記事・読み物
ゲートから仁王門まで、約3キロのドライブウェイ
兵庫県道311号に面して「播州清水寺」の看板があります。案内に従って入っていくと、程なく入山ゲートが見えてきます。なんとなく比叡山とか伊吹山辺りのドライブウェイの料金所みたいなゲートですが、ここで入山料500円を納めます。
「仁王門までだいたい3キロほどです」
窓口の方にそう言われて、ハッとしました。そうなんです、この先は公道ではなくてお寺が管理する道路、プライベートなドライブウェイなんですね。ここの通行料と駐車場、その管理なんかを考えると全て含んでいる「入山料」はかなり安く感じます。
道幅はそう広いわけではありませんがしっかり対面二車線キープされていて快適です。結構な勾配で、途中にはヘアピンカーブもあります。
ここは自動車専用で、歩行者は入れません(歩行者用には別の登山道があります)。以前は自転車もNGでしたが、令和2年4月12日からスポーツサイクルに限って通行が解禁されました。「スポーツサイクル」と限定されてますが、敢えてママチャリでこのエリアまでやって来てこの坂を登ろうという人はたぶん居ないような気がするので、実質「自転車ウェルカム」ということなんでしょうね。
つづら折れの山道を進んでいくと、広い駐車場と仁王門が見えてきました。
わんこ連れの参拝者が多く、和やかな雰囲気
仁王門を入って、石垣沿いを進んでいきます。五月の、零れんばかりの新緑が目にまばゆいです。しばらく行くと左手の下の方にドッグランが見えてきます。「山のお寺のドッグラン」と名付けらて、しっかりと柵で区切られています。
わんこウェルカムなお寺ということで参拝される方もわんこ連れが多く、人と人の間にわんこが居ることで、自然と「こんにちはー」という挨拶が生まれる、そんな空気が醸し出されているような気がします。
薬師堂、大講堂、根本中堂、多宝塔跡。アップダウン多し。
ドッグランの先に見えてくるのが薬師堂。道内にはちょっとモダンな感じの十二神将が並んでいます。「せんとくん」の作者として知られる東京芸大の藪内教授作なんだそうで、撮影OKになっています。
薬師堂の先、放生池を挟んで大講堂があります。千手観音像が見守る講堂内に入ると、ちょっと空気が変わります。こちらでは様々な種類の御朱印が受けられるほか、お守りなどの各種アイテムも揃っています。
令和2年から道路がスポーツサイクルに開放されたのをうけて、サイクリスト向けのお守り(2,000円)も用意されています。自転車のフレームの、ボトルホルダーの部分に取り付けられる金属製のお守りです。
大講堂の横からは、ちょっと長い石段が続きます。地蔵堂、鐘楼を経て、ずっと登っていくと根本中堂。ここには十一面観音像がいらっしゃいます。
根本中堂の奥、さらに少し登ったところには石の基壇が並ぶ広場があります。そこだけぽっかりと林が開けて、青空が見えます。ここにはかつて壮大な多宝塔があったのですが、昭和40年の台風で壊れてしまったのだそうです。仁王門もこの時に倒壊してその後再建されたとのことですので、この時の台風の被害はかなり大きかったのでしょうね。
森の中にたたずむ「山の上の引退ポスト」
播州清水寺で少し有名なスポットに「山の上の引退ポスト」があります。緑の濃い林の中にたたずむ、昔懐かしい円筒型の郵便ポスト。なんとなくシュールな、まるでアニメのワンシーンにありそうな不思議な雰囲気です。もちろんここに手紙を入れてもどこにも届きませんが、なんとなくこの世ならざるところへ届きそうな、そんな気分になります。ポストの下の方の開口部分には、お賽銭がいっぱいです。何か御利益があるのかも知れません。信心すれば郵便物が何十分か早く届くとか。……微妙なとこですねー。
売店の屋上が展望台? 山菜そば・うどん定食は売り切れ注意
さて、お参りも済ませたのでご飯を食べて帰ることにします。仁王門の近くに売店があって、うどん、そば、おでんなどが食べられます。山といえば山菜、せっかくなので「山菜そば定食」(820円)を頼みました。これがまた素朴な味なんですが、なかなかおいしいんですよ。
そしてこの売店の上には「展望台」があります。昭和の空気をぷんぷん放っている「展望台」の文字、ちょっと心許ない感じに錆が回った昔のアパートみたいな鉄の階段を上ると、まさに売店の屋根そのまま感満点の展望台です。
たぶんここができた頃は見晴らしが良かったのだと思いますが、周囲の木々が生長して正直あんまり見晴らしは良くありません。しかしその隙間から、春霞の通して連なる遠くの山々が展望できました。
標高552mの山頂に建つ播州清水寺。四季それぞれ美しい、素敵なスポットです。
(ライター 小嶋)
※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
播州清水寺
住所 | 兵庫県加東市平木1194 |
電話番号 | 0795-45-0025(8時〜17時まで) |
営業時間 | 8時〜17時 |
定休日 | なし |
アクセス | 神姫バス 清水寺停留所 すぐ |
駐車場 | あり(無料) |
SNS | Facebook https://www.facebook.com/bannshuukiyomizu/ Instagram https://www.instagram.com/bansyu_kiyomizudera/ |
ライター 小嶋あきら
猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。