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【丹波市】木と親しみ、活用し、遊び、宿泊も。かつての小学校が森の情報発信基地に!
丹波市青垣町神楽(しぐら)は、山あいにある静かなまちです。2017年3月に145年の歴史を閉じ、廃校利活用施設として運営されていた旧神楽小学校が2022年10月から施設をリニューアル。校庭に一棟貸しのコテージが完成した2023年4月、『FOREST DOOR(フォレストドア)-旧神楽小学校-』(以下『FOREST DOOR』)の新しいステージが始まりました。兵庫県産木材の需要拡大を目的に様々なサービスを展開。木のおもちゃのミュージアム、コワーキングスペースなど、親子で楽しめる施設を紹介します。
森の大切さを伝える『森の相談窓口/ひょうご木づかい王国学校』
『FOREST DOOR』を運営するのは、森林整備から木材の加工・販売を行う(株)木栄を中心とする地元のグループ企業です。地域活性のためにも森林の大切さを伝え、兵庫県産木材を有効活用したいという考えです。そのため各教室の内装や家具に兵庫県産の木材を用い、楽しみながら木や環境のことを学んだり遊んだりできるのです。
旧1年生の教室は『森の相談窓口/ひょうご木づかい王国』。森林が荒廃すると地すべりが起こるというしくみをジオラマで展示し、中央の円形テーブル上は森の一生を木製の模型で表現しています。小さな木が大きくなって森を作り、その木を伐採して材木として出荷。そしてまた植林をするという自然の循環を目で見て触れて知ることができます。
実際に木材に触れて木の温かみや香りを体感できるスペースは子どもたちに大人気。ヒノキ玉のプールで全身で木の存在を感じたり、木製の階段を上がってままごとセットで遊んだり興味は尽きません。ここには、グループ会社の『(株)森のわ』が運営する『森の相談窓口』もあり、山林や森林に関するあらゆる相談ができます。
旧職員室は『木づかいショールーム』に
旧職員室は『木づかいショールーム』。兵庫県産、主に丹波産の木を使った建築を提案する目的で、オフィスをイメージした内装に作り付けの家具を設置。リラックス効果や機能性など、木材を使うメリットを実感できます。
丹波の山に多く植林されているのはヒノキやスギです。これらの板は、木目の組み合わせや、わざと残したフシの模様など、使い方次第で雰囲気が大きく変わります。床板の歩き心地、1枚板のカウンターの重厚さなど、見たりさわったり、自由に見学可能です。
旧丹波の特産品などが買える『森の恵みストア』
歴代校長先生の執務室は、丹波の特産品を中心に販売する『森の恵みストア』です。地酒、グラノーラ、お茶など、丹波市で作られたものを販売。木製のオブジェやアクセサリー、丹波布の雑貨もセンスが良くて選ぶのに迷ってしまいます。
無塗装のヒノキを使った『IKONIH(アイコニ―)』のおもちゃは、シンプルなだけに子どもの想像力をかきたてます。前に動かしても後ろに動かしてもメロディーが流れるオルゴールカーは、プレゼントにも喜ばれます。
DIY好きにうれしい『木の直売所 WooDIY ガレージ』
地下にある『木の直売所 WooDIY ガレージ』では、地域の製材業者と連携して板や端材をリーズナブルに販売。ホームセンターで見かけない種類の木材や大きいサイズもあります。DIYコーナーは予約制で、大工さんなど地元の専門家のレクチャーを受けながら制作できます。
木に親しみながら過ごせるコワーキングスペース
『木のコワーキングスペース MUKU』は、丹波産スギとヒノキの無垢材を内装に使ったおしゃれな空間です。靴を脱いで入って、好きな場所で好きなスタイルで仕事や勉強ができ、Wi-Fiや電源も使えるので、リモートワークや集中したい時にぴったり。月額定期プランやドロップインでも使えます。
ドロップイン2時間500円、1日1,000円 ※2時間以上は1日料金 定期利用月額5,000円~
ベランダからは神楽のまちが見えます。高い建物はないので四季折々の山の景色と自然の風に吹かれて気分転換できます。ほかに個室ブース・ミーティングブース『MUKU+』も便利です。
『木の研修室 TOKIWA』もレンタルスペースです。テーブルや椅子は自由に動かせてとっても広々。スギ材の床が足にやさしくて、ぺたんと床に座るのも心地良いのです。スクリーンとプロジェクターのレンタルもあるので、企業研修にも使えます。
『monoile Wood Toy Museum』で遊ぼう
かつての教室と図書室は、木工作家・吉竹宏泰さんの作品に親しめる木のおもちゃミュージアムに生まれ変わりました。触って遊べる木製の大型のおもちゃは、子どもの好奇心を刺激するだけでなく、大人にとっても発見がいっぱいです。
展示されているおもちゃは、シンプルな木が様々な形状で組み合わされて動きが生まれます。そのからくりにわくわくして大人も夢中に。おじいちゃん、おばあちゃんも含めた3世代が一緒に楽しめるミュージアムです。
営業時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)
入館料:大人(中学生以上)800円、小学生500円、未就学児無料
一棟貸しでのんびり過ごせる『ウッドヴィラ心楽-SHIGURA-』
校庭の一角にあるおしゃれな建物は、一棟貸しの宿泊施設(コテージ)です。「木を楽しみ、心和むひとときを」というテーマで、雨でもバーベキューができるデッキスペースや掘りごたつ式の焚火スペースがあります。広い芝生広場や野外サウナのエリアもすべて貸し切りという贅沢コテージなのです。
コテージ内の床や壁、テーブルも木製で、とても落ち着ける雰囲気。冬は薪ストーブに火を入れて、家じゅうがやわらかな温もりに包まれます。エアコンも完備されていますが、開け放った窓から入る風も心地良いのです。
キッチンはハイカロリーの業務用、冷凍冷蔵庫も業務用のものを設置して大人数にも対応可能。食器や調理器具もある程度そろっているので、プロの料理人とコラボしたパーティもできそうです。
1階はベッドのある個室が3部屋。2階は畳の部屋とフリースペースになっており、ベッドで寝ても布団を敷いても、使う人の自由です。
総ヒノキのお風呂はその香りにも癒されます。薪ボイラーで湯を沸かすので、お湯がやわらかくて肌にやさしく身体が芯から温まります。チェックイン時には温かいお湯が沸いているので追い炊きの方法などはレクチャーを受けます。
屋根付きのインナーデッキにはガスグリルが設置されて、バーベキューも楽々。1泊2食付きの宿泊プランなので、バーベキューの食材は料金に含まれています。ドリンクは室内に有料のミニバーがありますが、持ち込みも自由です。
掘りごたつ式の焚火スペース。まわりのウッドデッキは防火処理がされているので、安心してくつろげます。薪をくべてゆれる炎をながめていると、時間を忘れてのんびりできますね。
オリジナルデザインのバレルサウナも自由に使えます。すぐ横には水風呂や休憩スペースもあって、サウナーにはたまりませんね。水風呂の水は地下水が使われて、ここでも地域の資源の大切さを実感します
左右の壁と天井の形に工夫があるため、天窓から内部に光が入るしくみで、ロウリュの熱も効率的に循環します。座る場所によって体感温度が違うので好きな温度を楽しめます。おもいっきり汗をかいた後に外に出ると、山から吹く風がとっても気持ちよくて森の中ならではのサウナ体験ができます。
「木のファンになってほしい」とスタッフのかたが言うように、全ての教室で木の香りやぬくもりを感じられます。他にも地域の人の活動スペースやかつての教室そのままの『神楽思い出ミュージアム 漂流教室』があり、地域密着型の新しいかたちを提案しています。また、お風呂、焚火、サウナで使う薪はすべて未利用材で、地域資源の有効活用がなされ、楽しみながら自然にエコロジーに関心を持てる施設だと感じました。
(ライター 松田/ウエストプラン)
※本記事は2023年4月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
FOREST DOOR(フォレストドア)-旧神楽小学校
住所 | 兵庫県丹波市青垣町文室244 |
電話番号 | 0795-87-5511 |
営業時間 | 9:00〜17:00(受付) |
定休日 | 不定休 |
アクセス | 電車の場合は、JR福知山線石生駅からタクシーで約20分 車の場合は、北近畿豊岡道青垣ICから約10分 |
駐車場 | あり(30台) |
HP | https://forestdoor.co.jp/ |
SNS | https://www.facebook.com/profile.php?id=100086728038763 https://www.instagram.com/forest_door_/ |
株式会社ウエストプラン
松田きこ、かさはらみのり、中田優里奈、都志リサほか、兵庫県に精通した女性ライターが、観光やグルメ情報を中心に、阪神間や丹波・丹波篠山を縦横無尽に駆け回って取材します。