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田植え前の恒例イベント「泥んこサッカー IN 加東市」
「泥んこサッカー in 加東市」と「さつまいもの苗植え体験」は、田植えが始まる直前のこの時期に開催している恒例イベント。今年で4回目を迎えました。
主催は、加東市の魅力度アップと交流人口の増加を目指し活動している「加東市地域の活性化推進研究会」。地元商農工会らで結成した団体で、会場内では東条川疏水がもたらす恵みや大切さを紹介するブースを設け、遊びを通じて地域の宝に親しんでもらうイベントとして開催されました。

東条川疏水とは、戦後の食糧増産のため築造された鴨川ダム(東条湖)や1934(昭和9)年築造の昭和池を水源とする約3千ヘクタールの農地に張り巡らされた広大な水路網のこと。
加東市と小野市・三木市の農業用水や水道水などを送水する施設として、この地域の生活を支える重要な資産となっています。

毎年、このイベントで欠かせない存在となっているのが、女子フットサルチーム「アルコ神戸」の選手たち。日本女子フットサルリーグの初代女王であり、日本女子フットサルリーグの初代王者であり、2019年から2020年シーズンにかけて3連覇を達成するなど、数々の優勝経験を誇る強豪チームです。
北播磨地域で農作業の手伝いや農産物の購入など、地元農家とのつながりが深いことから、イベントを盛り上げてくれています。
大切なのは勝敗よりも遊ぶこと「泥んこサッカー」

泥んこサッカーの会場となる田んぼは、ひと月以上前から準備されます。土を深く掘り起こし、危険なものを取り除き、ほどよい泥具合になるように水を入れ耕し調整。安心して楽しめる環境を用意してくれています。
前回までは地元加東市からの参加が多かったイベントですが、今回は1人での参加を可能(前回は3名1組)とするなど、参加資格を一部変更して、ひと月前から募集を開始。
2025大阪・関西万博合わせて兵庫県が取り組む「ひょうごフィールドパビリオン」のSDGs体験型地域プログラム「見て!動いて!味わって!東条川疏水博士になろう!」の一環として広く募集をかけたところ、神戸市をはじめ明石、姫路などからの多くの参加がありました。

もちろん、泥んこサッカーどころか泥んこになる経験そのものが初めての人がほとんどです。

多くの参加があったことから、6チームを編成。1チームあたり2試合(3チームでの総当たり戦)行います。試合といっても厳格なルールなどありません。とにかく泥んこになって遊ぶことが目的。楽しんだもの勝ちです。
今年は、天気も良好。若干風があり、泥まみれになった体には少し肌寒く感じるかも知れませんが、近くにはたき火も用意してあります。
さぁ、いよいよ試合開始です。

泥のコートに入る時には、恐る恐る足を踏み入れる子や満面の笑みで泥の中を進む子やさまざま。「気持ち悪っ!」と悲鳴のような声を上げながらも楽しそうです。
試合が始まれば、ボールに向かって一直線。

泥を跳ね上げながらボールを蹴ったり、蹴り損ねて尻もちをついたり、あっという間に泥だらけ。


見ている人たちからも応援の掛け声や笑い声で、大盛り上がり。今回は、早くからカメラを携えて見学に来られる人もあり、観戦者も多めな印象です。

アルコ神戸のメンバーは、試合の流れを見ながら助っ人としてサポート。子どもたちに見せ場を作ってくれます。時には、子どもたちの気迫に押され気味の時も。


戦い終わった後、子供たちからは「楽しかった!」の声がいっぱい。中には、慣れない泥とボールに向かっての押し合いに気後れしてしまう子もいたようですが、それもいい経験。日常ではできない貴重な体験は、きっといい思い出になるはずです。


子どもたちの試合後には、スタッフとアルコ神戸のメンバーが対戦。子どもたちとは違ったダイナミックな戦いでヒートアップ。今回は、引き分けに終わりましたが、来年も見られるか楽しみです。

ちなみに試合待機中の子どもたちには、サッカーボールの立体パズルを用意。退屈なんかしているヒマはありません。
苗植え体験でさつまいも株のオーナーに
泥んこサッカーと同日に開催されたのが「Bioファーム体験〜さつまいもオーナー〜」。
今回のさつまいもの苗植え体験は、1区画のオーナーとなって10株の苗を植え、10月の芋掘り体験をはじめ年間を通して水やりや草取りなどの各種関連作業が楽しめる企画として募集。いつでも自分が植えた苗を見られ、収穫が一層楽しみになるイベントになっています。
1区画分(1組)の参加費は3,000円。泥んこサッカーの参加者(参加費500円)は無料参加できるとあって、予定していなかったものの飛び入り参加する人もあり、30組ほどがさつまいも株のオーナーになられました。

苗を植える場所は、あらかじめ畝(うね:作物を植えるための細長く直線状に土を盛り上げた所)が作られマルチシート(土の乾燥や雑草が生えるのを防止する黒いシート)を敷いてくれているので、あとは苗を植えるだけ。事前の大変な作業は済ませてくれているため、初めてでも安心して植えられます。
用意されたさつまいも苗は、甘みが強い紅はるかと熟成させるとしっとりとした舌触りが楽しめるシルクスイートの2種類。どちらも人気の品種です。

畑に入る前に、まずは東条川疏水についての紙芝居を上演。畑や田んぼの水がどこから運ばれてくるのか、どんな設備があるのか、それを守る人たちのことを知ってもらいます。
テント内では、写真や事業内容の解説があり、子どもたちだけでなく大人も一緒に学んでもらう機会となっています。

いよいよ苗植えです。どのように植えるのかパネルで説明を受けてから、スコップと苗を手にして、自分の区画へと移動。区画には名前を書いた木の杭を立て、自分の畑として苗を植えていきます。

とにかくやってみようということでスタッフやアルコのメンバーと苗植え開始。大きく美味しくなれと願いを込めて丁寧に植えていきます。

さつまいも苗を植え終えた子どもたちは「楽しかった」「お芋さんを掘るのが楽しみ」と話し、これから育っていく過程も見ることができるため「買い物ついでに畑を見ようね」と、家族で話されていました。

オーナー区画以外については、スタッフとアルコ神戸のメンバーで苗植えを行いました。10月のさつまいも芋掘り体験が楽しみです。

東条川疏水の恩恵を知る体験を

この日、会場近くのにぎわい交流施設「halK(ハルク)」では、「Join halK!」が開催されキッチンカーやテント販売によるグルメブース、水遊びエリアなどが設けられ、にぎやかな1日。「泥んこサッカー」参加者には、参加特典として300円分のチケットが配布されたこともあり昼食などを楽しみました。


「北播磨地域の活性化推進研究会」をはじめ、「東条川疏水ネットワーク博物館」では、さまざまな角度から、東条川疏水を活用したPRを行っています。
今年は、2025年大阪・関西万博に合わせて兵庫県が取り組む「ひょうごフィールドパビリオン」のSDGs体験型地域プログラム「見て!動いて!味わって!東条川疏水博士になろう!」を通じ、北播磨地域はもちろん近隣地域や全国に向け、農業や生活における水の関わりやそれにまつわる先人の知恵を学ぶプログラムが用意されています。
農作物を育てる苦労や楽しさ、東条川疏水の恩恵を子どもたちが感じてくれればと願う企画ばかり。世界に発信できる地域の魅力ではないでしょうか。
2025年度の開催予定
2025年7月8日(火) 東条疏水バスツアー
2025年8月28日(木) 鴨川ダム親子探検隊
今後開催されるプログラムについては、加東市観光協会や東条川疏水ネットワーク博物館公式サイトの他、ローカルプライムでも情報を掲載していきますので、参考にしてください。
(ライター 塚本隆司)
※本記事は2025年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
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ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。