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明石駅からすぐのアクセス
淡路島と海峡を挟んで向かい合う街。大阪湾と播磨灘を区切る明石海峡は一番狭いところで3.6km、深さは110mあります。潮の干満に伴って潮流が激しく、大潮の時には7ノット(時速約13km)にもなるといわれます。そんな潮目には海の栄養が集まって、魚が多く寄ってきます。そしてその激しい潮に揉まれておいしくなった魚が獲れる明石の漁港、すぐ近くにある魚の棚(うおんたな)商店街は、全国でも有名な明石を代表する商店街です。
JRと山陽電鉄が寄り添ってるような明石駅を出ると、正面に虹色の長い階段が見えます。ご安心ください、エスカレーターもあります。「パピオスあかし」という商業施設ですが、ここを通り抜けて魚の棚商店街まで直結、雨に濡れないで行けるようになっています。
宮本武蔵との歴史
魚の棚東商店街の理事長、安原さんに伺ったところ、商店街の歴史は400年以上。宮本武蔵がこの地域の町割りをしていく中で、魚を売る地域として「東魚町」という町を作ったのが魚の棚の起源なんだそう。
明石の漁港がすぐそこ、という立地。なにより商店街の名前がそもそも「魚の棚」ですから、当然のように街全体が海産物推しです。真ん前の海峡で獲れた魚がすぐにお店に並びます。昔から県内の内陸部、海のない地域の人々も海産物を求めて明石にやってくる、ということが多かったといいます。
明石は淡路島と、昔は一つの商売圏と言えるくらいに繋がりが深かったのだそうです。淡路島に行くには必ず明石を通っていくわけで、たとえば故郷が淡路島の人がお盆やお正月に帰省するときには必ず明石で買い物をしてから渡っていくというような、そんな場所でした。また淡路島に住んでいる人が大きな病院に行こうとすると明石に渡ってくるというように、生活圏も繋がっていたのですね。
明石海峡大橋が開通すると、明石は通過されてしまうようになりました。しかし今度は橋を見に来る人、観光客が商店街に来るようになって、お客さんの層が少し変わってきたのだといいます。地元密着型から観光型へ、よりオープンな商店街に変化していったのですね。
タイルもマンホールも魚の棚です
アーケードを埋め尽くす大漁旗は、毎年秋の終わり頃からお正月、そして節分の頃にかけて飾られます。昔は漁協さんに借りていたそうですが、今はそのほとんどがお店の作ったオリジナル。たとえば明石焼のお店だったら明石焼の板が乗ってる宝船だったり、店主さんの子どもさんの名前を入れたり、それぞれにお店のメッセージが込められていたりします。お店を回るときには、それぞれの旗についてのこだわりを聞いてみるのも面白いかもしれません。
頭の上の大漁旗に目を奪われがちですが、足下にも魚の棚ならではのデザインがあります。まず、舗装のタイル。普通はたいてい四角いものですが、この商店街ならではの「魚のうろこ」の形をしています。これ、特別に作られたんでしょうね。足下いっぱいうろこだらけです。なんとなく青海波っぽくも見えます。やっぱりここは海と結びついてるなあ、と感じます。あと、マンホールの蓋が魚図鑑になっています。穴子やイカナゴなど、明石にゆかりのあるお魚たちが描かれています。
食べて、買って、弁天様にご挨拶
イカナゴというと、ちょっと前にこの辺りでは春先になるとどこのおうちでもわんさか炊いていました。イカナゴのくぎ煮というやつですね。近年は不漁になって値段が上がったので廃れてしまってますが、やっぱり春先の味覚、商店街ではしっかりと売られています。
歴史の古い商店街ということで、お店の作りも昔ながらの間口が狭くて奥行きが長い、いわゆる鰻の寝床のようになっているところが多いです。お店の奥に立ち飲み屋さんが併設されていたり、隠れ家的な居心地の良い場所を見つける楽しみもあります。
お店の横、通路のような入り口の奥に神社があるのを見つけました。厳島弁財天とあります。あの世界遺産の安芸の宮島、厳島神社から勧請された弁財天。
建物の間の、外からは完全に見えない場所に鳥居と社殿があるのですね。そしてしっかりとおみくじもあります。
これは当然引かないわけにはいきませんよね。ガラガラっと振って、はい出ました。五番、「小吉」……。いやいや、これくらいがいいんですよ、「大吉」じゃなくって。たとえば「大富豪」は羨ましいけどいろいろ目立つし命を狙われたりするじゃないですか。目立たないで裕福で楽しい日々を送れる「小富豪」辺りが一番おいしいんですって。そういうことにしときましょう。
やはり海峡も見ておきましょうか
さて、食べて買ってお詣りもして、商店街を堪能したら、ちょっと海の方へ散歩してみるのも良いかもしれません。商店街の東口から南へ下ると、すぐに錦江橋という橋があります。橋の上からは、たくさんの漁船が舫ってあるのが見えます。ここが明石の漁港ですね。奥には淡路島行きの船、ジェノバラインの船着き場も見えます。
橋を渡って突き当たり、広いコインパーキングがあります。ここは昔、淡路島へ渡る「たこフェリー」の乗り場でした。明石の人々のたこ推しはフェリーに名前まで付けていたわけで、やはり「たこ」にはリスペクトがこもってますよね。
沖合には淡路島、左手奥には明石海峡大橋も見えます。
明石の街の移り変わりを感じる海の景色を眺めながら、お土産でいっぱいの買い物袋を持って帰路に就きましょうか。(重たい。お買い物の前に来たらよかった……)
(ライター・小嶋)
※本記事は2023年2月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
明石魚の棚商店街
住所 兵庫県明石市本町1丁目1-16
電話番号 078-911-9666 (魚の棚商店街事務所・魚の駅)
営業時間 ▼ 各店舗は以下よりご確認ください
定休日 https://www.uonotana.or.jp/shop.htm
商店街事務所営業時間:10:00~17:00
アクセス https://www.uonotana.or.jp/access.htm
駐車場 近隣にコインパーキングあり
SNS ▼ 【公式】明石魚の棚チャンネル
https://www.youtube.com/@uontana888
ライター 小嶋あきら
猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。