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夏の定番、涼やかな『冷やし白玉しるこ』
例年3月末頃から店頭に並ぶ『冷やし白玉しるこ』は待ちかねているファンが多い逸品。冷たく冷やしたお汁粉はさらっとした口当たりで、控えめな小豆の甘さが絶妙。「甘いものはちょっと…」と言う人にもおすすめです。カップに2個入っている白玉は、冷やしても時間が経ってもやわらかくてよく伸びます。これが『桔梗堂』が培った技術なのですね。
甘さ控えめで風味が豊かなのは、上質な小豆を使っている証。小豆は備中産で、手でよりわけたものを仕入れています。「いろんな小豆を試しましたが、『桔梗堂』の味を出すにはこれが一番」と、3代目の高尾哲司さん。小豆は1度に約18kg(10升)を一晩水に浸けて、銅鍋で火加減を見ながらやわらかく炊き上げます。
なめらかなこし餡にするために、水にさらしながら細かい網で、やさしく手のひらでなでながら濾していくそうです。まるで薄布にしかみえない細かい網目を通り抜けた餡に、あれだけの風味が残るのは上質の小豆ならではですね。その後、濾した餡にザラメを加えて練っていくのですが、ちょうど良い加減になったタイミングはヘラを持つ腕が覚えているそうです。
「正確な資料はないのですが、『冷やし白玉しるこ』は祖父が50年ほど前から作っていたと思います」と、高尾哲司さん。夏は毎朝4時、冬でも5時から店に出てお菓子づくりを始めるそうです。今はクール便で地方発送ができるので、全国から注文が相次ぐ夏はとっても忙しいそう。※発売期間は例年3月下旬~11月頃
野球の聖地、甲子園にちなんだお菓子『球宴』と上用饅頭
『桔梗堂』から阪神甲子園球場まで約1.8km。高校野球とプロ野球の舞台となる甲子園には、日本中から多くの人がやってきます。甲子園のお土産にと人気なのが、白球に見立てた焼き印を押した『球宴』です。胡麻と栗が入ったこし餡を、やわらかな求肥で包み、もなか(すり種)で挟んでいます。薄い最中の皮からあふれる、しっとり甘い求肥とこし餡のバランスがたまりません。
もらった人の笑顔が目に浮かぶような『野球ボール上用饅頭』。少年野球の記念品や合宿の差し入れにも喜ばれそうですね。バレーボール上用、テニスボール上用饅頭も特別注文できます。※繁忙期は受付けできない場合もあります。
洋の要素を取り入れた限定品の『わらび餅』
『わらび餅』は4種類。定番の『きなこのわらび餅』に加えて、洋風にアレンジした『餡入りわらび餅』、『しょこらわらび餅』、『濃抹茶みるくわらび餅』があります。本わらび粉を50%以上使った上品な味で、弾力がありながら口の中でとろける食感。季節限定品なので、HPなどで確認してから買いに行きましょう。
行事や慶弔事には上生菓子
『桔梗堂』では、上生菓子も常時4~6種類ほど作っています。上用、練り切り、きんとんなど、法事や地元の集まり、企業の会議などで食べるからと注文があるそうです。12月29日から31日まで数量限定で販売される『正月用上生菓子』は、花びら餅、上用、練切、外郎、羊羹きんとん、黄味しぐれ、道明寺、粒餡、かすみなど、上生菓子のオンパレード。予約がおすすめです。
昔から9月の仲秋の名月には、『月見だんご』が必須ですね。しっとりとやわらかいお餅に口どけのよい自家製こし餡、たまりません。
冬から春にかけて季節限定の人気商品は『いちご大福』。やわらかいお餅の中から、自家製の黒こし餡と甘酸っぱいいちごのバランスの良さに思わず2個めがほしくなります。
クリスマス限定の『聖樹羊羹きんとん』は、クリスマスツリーに見立てたグリーンのきんとんに氷餅製の白い雪、黄色い羊羹の星が華やかです。
上生菓子は、3~4週ごとのサイクルで季節のお菓子が登場します。紅白饅頭や黄白饅頭も注文できるので事前に予約を。
店内には、おかき、飴など、日持ちのするお菓子もたくさん並んでいます。自宅用、贈り物など、用途は様々ですが、なんといっても手作りの安心感とおいしさが魅力。店の前を通ると、つい立ち寄りたくなる和菓子店です。
(ライター 松田/ウエストプラン)
※本記事は2023年7月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
和菓子所 桔梗堂
住所 | 兵庫県西宮市甲子園二番町1-16 |
電話番号 | 0798-48-1611 |
営業時間 | 8:30~19:00(日曜は17時まで) |
定休日 | 不定休 |
アクセス | JR甲子園口駅から徒歩約10分、阪神甲子園駅から阪神バスJR甲子園口行、 県道上甲子園バス停下車すぐ |
駐車場 | なし |
HP | https://kikyoudou-wagashi.amebaownd.com/ |
SNS | https://www.instagram.com/kikyoudou/ |
株式会社ウエストプラン
松田きこ、かさはらみのり、中田優里奈、都志リサほか、兵庫県に精通した女性ライターが、観光やグルメ情報を中心に、阪神間や丹波・丹波篠山を縦横無尽に駆け回って取材します。