fbpx

記事・読み物

ちょっとドキッとする名前のお寺、神呪寺。行ってみるとこんな素敵なところでした

神呪寺

神呪寺(かんのうじ)。初めて聞くとちょっと怖いような、ドキッとするような名前のお寺ですが、実は全くそんなことはありません。六甲山に寄り添うような丸いかわいらしい山、甲山の中腹にある風光明媚なお寺で、新西国21番霊場でもあります。

西宮のシンボル、丸くてかわいい甲山

筆者宅から見える甲山。中腹に見えているのが神呪寺
筆者宅から見える甲山。中腹に見えているのが神呪寺

まるでお玉で「ぽんっ」と盛り付けた炒飯みたいな形をした甲山(かぶとやま)は、兵庫県西宮市のシンボルとも言われています。標高309メートル、あべのハルカスよりも9メートルほど高いその姿は、市内南部のほぼどこからでも見ることができます。筆者が住んでるのは西宮の海沿いにある9階の部屋ですが、玄関を出ると正面にこの甲山が、そして中腹にある神呪寺さんがよく見えます。

西宮市内、建石筋から見た甲山
西宮市内、建石筋から見た甲山

六甲山と甲山は一体になっているように見えますが、実は成り立ちが違います。六甲山は地殻変動で隆起してできた山ですが、甲山は火山です。1200万年前という大昔に噴火して、そのあと火口付近の硬い部分だけが残ったのがいまの甲山なんだそうです。
また「甲山」という名前の由来は諸説あります。神功皇后様が平和を祈念して金の兜を埋めたから。昔、大きな松の木が二本生えていて、山の形が兜に似ているから。「神の山」(こうのやま)が「甲の山」になって「甲山」になった。どれも本当っぽいですね。
ちなみに六甲山は、むかし大阪市の大部分がまだ海だった頃、上町台地辺りから眺めて「西の海の向こうの山」が「むこう山」を経て「六甲山」になった、という説があります。「武庫川」(むこがわ)もその流れで名前が付いたのだとか。この辺り、本当はどうなのかわかりませんが、ちょっと面白いですね。

神呪寺、その名前の由来は?

神呪寺の仁王門(山門)
神呪寺の仁王門(山門)

さて、神呪寺の名前の由来ですが、これは「神を呪う」なんていうこわい意味ではもちろんありません。そもそもこの「呪」というのは「呪文」の「呪」という意味です。「神の呪文」ですね。神呪寺さんのリーフレットによりますと、「甲山を神秘的な神の山として信仰したところから、この寺を神呪寺(神のような不思議な強い力のある寺)と名付けられました。」とあります。また、「神呪(かんのう)とは般若心経にある神呪(しんじゅ)で、真言という意味があります。」とも書かれています。
神呪寺さんは真言宗御室派別格本山、別名甲山大師ですから、こう考えると神呪という名前はごく自然に思えますね。

紫陽花の咲く季節に訪れてみました

県道82号を鷲林寺町の交差点で折れて、甲山大師道を東へ向かいます。北山貯水池を右手に見て少し行くと駐車場があります。道路を挟んで南にちょっと下ったところに仁王門。筆者が訪れたのは6月19日でしたが、梅雨時のしっとりとした緑の中に紫陽花が綺麗に咲いていました。門をくぐって、車通りの多い道を渡ると、山に向かってまっすぐに階段が続いています。甲山の中腹、およそ海抜200メートルのところにある境内まで、100段ほどの石段を登ります。

仁王門から本堂までは100段ほどの石段を上ります
仁王門から本堂までは100段ほどの石段を上ります
途中にお地蔵さんのお堂もあります
途中にお地蔵さんのお堂もあります

鐘楼には立派な梵鐘があります。高松宮殿下の御筆による「天下和順」の文字が刻まれた梵鐘は、50円で衝くことができます。

上ってきてすぐに目に入るのは鐘楼
上ってきてすぐに目に入るのは鐘楼
天下和順と刻まれています
天下和順と刻まれています
一回50円で衝くことができます
一回50円で衝くことができます

正面には左から大師堂、弁天堂、本堂、不動堂、納骨堂と並んでいます。
大師堂には弘法大師坐像が安置されています。国の指定重要文化財で、鎌倉時代後期の作と言われています。弘法大師が58歳の頃のお姿なんだそうです。
本堂には如意輪観音坐像が安置されています。国の指定重要文化財で、一名を融通観音ともいわれます。弘法大師が彫られたと伝わる秘仏です。河内の観心寺、大和の室生寺の観音とともに、日本三如意輪と称されています。毎年5月18日に秘仏開帳・融通観音大祭が行われます。
不動堂には不動明王座像が安置されています。こちらも国の指定重要文化財です。

本堂
本堂
納骨堂
納骨堂
山の中なので動物も来るのですね
山の中なので動物も来るのですね
多宝塔
多宝塔
大師堂
大師堂

大師堂の正面に、三鈷の松という小さな松の木があります。高野山の壇上伽藍、御影堂と金堂の間にある三鈷の松は、弘法大師が高野山を開創されたきっかけになったと言われ、松葉が三本に分かれた珍しいものです。そしてその松葉を拾って持っていると御利益があるとされます。ここの三鈷の松も同じように、三本に分かれています。

三鈷の松
三鈷の松
松葉が三つに分かれています
松葉が三つに分かれています

実は穴場の夜景スポット、淀川花火も見えます

展望所
展望所
西宮市内、筆者の自宅方向。向こうに南港のWTCが見えます
西宮市内、筆者の自宅方向。向こうに南港のWTCが見えます
あべのハルカスが見えます
あべのハルカスが見えます
梅田の方角。この方向に淀川の花火が見えそうです
梅田の方角。この方向に淀川の花火が見えそうです

境内の東側には、展望所があります。海抜200メートルの高さから、遠く生駒の山までの景色が一望できます。実はここ、大阪の夜景はもちろん、毎年8月に開催されるなにわ淀川花火大会の穴場スポットなのだそうです。もちろん距離は遠いですけどしっかり正面に見えるとのことで、毎年ここから観られている方、撮影されている方がいらっしゃるといいます。ということはおそらく、猪名川やエキスポシティの花火も見えそうですね。

穴場の絶景スポットです
穴場の絶景スポットです
展望所から見上げる甲山の山頂
展望所から見上げる甲山の山頂
甲山の登山口
甲山の登山口
登山をする人の接待所もあります
登山をする人の接待所もあります
展望所から奥へ行くと、甲山の登山口があります。ここからの標高差は約100メートル、健脚な方にはちょうど良いお散歩ハイキングコースかも知れません。

展望所から奥へ行くと、甲山の登山口があります。ここからの標高差は約100メートル、健脚な方にはちょうど良いお散歩ハイキングコースかも知れません。

なんとなく懐かしいマッチ
なんとなく懐かしいマッチ
融通観音さまの融通小判。見るからに御利益がありそうです
融通観音さまの融通小判。見るからに御利益がありそうです
御朱印もいろいろ頂けます
御朱印もいろいろ頂けます

西宮のランドマーク、甲山に抱かれた神呪寺。風光明媚な穴場スポットです。ぜひ一度お出かけください。

甲山

(ライター 小嶋)

※本記事は2023年6月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

神呪寺

住所兵庫県西宮市甲山町25-1
電話番号0798-72-1172(9時~16時30分)
営業時間[閉堂時刻]17時
定休日なし
アクセス阪神西宮駅からバスで30分(甲山大師前下車)
駐車場あり 普通車80台(無料)
HPhttps://www.ne.jp/asahi/kabutoyama/kanno-ji/

ライター 小嶋あきら

猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。

TOPへ