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店主は現役の噺家さん
毎月たった二日間だけ開店する、知る人ぞ知るカレー屋さん。メニューは二つだけで、毎月変わります。
お店のオーナーは、桂歌之助さん。四半世紀以上の芸歴を重ねた、上方落語の噺家さんです。人間国宝・桂米朝師匠の孫弟子。1997年に先代の桂歌之助に弟子入り、桂歌々志としてデビュー、丁寧な語り口で人気を集め、咲くやこの花賞などおおくの賞を受けられています。そして2007年、桂歌之助を襲名されました。
噺家さんとして第一線の現役、大阪などの寄席で精力的に活動されています。また、むかし桂枝雀師匠が英語落語に取り組んでおられましたが、桂歌之助さんもイタリア語や中国語での落語にチャレンジされてます。
ゆったりとした時間が流れる古民家
2023年5月のよく晴れた土曜日、お店を訪れました。正午を少し過ぎた頃に着きましたが、予想通り満席です。月に2日の営業なので、皆さんFacebookやInstagramで調べて来られるのでしょう。そういう意味では純粋な一見さんというか、通りがかりにふらっと立ち寄られる方は少なそうです。
古民家を改装したお店ですので、ウエイティングルームも心安まる畳敷き、純和風のお部屋です。そしてその空間に静かに流れるのがラテンの音楽。アストル・ピアソラのタンゴ・ゼロアワー、哀愁を帯びたバンドネオンの音色が素敵です。
限定20食のヘルシーなスパイスカレー
新緑のお庭を眺めながら待っていると、桂歌之助さんが呼びに来られました。ウエイトの対応、ホール、調理、全てワンオペです。
綺麗にリノベーションされた明るい店内には、センスの良いものが並びます。さりげなく棚に置かれたスピーカーは知る人ぞ知るジェネレック(弟さんからのプレゼントだそうです)、TOTOのLPが良い感じの空気を醸しています。ゆったりと配置されたテーブルで、落ち着いた気分で食事ができます。
この日のメニューは「野菜が主役のチキンカレー」(1,000円)と「干しエビときゅうりのカレー」(1,000円)。2種の合わせ盛りは1,200円です。今月は最多で17種類の野菜入り、とあります。添えられた赤い実はジューンベリー、お店の庭で採れたものだそうです。
ワンプレート、真ん中にターメリックライスとカレー、その周りにピクルスや野菜が彩り豊かに並びます。添加物を使わずスパイスだけで作ったさらっとしたカレーは、辛すぎずどなたでもおいしく頂けると思います。
また、今月は黄色いターメリックライスでしたが、月によって雑穀米だったりバリエーションがあるようです。
食後には、小さなカップでチャイが付きます。甘くてとてもおいしいです。
いつかは田舎暮らしを
それにしても、なぜ篠山なのか。そしてそもそもなぜカレー屋さんをしようと思ったのか。ちょっと伺ってみました。
「篠山には特に縁やゆかりが有ったわけではないんです。ただ、落語会で何度か訪れて、いいところやなあと思ったんですよね。実はずっと、いつか田舎暮らしがしたいと思ってました。それで、やっぱりここはいいなあと。ゆくゆくはここで暮らそう、そう思いました。それで、なにかここでできることを考えて、カレー屋ができるかなあと思ったんです」
普段は宝塚市で暮らして、寄席などの仕事をこなされています。そしてルーとこめの営業のある週は、1週間ほど篠山で暮らしながらその準備をしているそうです。1日限定二十食(と言いつつ実際はもっと)、地元での素材選びから初めて下拵えにそれくらいの時間を掛けてらっしゃるのですね。
「だから、月に2日が限界なんですよ」
2021年の秋、篠山の田園地帯に噺家さんが開店した月に2日だけ開くカレー屋さん「ルーとこめ」。ウイング神姫「篠山営業所」から600m、八上小学校前から360mです。
(ライター 小嶋)
※本記事は2023年6月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
ルーとこめ
住所 | 兵庫県丹波篠山市京町68-1 |
営業時間・営業日 | 不定 ※以下の公式アカウントでご確認ください |
アクセス | ウイング神姫「篠山営業所」から600m、八上小学校前から360m |
駐車場 | あり |
SNS | Facebook https://www.facebook.com/ruutokome2021 https://www.instagram.com/ruutokome2021?utm_medium=copy_link |
ライター 小嶋あきら
猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。