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赤穂のパン屋さんだから、あこうぱん
まいど憶良(おくら)です。
美味しくて、とにかく色んな種類のパンを売っているパン屋さんがあると聞き、赤穂市にやってきました。
店内には250種類ものパンが並びます。
それなのに個々のパンには独自性があって、しかもなんだか変な名前のパンが多い。
だから売り場を見ているだけでも楽しいお店なんです。
その何種類かをご紹介していきましょう。
色とりどりのしっとりとしたベーグル
『あこうベーグル』(270円)は赤穂の丸尾牧場の生乳を使って作った、しっとりとしたベーグル。 普通のベーグルをイメージして手に取って「何?このふわっとしたベーグル!」と驚く人もいるとか。
『かぼちゃとおいも』とか、
『さくらクランベリー』、『抹茶とホワイトチョコ』(各270円)など、その素材の組み合わせもちょっと不思議。
どんな味なんだろうと、どれもひと口ずつかじってみたくなりました。
(なんて行儀が悪い想像なんだ)
しっとりした独特の食感のとりこになったお客さんも多いみたいですよ。
ザラメをまとったうずまきクロワッサン
『サックリうずまきクロワッサン』(108円)はザラメがまぶされたちょっと甘めのパン。
フランスパンの生地にバターを折り込んだ渦まき状のパンです。
そのまま食べてもおいしいんですが、半分は焼いて食べました。
クロワッサンのサクサク感がパワーアップして2度楽しめます。
ライ麦80%のセーグル
『パン ド セーグル』(951円 1/2サイズ476円)
セーグルは、フランス語でライ麦のこと。
ライ麦を60%使った物を『パン ド セーグル』というのですが、このパンはライ麦を80%使っているんです。
2つに切ってから立てて、うすめにスライスしてから焼かずにバターを塗って食べます。
ライ麦特有の風味が強く感じられるパンで、噛むとむっちりとした弾力と、ぷつんっと噛み切れる瞬間が楽しい、こしのある食感が味わえます。
最初にほんのりと甘みを感じ、最後に爽やかな酸味と乳酸発酵の旨味が口に広がります。
もうひと切れ続けて口に入れると、口中の酸味が作用して、また甘みの輪郭がくっきりと感じられます。
グルテンフリーの健康食という理由で食べたいけれど、酸味が苦手という人は、サンドウィッチに使ってみては。
チーズなど乳製品をはさむと酸味も抑えられます。
弾力があるので噛む回数が増え、満足感もアップ。
しかもカロリーも抑えられますよ。
甘みを抑えたバゲットアンパン
『バゲットイトシの粒あんマーガリンカスクート』(162円)
店長さんがパン職人となるために多大な影響を受けた、ひとしさんに食べてほしいと作ったパン。
『あこうぱん』で作られるパンは、この人に食べてほしいという作品が多いんです。
その食べさせたい人の多くは赤穂に住んでいる。
赤穂に住む人がいて初めて成り立つパン屋。という意味で『あこうぱん』という屋号になったそうです。
粒あんは自家製。
日持ちさせる目的で過度に砂糖を入れる必要がないために、優しい甘さに仕上がっています。
どちらかというと甘いものは苦手な私が食べても、甘みより旨味を強く感じました。
心持ち長めに焼くとパンがパリパリとして更に美味しく食べられますよ。
長時間熟成が生む濃い旨味
『72時間熟成バゲット』(303円)。
『あこうぱん』のパンは基本1日は熟成させるのですが、さらに長時間熟成させることでフランスパンの持つ旨味がアップし、濃い味わいになります。
歯が当たった瞬間のパリッ!と、中のモチッとの両方が存分に味わえるパンなんです。
最後のひと口にかける想い
『あこうプリン』(281円)は、近くにある赤穂市民病院の患者さんが、亡くなる前の最後のひと口として味わうことができるものとして考えられたひと品。
生乳(せいにゅう)の研究者に教えてもらった技法で作り上げた、熱処理をしない生乳を使ったプリンで、西播磨フードセレクションの金賞にも選ばれています。
味の良さもですが、食べてほしい人への特別な思いがこもったプリンに仕上がっています。
ゴマパンドミ
フランスパン生地の食パンで、焼くことでフランスパンの持つサクサク食感が楽しめるだけでなく、袋を開けただけでゴマの風味が部屋中にふわっと広がります。
砂糖や玉子を使わないことで小麦本来の味が堪能できるパンです。
バターを塗ってから焼いて、パクパクと何枚も食べてしまいました。
スタッフみんなで練り上げるパンのアイディア
水曜日は店長さんが出したテーマにそってスタッフのみんなが様々なパンを作る、新作パンの日。
例えば「昭和レトロ」がテーマなら、紅ショウガの天ぷらが入ったパン。
という具合に、自分の思い浮かべる昭和感をパンで表現します。
出来上がったパンは、スタッフ同士でこうすればもっと美味しいとか、この素材を組み合わせたらどうか、などとアイディアを練り上げ、そこから新作パンとしてデビューするものもあるんですって。
存在理由があるパン
ある日、カレーパンが売り切れていて、カレーパンが食べたいと泣いている子供がいました。
「食べたかったね。ごめんね。」と、店長さんは謝ったうえで、この子のためのカレーパンを作ることを決めたそうです。
子供が車内で食べるとその手で他の物を触ってしまい、車内に油汚れがついてしまう。
そこで春巻きで巻いた、子供でも食べやすい甘めのカレーパンを揚げずに焼いて作ったんだそうです。
アイディアを無理やりひねり出すのではなく、その人が喜んで食べてくれるためには、どうすれば良いかを考える。
いわばすべてのパンにしっかりとしたコンセプトがあって、それが活かされているということなんです。同じコンセプトで、素材を変えたら?などと考えるとまた違ったパンができあがる。
なるほど、アイディアが尽きない理由がわかりました。
ちなみにこのパン、トラックの運転手さんがとても気に入って一度に20個くらい買っていくほどのファンになってしまったとのこと。
何がヒット作の原因となっているのか、わからないものですねぇ。
赤穂義士に食べてほしいハンバーガー?
変わったところでは忠臣蔵で知られる赤穂義士にちなんだハンバーガーも人気商品。
47人の中からテーマとする一人を選び、その人がどんな人物だったか調べます。
その人の性格や好きなものを考えて作った、その人のためのハンバーガー。
せっかく赤穂にあるパン屋さんだから、パンが赤穂について知ってもらうきっかけとなれば良いなと考えて作っているそうです。
次に来た時にはどんなパンが私を待っていてくれるのか、そしてそのパンにはどんなストーリーがあるのか。
わくわくできるパン屋さんでした。
(ライター 憶良)
※本記事は2023年4月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
あこうぱん
住所 | 兵庫県赤穂市加里屋中洲6丁目24 |
電話番号 | 0120-203-565 |
営業時間 | 平日 6:00~18:00 土・日・祝 7:00~18:00 |
定休日 | 月曜日・火曜日 営業時間・定休日は変更となる場合ありますので、 店舗にご確認ください。 |
アクセス | JR播州赤穂駅から徒歩15分 |
駐車場 | あり |
SNS | Facebook https://www.facebook.com/akopantarou/ Instagram https://www.instagram.com/ako__pan/ |
ライター 憶良(おくら)
ゲームプランナー、プロデューサー、ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。日本で一番古いハンドルネーム、OKURAです。休日は温泉へ出向き、道中での食べ歩き、行先の地元スーパーで珍しい食材を買い込んで料理したりと、食に対してはかなり貪欲。「美味しいものを食べている時、美味しいものについて話している時に、悪いことを考える人はいない」という持論を持つ。