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多可町のいいところ満載モニターツアー体験記
『多可の森健康ウォーキングと播州織オープンファクトリー見学』
兵庫県のほぼ中央に位置する多可町。目立つ存在ではありませんが、実はすごいものを秘めた町なのです。 多可町の魅力を存分に知ってもらおうと日帰りモニターツアー『多可の森健康ウォーキングと播州織オープンファクトリー』が2024年2月28日に開催されました。 このツアーには「ひょうごフィールドパビリオン認定プログラム」が4つも含まれるスペシャル企画。楽しくて健康になれるツアーの様子を紹介します。
『多可の森健康ウォーキングと播州織オープンファクトリー』の概要
多可町は人口約1万9000人のまち。ここには、発祥のものが3つもあります。
それは、日本酒を造る最高峰の酒米「山田錦発祥のまち」、1300年以上の歴史ある伝統製法で作る『杉原紙発祥のまち』、そして『敬老の日発祥のまち』。お年寄りを敬い長寿を願う心が全国的に広がり祝日になるきっかけとなった、歴史と人情味あふれるまちです。
2025年に開催される「大阪・関西万博」に合わせ、兵庫県のいいところを紹介していく取り組み「ひょうごフィールドパビリオン」において、多可町は6つのプログラムが認定を受けています。
そのうち4つが今回のモニターツアーに組み込まれました。多可町の魅力を存分に感じられるスペシャルな日帰りバスツアーなのです。
日帰りバスツアーの概要は、以下の通り。
【開催日】 | 2024年02月28日(水) |
【旅程】 | 神戸三宮発(8:00発)→多可の森健康ウォーキング (『さぁ多可の森へ、こころと身体がよろこぶウェルネス体験』) →昼食:チャッタナの森(『多可のデリシャスフード』) →ソーイング竹内(『播州織産地のオープンファクトリープログラム』) →道の駅「山田錦発祥のまち・多可」での山田錦の語り部と試飲とお買い物 (『日本一の酒米「山田錦」発祥のまちゴールデンプロジェクト』) →神戸三宮(17:15頃着) 場所:川西市/猪名川河川敷 (『』内は「ひょうごフィールドパビリオン」登録プログラム名) |
【料金】 | おひとり3,000円(税込)※特別モニター価格 |
参加申し込みが多数あったため抽選の結果20名が参加されました。
がんばらない運動『多可の森健康ウォーキング』
バスが向かったのは「なか・やちよの森公園」にある渓流の広場。のどかな風景が続く多可の道を進み、山道を分け入った先にあります。バスから降りれば、美味しい空気。都市部にはない清々しさがあります。
ここで体験するのは『多可の森健康ウォーキング』。ドイツの健康保養地であるクアオルト (自然の力を使って治療する地域)で治療として利用されている「気候性地形療法」の手法を用いた、無理しない・がんばらない運動「クアオルト@健康ウォーキング」です。
今回歩くコースは、兵庫県内唯一、日本クアオルト研究所から「クアの道(健康の道)」として認定を受けたヴァルトコースです。また、多可の森健康ウォーキングは、ヘルスツーリズム(NPO法人日本ヘルスツーリズム振興機構)にも「不老長寿の道 多可の森健康ウォーキング」として認証されています。
ヴァルト(wald)とは、ドイツ語で「森」のこと。健康を考えながら美しい針葉樹の中を歩きます。
始める前に、スタート地点の「渓流の広場」で健康チェック。アンケートと血圧測定です。血圧はウォーキング終了後にも測ります。血圧が高い人もウォーキングが終われば、安定値に近づくというから楽しみです。
準備ができたら、ガイドさんから解説。若いうちからの運動が健康寿命を延ばすこと、メンタルヘルスにもただ歩くのとは違う効果が得られるというのです。
そして、準備体操とちょっと健康チェック。特に兵庫県の人は、全国的にみて骨折する人の率が高いとか。健康度合いをチェックする運動を交えながら進めていきます。
スギ木立の間を抜け、ダム湖(翠明湖)を見下ろす展望台を目指して歩きます。ここは、広い道にもかかわらず森を管理する車しか通らないため、仲間と一緒に横に広がり会話を楽しみながら気持ちよく歩けます。
ガイドなしでも入れる森なので、犬を連れてウォーキングを楽しまれる人もおられるとか。
歩いている途中に、脈拍チェックポイントがあります。脈拍を計ることで、自身の体力にあったウォーキングができているか確認をするのです。目安は「160−年齢」。脈拍が高いようなら少しペースを落としてゆっくりと。平常通りならちょっとペースを上げたり足を高く上げたり、自分にあった健康促進の方法を学びながら歩きます。
目的地に到着。素晴らしい見晴らしです。
目の前の翠明湖の向こうに見えるのが、酒米の王様「山田錦」の栽培が盛んな多可町中区。初秋には田んぼが黄金色となり、さらに美しいことでしょう。
展望台で記念撮影。山びこが返ってくるスポットなので、大きな声で「ヤッホッ」と叫びましょう。
ここでは、ちょっとしたストレッチと頭の体操も。ガイドさんの指示のもと、普段使わない筋肉や脳を刺激してくれます。
下山は、少しルートを変えて。撮影スポットがいくつかあるので、楽しく下山ができます。
途中には、ちょっとアドベンチャーなスポットもいくつか。ただ歩くだけではなく、ドキドキもありながら楽しく歩けます。
川のせせらぎもとても清々しく、耳にも優しく気持ちがいい。「多可の奥入瀬渓谷」というらしいです。
開けたところで、シートを敷き、寝転びます(木のベッド体験)。
歩いていては見えない風景。体の力が抜け、心が軽くなる。短時間でも気持ちがスッキリし癒やされます。理屈抜きに気持ちのいい体験です。
スタート地点に戻るまで約2時間。最後に軽くストレッチをして終了です。
血圧測定も朝よりも落ち着く人が多くおられました。来た時よりも元気になれる『多可の森健康ウォーキング』です。
記事の写真では景色だけですが、川のせせらぎや風に揺れる葉音、時折聞こえる鳥の声、なにより澄んだ空気の気持ちよさ。これらがお届けできないのがとても残念。一度体験すればわかります。自分に合ったコースを選んでお楽しみください。開催日や料金等は公式サイトで確認ください。
なか・やちよの森公園 渓流の広場
開園時間 | 9時〜17時、冬季は9時〜16時30分(日が暮れるのが早いため15時30分以降の入山禁止) |
休園日 | 月曜日(祝日の場合は翌日以降の平日)、12月29日〜1月3日 |
『播州百日どり』のデリシャスランチ
ウォーキングが終わり気持ちも軽くなったら、食欲も増してランチが楽しみでなりません。
向かったランチスポットは、多可町余暇村公園内にある「chattanaの森(チャッタナの森)」の『カフェ チャッタナ』。チャッタナとは、この地方の方言で「よく来てくださいましたね」のお出迎えの言葉です。できる限り地元農家の無農薬野菜を使っている地産地消の店。多可町産の播州織や杉原紙を使った小物などの販売もあります。
店内は天井が高く開放的な山小屋風。奥に暖炉があります。
いただくのは『播州百日どり』を使った『chattanaランチ』。通常はメンチカツとカラアゲですが、モニターツアースペシャル版としてグリル焼きを加えた3種の『播州百日どり』の食べ比べセットです。
『播州百日どり』とは、一般的な肉用鶏が45〜50日かけて育てられるところ、日の光の下、自然に近い環境でじっくり100日間ほどかけて育てられた銘柄鶏。運動量が豊富なので弾力ある肉質とうま味がピークに達するまで育てられた美味しさが魅力です。
「ひょうごフィールドパビリオン」に登録認定されている『多可のデリシャスフード』の代表的な食材です。
噛むほどに旨味が出てくるグリル焼き、肉感がしっかりとしたミンチカツ、しっとり感のある唐揚げ。どれも美味しくいただきました。
『カフェ チャッタナ』は、モーニングやカフェとしても利用できます。
chattanaの森(カフェ チャッタナ)
所在地 | 兵庫県多可郡多可町中区牧野817-41 |
営業時間 | 9時30分〜17時 |
定休日 | 火曜日、臨時休業あり |
公式サイト | https://chattananomori.com |
『播州織オープンファクトリー』見学
次に向かったのは『株式会社ソーイング竹内』。外観からは「何をしている会社だろう」と思うほどスタイリッシュな社屋です。
2018年に新社屋、2022年に倉庫を新設し、社屋内は縫製工場のイメージを一新させる白を基調とした清潔感が漂い、アメリカンな装飾(特にイチローさんや大谷翔平さんのユニホームをはじめメジャーリーグ関連グッズ)の数々にきっと驚くはずです。
社内には常に音楽が流れ、従業員同士のコミュニケーションがとりやすいようカフェスペースを設けるなど、働きやすい環境づくりに力を入れられています。
業務内容は、播州織のノウハウを生かした縫製加工や雑貨製作。自社ブランドをいくつか展開をされ、オープンファクトリーとして工場見学やものづくり体験、縫製教室なども行っています(イベント開催時もしくは事前予約で対応)。
今回は、工場見学と播州織の端切れを使ったワークショップを開いていただきました。
まずは播州織について簡単に解説をしておきましょう。
播州織は、江戸時代から200年以上続く綿織物で、その特徴は糸を染めてから織る「先染め」にあります。ストライプやチェック柄などさまざまな柄を創ることができ、製品スタイルも多様です。
ひょうごフィールドパビリオンでは『播州の繊維産業活性化を目指すエコファクトリー見学ツアー』として認定されています。
工場内を見学させてもらいました。
大きな裁断機前では、昔と今の働き方の違いなどを解説。重労働だった反物の取り扱いが、誰もが仕事をしやすいように改良されています。
ミシン場や検品ルームなども見学。検品では、実際に不良品を前にどこがダメだったのかを見つける体験も。プロの目の厳しさを実感できます。
『株式会社ソーイング竹内』は、環境に配慮した経営をされているところにも注目です。
例えば、キッチン用品のブランド「BF KITCHEN」。オーガニックコットン100%の播州織を食品や繊維の残りを原料とした染色を行い、商品タグは食べられなくなり破棄される米から作ったもの。生産する工場の電力は省エネ化と太陽光発電を利用し5割以上を自社発電エネルギーでまかなっています。また、生産中に出た端切れをアップサイクルし、工業用機械部品や固形燃料へ転換するなど、積極的にSDGsなどに取り組んでいることがよくわかります。
工場見学の後はワークショップ。播州織の端切れを使ったコースター作りに挑戦です。
端切れには播州織の色鮮やかな生地などがあり、華やかなものが出来そうです。
作り方は、滑り止めなどに使われる編み目になったゴムマットの穴に端切れを通して編み込むように作って行きます。
今回は、時間的に短かったこともあり、完成までには至りませんでしたが、持ち帰り続きができるよう必要と思う分だけ、端切れを持ち帰っていただきました。
株式会社ソーイング竹内
所在地 | 兵庫県多可郡多可町中区糀屋90 |
公式サイト | https://www.sewing-takeuchi.co.jp |
『道の駅「山田錦発祥のまち・多可」』で知る山田錦
最後に訪れたのは『道の駅「山田錦発祥のまち・多可」』。この日、4つ目のひょうごフィールドパビリオン『日本一の酒米「山田錦」発祥のまちゴールデンプロジェクト』です。
特別に山田錦の語り部さんの解説&日本酒の試飲。麹の甘酒の振る舞いもいただきました。
山田錦は、その昔多可町の農家が発見したと言われている「山田穂」という酒米を母とし、兵庫県立農業試験場で誕生した品種です。1936(昭和11)年に誕生し、2024年に米寿(88年)を迎えました。この間、常に酒米の王様として君臨し続けています。多可町をはじめ北播磨地区は栽培適地であり、日本一の産地として全国の酒蔵へと出荷されています。
多可町内で販売されている日本酒に、この地で20年ほど愛され続けている「純米大吟醸 さかもと」があります。多可町中区で有機栽培された山田錦を使い、石川県金沢の老舗酒蔵「福光屋」が醸した日本酒です。
試飲は、この「純米大吟醸 さかもと」と、北播磨地区内の加東市にある神結酒造の「純米酒 那珂の唄」。どちらも多可町中区の山田錦が使われています。
モニターツアー参加者も、そのうまさにうっとり。「私は「那珂の唄」だけど、主人は「さかもと」かな」など。どちらも美味しく飲みやすく、つい買ってしまったという人も。
福光屋の代表的銘柄「加賀鳶」や「黒帯」も置いてあります。山田錦の栽培が始まってから、ずっと多可町と共に米作りをしてきた酒蔵です。何も知らずに『道の駅「山田錦発祥のまち・多可」』に訪れた人は、金沢の酒蔵の日本酒をはじめ県外の酒が多く並んでいるのに不思議がるそうです。「山田錦発祥のまち」ならではの光景といえるでしょう。
他には、山田錦を使ったスイーツやパンもあります。
「ひょうごフィールドパビリオン」の『多可のデリシャスフード』でも紹介されている「巻き寿司」や「播州百日どり」を使った加工品、卵の販売もあるので、お帰りの際にはぜひ立ち寄ってみてください。
道の駅「山田錦発祥のまち・多可」
所在地 | 兵庫県多可郡多可町中区岸上281-1 |
営業時間 | 3月〜10月末日 9時30分〜17時30分、11月~2月末日 9時30分〜17時 |
定休日 | 無休 |
公式サイト | https://michinoeki-taka.com |
多可町モニターバスツアーを終えて
少しでも興味があれば、気軽に参加できるのがモニターツアーのいいところ。
今回の『多可の森ウォーキングと播州織オープンファクトリー見学』モニターツアーも、タイトルを見て、どちらにもある程度興味を持って参加されたようですが、全てに満足していただけた模様。いずれも元気になれる内容でした。
多可町の6つのひょうごフィールドパビリオン認定プログラムのうち4つを体験するツアー。残りの2つ(杉原紙や播州歌舞伎を紹介する『多可の語り継がれる伝統産業・芸能』、ラベンダーを紹介する『多可の香色癒健康ツアー』)も見学や体験教室があります。
休日のドライブ候補地に多可町はいかがでしょうか。多可町公式サイトやローカルプライムのイベント情報、アクティビティページなどをお出かけの参考にしてください。
(ライター 塚本)
※本記事は2024年2月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。