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【多可】山田錦発祥のまちで開催『多可町 日本酒フェスタ2023』バスツアーに行ってきた!
兵庫県が誇る酒米の王様「山田錦」。その多くが北播磨で育てられています。そして「山田錦発祥のまち」としてPRしているのが多可町です。 2024年2月23日(金・祝)開催の『多可町 日本酒フェスタ2023』に合わせ、神姫バスではバスツアーを企画。発表早々に満員御礼となった人気のツアーです。 多可町の歴史やマイ一合枡作り体験と多可町ゆかりの日本酒とグルメを満喫する企画。参加者から好評だったツアーの様子をお伝えします。
多可町は「山田錦発祥のまち」
日本酒造りに大切なものといえば、米と水と杜氏(とうじ)さん。酒蔵があるところには、酒造りに適した水と優れた杜氏たちがいて、米は米作りに適した地で酒造りに合った酒米が育てられています。その酒米の中でも「日本一の酒造好適米」といわれるのが、酒米の王様「山田錦(やまだにしき)」。多可町は、山田錦の生産に最適の土壌や気象条件を備えた地区なのです。
1877(明治10)年に多可町(当時:東安田村)の豪農・山田勢三郎翁が自身の水田で「ひときわ大きな粒を付けた稲穂」を見つけ、これを培殖し育てるのに成功し山田の姓をとって「山田穂(やまだほ)」と名付けました。酒米としての評判は上々、酒造家の間に一気に広がりました。
後に兵庫県農業試験場が苦労の末、この「山田穂」と「短稈渡舟(たんかんわたりぶね)」という品種を掛け合わせて作ったのが「山田錦」です。「山田穂」が母となり誕生したゆえに多可町は「山田錦発祥のまち」として宣言しました。
そして、2025年に開催される「大阪・関西万博」を契機に、兵庫県の取り組みを国内外に発信する取り組み「ひょうごフィールドパビリオン」で『日本一の酒米「山田錦」発祥のまちゴールデンプロジェクト』としてプログラム認定。山田錦の素晴らしさと日本酒をはじめとする関連商品をPRしているところです。
『多可町 日本酒フェスタ2023バスツアー』の概要
『多可町 日本酒フェスタ2023』は、多可町育ちの山田錦ゆかりの16蔵が集まった日本酒イベントです。多可町のグルメと一緒に多可町ゆかりの日本酒を味わう企画で、2022年から始まり、今年が2回目となりました(コロナ禍前に前身となるイベントあり)。
『多可町 日本酒フェスタ2023』開催に合わせて、多可町のことを知ってもらおうと企画されたのが『多可町 日本酒フェスタ2023バスツアー』です。定員40名での募集は、あっという間に満席となり受付終了。その後もお問い合わせをいただく注目ツアーとなりました。
バスツアーの概要は、以下の通りです。
多可町 日本酒フェスタ2023バスツアー
【開催日】2024年2月23日(金・祝)
【旅程】神戸三宮(8:00発)→那珂ふれあい館(マイ一合枡づくり体験)→多可町日本酒フェスタ2023 (3時間滞在)→道の駅山田錦発祥のまち・多可(地元特産品のお買物)→かねふく めんたいパーク神戸三田(休憩・お買物)→神戸三宮(17:00頃着予定)
【料金】おひとり5,800円(税込)
多可町日本酒フェスタ2023で使える3000円分のチケットと「マイスター工房八千代」の巻き寿司が付いてくる超お得なツアー。人気の理由も納得いただけたのではないでしょうか。
実際に日本酒好きな人が集まってくれました。
那珂ふれあい館で「マイ一合枡づくり」
最初の目的地は、妙見山の山麓にある「那珂ふれあい館」。
となりには、古墳時代後期から終末期(6世紀後半から7世紀中ごろ)のものといわれる16基もの古墳からなる東山古墳群があります。
多可は、播磨風土記にも登場する歴史ある地域で、他の国では屈んで歩いていた巨人がこの国は天が高くて伸びて歩くことが出来たため「高いなぁ」と言ったのが始まりだとか。
「那珂ふれあい館」は、隣接する東山古墳群や町内で発掘された出土品の展示、多可町の文化財についての調査、研究、啓発・活用を行っている歴史学習の拠点です。
この日は、ひな飾りやかつて多可を走っていた鉄道・鍛冶屋線を紹介する企画展(巡回展)が開かれていました。
歴史や伝統技術を学べる場所として、勾玉づくりや土器づくり、特産の杉原紙を使った工作など、季節に合わせたさまざまな体験ができます。
今回は、『多可町 日本酒フェスタ2023』に合わせ、マイ一合枡づくり体験。装飾用のため飲酒に用いることはできませんが、会場に行く前の雰囲気づくりにピッタリの体験プログラムです。
作り方は、いたってシンプルですが、大胆かつ慎重さを要します。
部材は用意されているので、それを組み合わせていきます。
わかりやすく並べるとこんな感じ。
向きを間違えないように組み合わせ、当て木の上から木槌でたたいて組み合わせていきます。体験教室内は、あちらこちらでトントン叩く音がして、まるで大工さんが集まった現場のようです。
組み合わさったら、底板をボンドで貼り付け、万力でしばらく固定すれば、インテリア小物として使えるマイ一合枡の完成。「さて、何を入れようか」そんな声が聞こえてきました。
多可町立 那珂ふれあい館
住所:兵庫県多可郡多可町中区東山539-3
開館時間:9時~17時
休館日:毎週月・火曜日(ただし、月もしくは火曜日が祝休日の場合は、翌水曜日が休館)、年末年始
駐車場:あり(無料)
公式サイト:多可町立 那珂ふれあい館 http://web.town.taka.lg.jp/nakafureai/
お楽しみ『多可町 日本酒フェスタ2023』
『多可町日本酒フェスタ2023』が開催される「多可町文化会館(ベルディーホール)」に到着したのが11時頃。ホールとロビー、屋外では噴水広場などが会場になっています。
開始は10時からのため、駐車場には多くの車。日本酒イベントとはいえ、グルメはもちろん、子ども向けのスタンプラリー、くじ引きコーナーなど、お酒を飲まない人も楽しめるとあって多くの人が訪れていました。(多可町発表来場者数約700人)。
■鏡開き、そして乾杯
11時30分からは、ホールで「鏡開き」と「ふるまい酒」。ふるまい酒は、先着150名のため整理券が配られます。ツアー参加者は到着早々に整理券配布の列へ。
関係者挨拶のあと、鏡開きです。
乾杯はもちろん日本酒。多可町は「日本酒で乾杯のまち」宣言をしています。
司会者が読み上げ、参加者が復唱してからの乾杯。早く飲みたい気分が先に立ち、覚えていない人が大半と思われるため、ここに写真で掲載をしておきます。
ホールでは「日本酒と音楽を楽しむフォークソングの先駆者 高石ともやコンサート」が2部構成で開かれました。懐かしい名曲をライブで聴きながらの日本酒は格別。他にもダンスパフォーマンスなどステージを見ながら楽しむ人が多くおられました。
■推しの日本酒に出会う
参加された多可町ゆかりの酒蔵は16蔵、43もの銘柄が試飲酒として並んでいます。
1杯100円〜500円。ほとんどが300円以内なので、いろいろ楽しめます。まさに『多可町 日本酒フェスタ2023』のサブタイトルでもある『〜推しの日本酒に出会う〜』イベントです。
全てを紹介したいところですが、特別なお酒を1つだけ紹介しておきます。
「加賀鳶」で知られる1625(寛永2)年創業の老舗酒蔵『福光屋』(石川県金沢市)の『山田錦発祥のまち 多可 純米大吟醸』です。多可町が企画し、多可町中区坂本の契約栽培米(山田錦)だけで作った純米大吟醸酒。題字は、山田錦PR大使の歌手・加藤登紀子さんが揮毫(きごう)した、ここだけの特別な日本酒です。
華やかで軽快な味わい。飲み続けられるお酒になっています。
『道の駅 山田錦発祥のまち・多可』では、同じ中区坂本の契約栽培米の山田錦で造った『純米大吟醸 さかもと』が販売されているので、気になる人はお買い求め下さい。
ホールの中では、「日本酒は自由だ」の看板を掲げ、日本酒をロックやスパークリング、ジンジャエール割りなどで飲めるブースも。「邪道という飲み方なんてない!」といろいろ挑戦できるようです。
まさに「推しの日本酒の“飲み方“に出会う」ブース。何事も、まずは挑戦してみることが大切なのかも知れません。
■多可町の名物グルメも集合
グルメコーナーは、ホールと噴水広場、外通路の3ヶ所にありました。
噴水広場では、焚き火にあたりながら過ごせる場所や熱燗コーナー、ゆかりの酒蔵の酒粕で作る粕汁、焼き鳥、ピザなど盛りだくさん。外通路は、多可町内で実店舗を構える人気店が並んでいます。
こちらも全てを紹介したいところですが、一部を紹介しましょう。
多可町グルメといえば『巻き寿司』。多可町ではお客様をもてなす時に巻き寿司をつくる文化があります。なかでも人気なのが「マイスター工房」の「天船巻き寿司」。キュウリがゴロッと入っているのが特徴です。
ここでも人気で鏡開きが始まる前に完売。バスツアー参加者には巻き寿司1本(帰りにお渡しするのですが)付いていますので、買えなかった人も「お土産付きのツアーで良かったぁ」の安堵の声が聞こえました。
多可のグルメといえば『播州百日どり』があります。その名のとおり卵から孵化(ふか)してからおおむね100日間かけて肥育することで大きく育ち、肉厚でジューシーな味わいが魅力です。
会場内でも焼き鳥や手羽先が販売されていました。
この「巻きずし」文化と「播州百日どり」は、「ひょうごフィールドパビリオン」に『多可のデリシャスフード』として認定されています。多可町地域のおいしいランチとして、今後もさまざまなメディアで紹介されるので『日本一の酒米「山田錦」発祥のまちゴールデンプロジェクト』とあわせて注目です。
山田錦をつかったお菓子を紹介しましょう。
『山奥の菓子工房ナチュール』は、多可町の素材を使った焼き菓子が人気の店。この日もいろんな種類のお菓子を販売されていました。
ローカルプライムのオンラインショッピングからも購入できます。
いくつも美味しそうなグルメがあるなかで、この日のランチとして筆者が選んだのはベトナム料理のフォーが看板料理のカフェ型ダイニング『pata』の『ピリ辛pata麺』。肉味噌の程よい辛みが心地よく、体も心も温まる1杯でした。
実店舗では、チキン南蛮やカラアゲも人気とのこと。気になります。
食後のデザートに選んだのは『多可だんご』。昔話に出てきそうな古民家『多可・だんご茶屋』をベースにイベント出店などをされているお店です。
何本でも食べられる優しい味わい。古民家のお店でゆっくり熱いお茶と一緒に食べたくなりました。
バスツアーに含まれる3000円分のチケットの使い方は、ツアー参加者の自由。しっかり飲むことに集中した人や飲まずにお気に入りの日本酒を購入するのに使われ方もおられました。
チケットが余ってしまったという人はゼロ。みなさん笑顔でバスに戻ってこられた姿に満足度の高さが一目でわかりました。
おみやげは『道の駅 山田錦発祥のまち・多可』
『多可町 日本酒フェスタ2023』の会場からバスで2〜3分のところに『道の駅 山田錦発祥のまち・多可』があります。おみやげの購入場所として立ち寄りました。
ここにも日本酒がいっぱい並んでいます。『純米大吟醸 さかもと』もあります。
『道の駅 山田錦発祥のまち・多可』の人気商品は、地元農家さんたちが作った路地野菜。この日も朝からいっぱい並んでいたそうです。補充されたものが、まだ少し残っていました。
混ぜるだけで作れる「とりめしの具」などの加工品も人気です。
道の駅 山田錦発祥のまち・多可
住所:兵庫県多可郡多可町中区岸上281-1
営業時間:3月〜10月 9時30分~17時30分、11月〜2月 9時~17時
休業日:年末年始(12/29~1/3)
駐車場:あり(無料)
公式サイト:道の駅「山田錦発祥のまち・多可」 https://michinoeki-taka.com
『マイ一合枡作り』と『多可町 日本酒フェスタ2023』を満喫するバスツアー。最後に、トイレ休憩も兼ねて「かねふく めんたいパーク」に立ちより、神戸三宮まで戻って終了です。
バスツアー参加者からは「来年もぜひ!」と多くの声。多可町では第3回も計画をしているとのことで、期待が高まります。
多可町の文化やグルメにも興味を持っていただけたようで、うれしいかぎり。今回参加出来なかった方も、来年の日本酒イベントはもちろん、『ひょうごフィールドパビリオン』関連イベントなどもチェックして、多可町の魅力にふれていただければと思います。
(ライター 塚本)
※本記事は2024年2月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。