館などの所蔵品フィギュアがあります。まさに「人類の遺産、地球の遺産を再現」。美術館や博物館で展示されているものを食玩やカプセルフィギュアで再現する海洋堂の技術を実感できます。
見て買って楽しむ「海洋堂と博物館」
本展を見ていると欲しくなるものもがいくつもあります。もしかすると、欲しいと思ったものが買えるかもしれません。
エントランスにはカプセルシリーズのガチャコーナー、受付には販売コーナーもあります。今回の特別展のパンフレットもおすすめです。解説が多く読み応えがあります。
海洋堂がどのような作品を作っているかだけではなく、その取り組み方や社会的に果たしてきた役割、さらには博物館との関わりなどがまとめられた見ごたえのある展示です。
フィギュアとは何か、ジオラマとは何か、さまざまな気づきとともに、フィギュアの世界観が広がっていきます。
兵庫県立歴史博物館や常設展示については、別記事で紹介していますので、合わせてお読みください。
兵庫県立歴史博物館へのアクセス
兵庫県立歴史博物館があるのは、世界文化遺産・国宝姫路城の北東。姫路市立美術館や姫路市立図書館があるエリアです。JR・山陽電車姫路駅から徒歩約25分。バスの場合は、神姫バスの姫路医療センター経由系統で約8分「姫山公園北・博物館前」下車すぐです。
姫路城周辺の観光と合わせて楽しむなら城周辺観光ループバス(通称:姫路城ループバス)がおすすめ。1回100円で、姫路駅(北口)から約8分「博物館前」で下車すれば目の前です。
姫路城ループバスについては、こちらの記事を参考にしてください。
桜の姫路城を100円でぐるりと満喫!姫路城ループバスでお花見を
(ライター 塚本)
※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
兵庫県立歴史博物館
イベント | 兵庫県立歴史博物館開館40周年記念&姫路城世界遺産登録30周年記念特別展 「海洋堂と博物館」 |
開催期間 | 2023年7月15日(土)から9月3日(日) |
観覧料 | 一般1,000円、大学生700円、高校生以下は無料 |
住所 | 兵庫県姫路市本町68番地 |
電話番号 | 079-288-9011 |
開館時間 | 10時~17時(入館は16時30分まで) |
入館料 | 1階 無料、2階常設展示 一般200円、大学生150円、 高校生以下は無料、特別展等開催時は特別料金あり |
定休日 | 毎週月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館。翌平日が休館)、 年末年始(12月29日〜1月3日)、その他特別休館あり |
アクセス | 徒歩 JR、山陽電車姫路駅から徒歩約25分 神姫バス 姫路医療センター経由系統で約8分 「姫山公園北・博物館前」下車すぐ、または城周辺観光ループバスで約8分 「博物館前」下車すぐ |
駐車場 | なし(周辺の有料駐車場を利用) |
公式サイト | https://rekihaku.pref.hyogo.lg.jp |
SNS | Instagram https://www.instagram.com/hyogo_pref_museum_of_history/ Facebook https://www.facebook.com/hyogorekihaku/ YouTube https://www.youtube.com/channel/UC0nFk0uDiKCvaaxBpO-3JSw |
ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。