2025年1月、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催された「兵庫分かりみが深い展~名塩和紙にのせて~」。企画したのは甲南大学の学生です。400年以上続く名塩和紙の魅力を、若い感性で伝えようと挑んだ展示会。その背景と当日の様子を紹介します。
名塩の泥を混ぜ込んで作られる独特の風合い
兵庫県西宮市名塩町で生まれた名塩和紙は、約400年前に始まった伝統的な手すき和紙です。
最大の特徴は、名塩の山で採れる泥を原料に混ぜ込むこと。これにより耐久性が高まり、燃えにくく、変色やシミにも強い和紙が生まれます。
襖や障子、書画用紙として用いられ、歴史的建造物の修復にも活用されてきました。兵庫県無形文化財、国の伝統的工芸品にも指定されています。
一方で、現在名塩で和紙をすく職人は数人のみ。技術の継承は大きな課題となっています。
冷たい水の中で一枚ずつ和紙をすく谷野さん
学生たちは名塩町の「谷徳製紙所」を訪問。3代目職人・谷野雅信さんのもとで、和紙づくりの工程を見学しました。
工房では、冷たい水に手を浸しながら、泥を混ぜた原料を丁寧にすいていく姿が印象的でした。
「一枚一枚に想いを込めています」と語る谷野さん。良いものを届けたいという言葉には、400年の技術を守る覚悟がにじみます。
また、名塩和紙学習館にも足を運び、資料や映像で歴史や工程を学習。予約をすれば紙すき体験も可能で、観光で訪れた際にも立ち寄れる施設です。
学生が集めた兵庫県あるあるを名塩和紙に表現
どうすれば若い世代に和紙を身近に感じてもらえるか。
学生たちが考えたのは、「兵庫県あるある」を名塩和紙に書くというアイデアでした。
「体操の隊形に開け!ヤー!」
「ちょっとそれたら別の県」
兵庫県民なら思わずうなずく言葉を、伝統の和紙にのせる。
書道部の協力を得て筆文字で表現し、来場者が実際に和紙へ書き込める体験ブースも設置しました。和紙の手触りや筆のにじみを体感できる構成です。
共感の声が広がった会場の様子
会場はKIITO内の和室スペース。和紙の風合いが映える落ち着いた空間でした。
当日は想定を上回る来場があり、「懐かしい」「これ言う」といった声が飛び交います。作品を前に自然と笑顔が生まれていました。
体験ブースでは、子どもが和紙に手紙を書き家族へ渡す姿も見られました。丈夫で色あせにくい名塩和紙だからこそ、思い出として残る一枚になります。
学生たちにとっても、伝統文化の新しい入り口を示す機会となりました。
名塩和紙は、名塩和紙学習館や谷徳製紙所で見学や体験が可能です。西宮市街地からもアクセスしやすく、神戸阪神エリア観光の立ち寄り先としても検討できます。
伝統工芸を実際に見て、触れて、知る。展示会をきっかけに、現地へ足を運んでみるのも一つの楽しみ方です。
※この記事の情報は2025年1月の情報です。
〒669-1141 兵庫県西宮市塩瀬町名塩
JR福知山線「西宮名塩駅」から徒歩圏内
西宮市公式サイトを見る
https://www.nishi.or.jp/
(学生編集部:甲南大学 一宮、平田、山本真、山本勇、吉山)