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丹波篠山の田園風景、古民家で味わうヘルシーなカレー「ルーとこめ」店主は現役の上方落語家さん

ワンオペでがんばる桂歌之助さん
ワンオペでがんばる桂歌之助さん

のどかな田園風景が広がる丹波篠山。黒豆、丹波栗、ぼたん鍋など、豊かな「食」に恵まれたエリアです。週末にちょっと出かけたい時、近すぎず遠すぎず、阪神間から程よい距離というのも人気なのでしょう。特に秋のハイシーズンには大渋滞のお出かけスポットです。
そんな篠山の中心に近い田園地帯に、一軒のお洒落なカレー屋さんがあります。ごくごく目立たない小さな看板には「√※」と書かれています。ルーとこめ。カレーとご飯をお洒落に表現した、ちょっと捻ったお店の名前です。

店主は現役の噺家さん

毎月たった二日間だけ開店する、知る人ぞ知るカレー屋さん。メニューは二つだけで、毎月変わります。

田園地帯の古民家(納屋)
田園地帯の古民家(納屋)

お店のオーナーは、桂歌之助さん。四半世紀以上の芸歴を重ねた、上方落語の噺家さんです。人間国宝・桂米朝師匠の孫弟子。1997年に先代の桂歌之助に弟子入り、桂歌々志としてデビュー、丁寧な語り口で人気を集め、咲くやこの花賞などおおくの賞を受けられています。そして2007年、桂歌之助を襲名されました。

現役の噺家さんです
現役の噺家さんです

噺家さんとして第一線の現役、大阪などの寄席で精力的に活動されています。また、むかし桂枝雀師匠が英語落語に取り組んでおられましたが、桂歌之助さんもイタリア語や中国語での落語にチャレンジされてます。

水を掛けるとくっきり浮き出す看板
水を掛けるとくっきり浮き出す看板

ゆったりとした時間が流れる古民家

2023年5月のよく晴れた土曜日、お店を訪れました。正午を少し過ぎた頃に着きましたが、予想通り満席です。月に2日の営業なので、皆さんFacebookやInstagramで調べて来られるのでしょう。そういう意味では純粋な一見さんというか、通りがかりにふらっと立ち寄られる方は少なそうです。

お洒落な入り口
お洒落な入り口

古民家を改装したお店ですので、ウエイティングルームも心安まる畳敷き、純和風のお部屋です。そしてその空間に静かに流れるのがラテンの音楽。アストル・ピアソラのタンゴ・ゼロアワー、哀愁を帯びたバンドネオンの音色が素敵です。

畳
勝手口
屏風
ステレオ
ピアソラのタンゴゼロアワーが流れてます

限定20食のヘルシーなスパイスカレー

明るく綺麗な店内
明るく綺麗な店内

新緑のお庭を眺めながら待っていると、桂歌之助さんが呼びに来られました。ウエイトの対応、ホール、調理、全てワンオペです。

センスのいいこだわりの棚
センスのいいこだわりの棚

綺麗にリノベーションされた明るい店内には、センスの良いものが並びます。さりげなく棚に置かれたスピーカーは知る人ぞ知るジェネレック(弟さんからのプレゼントだそうです)、TOTOのLPが良い感じの空気を醸しています。ゆったりと配置されたテーブルで、落ち着いた気分で食事ができます。

メニュー
この日のメニュー

この日のメニューは「野菜が主役のチキンカレー」(1,000円)と「干しエビときゅうりのカレー」(1,000円)。2種の合わせ盛りは1,200円です。今月は最多で17種類の野菜入り、とあります。添えられた赤い実はジューンベリー、お店の庭で採れたものだそうです。

野菜が主役のチキンカレー
野菜が主役のチキンカレー
2種の愛盛り
2種の愛盛り
庭で採れたジューンベリーが添えられてました
庭で採れたジューンベリーが添えられてました

ワンプレート、真ん中にターメリックライスとカレー、その周りにピクルスや野菜が彩り豊かに並びます。添加物を使わずスパイスだけで作ったさらっとしたカレーは、辛すぎずどなたでもおいしく頂けると思います。
また、今月は黄色いターメリックライスでしたが、月によって雑穀米だったりバリエーションがあるようです。
食後には、小さなカップでチャイが付きます。甘くてとてもおいしいです。

食後のチャイ
食後のチャイ

いつかは田舎暮らしを

それにしても、なぜ篠山なのか。そしてそもそもなぜカレー屋さんをしようと思ったのか。ちょっと伺ってみました。

噺家さんの仲間から贈られた色紙
噺家さんの仲間から贈られた色紙

「篠山には特に縁やゆかりが有ったわけではないんです。ただ、落語会で何度か訪れて、いいところやなあと思ったんですよね。実はずっと、いつか田舎暮らしがしたいと思ってました。それで、やっぱりここはいいなあと。ゆくゆくはここで暮らそう、そう思いました。それで、なにかここでできることを考えて、カレー屋ができるかなあと思ったんです」

天井のレトロな扇風機が爽やかな五月の空気を回していました
天井のレトロな扇風機が爽やかな五月の空気を回していました
忙しい中、いつもにこやかな桂歌之助さん
忙しい中、いつもにこやかな桂歌之助さん

普段は宝塚市で暮らして、寄席などの仕事をこなされています。そしてルーとこめの営業のある週は、1週間ほど篠山で暮らしながらその準備をしているそうです。1日限定二十食(と言いつつ実際はもっと)、地元での素材選びから初めて下拵えにそれくらいの時間を掛けてらっしゃるのですね。

「だから、月に2日が限界なんですよ」

洗面所もこだわっておられますね
洗面所もこだわっておられますね

2021年の秋、篠山の田園地帯に噺家さんが開店した月に2日だけ開くカレー屋さん「ルーとこめ」。ウイング神姫「篠山営業所」から600m、八上小学校前から360mです。

(ライター 小嶋)

※本記事は2023年6月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

ルーとこめ

住所兵庫県丹波篠山市京町68-1
営業時間・営業日不定 ※以下の公式アカウントでご確認ください
アクセスウイング神姫「篠山営業所」から600m、八上小学校前から360m
駐車場あり
SNSFacebook
https://www.facebook.com/ruutokome2021
Instagram
https://www.instagram.com/ruutokome2021?utm_medium=copy_link

ライター 小嶋あきら

猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。

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