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古民家をステキにリノベーション
「古民家カフェほのり」は、兵庫県多可郡多可町加美区の豊かな自然に囲まれた場所にあります。まるで田舎のおばあちゃんの家に帰ってきたような懐かしさがあり、縁側に思わず座りたくなります。
多可町は、加美区・中区・八千代区の3区から成り立っていますが、加美区はその一番北にあり、丹波市、朝来市、神河町などと隣接しています。車がないと不便なエリアですが、車さえあれば、大阪、神戸、京都からも1時間半ほどで来ることができます。
窓を開ければ、山々や田畑の緑を望み、小鳥のさえずりを耳にし、風の匂いを感じることができます。晴れでも雨でも、このエリアならではの風情があり、その空気感を楽しむことができます。
店内はすっきりとした雰囲気。天井はそのまま残し、畳敷きの座敷をすべてフローリングにリノベーションしてテーブル席にしました。床の間もうまく活用して、物販コーナーにしています。引き戸や障子戸などは、当時の意匠をそのまま残しながら利用し、古民家の良さを感じることができる空間づくりをしています。
モダンな雰囲気のカウンター席もありますよ。テーブル席の方が人気だそうですが、常連さんがちょこっとモーニングを食べに来るのにもよさげです。
「窓から眺める風景が好き」「古民家の佇まいが落ち着く」など、顧客層は、60代以上の落ち着いた年代の方がメインで、女性グループの女子会にもよく使われるそうです。
人気のランチは『今月のペルシャ料理』
ランチで人気は『今月のペルシャ料理』。京阪神にもペルシャ料理を提供する店はありますが、地元の家庭料理を出す店は珍しいとのこと。店主の丸尾法子さんのご主人でイラン人のアリレザ・アフマディさん(通称:アリさん)が作る、月替わりのランチを毎月楽しみにしているファンもたくさんいるそうです。
ペルシャ料理は、インドやネパール、インドネシアのスパイスとは違う独特のスパイスを使います。ツンと鼻に付くものではなく、ハーブと混ぜて使うことが多いのでやさしいテイストです。
取材時の料理のメインは、「ホレシュテゲイメ」といって、ポテト、サフラン、タマネギ、うずら豆が入ったトマトベースの煮込み料理。そこに赤い実(ゼレシュク)をトッピングしたサフランで色付けしたジャスミンライスを添えています。なるほど、スパイスは利いていますがやさしい味わいです。
同じお皿には「ヒオールシュール」というイランのピクルスも。イランはイスラム教の国なので、アルコールを使えないそう。アルコール分が入っていない酢といろいろなハーブを使って漬け込んだピクルスです。
2段のハンディラックで運ばれたプレートには、下段に名物のピンクのドレッシングがかかったサラダ、上段にはアリさんブレンドのチャイと法子さんが作ったケーキがのっています。
ごはんもメインプレートもしっかり量があるうえにデザートとドリンク付なので、ボリューム満点です。
女性から人気ナンバー1は『エビのフリット』です。メインのフリットはハニースイートチリソースを絡めています。 そのほか、ランチは『手こねデミグラスハンバーグ』、『ミックスハーブチキン』、『サムギョプサル』など6種類がラインナップ。8種類の日替わりのお惣菜、スープか味噌汁、茶わん蒸しとごはんが付いていてお得感があります。これらはメイン料理をアリさんが、お惣菜や茶わん蒸し、汁物を法子さんが担当しています。
モーニングもワールドワイド
モーニングも、国際色豊かに展開しています。
こちらは、洋風のモーニングで、トースト、ゆで卵、ヨーグルト、サラダなどが付いてワンコイン。ごはんとみそ汁、焼き魚などが付いた『和モーニング』も同じくワンコインで提供しています。
『イランモーニング』もありますよ。こちら、ナンにクリームチーズ、ゆで卵、ハチミツ、くるみをのせたイラン伝統の朝食です。たたんでクレープみたいに食べるそうですよ。モーニング以外の時間では、980円で提供しているので、モーニングでお得にいただきたいですね。
モーニングもランチもお料理はすべて手作りで、季節の野菜を多用しています。味噌汁の出汁は日高昆布でとり、茶わん蒸しの出汁は、宗田カツオといりこを使うなど、厳選の素材を使用しているのも店の特徴です。「ベジタリアンやビーガンにも対応しています。割増料金なしで作っていますので、気軽にお声掛けください」と法子さん。
店の一角でペルシャ雑貨を販売
店の一番奥には、物販コーナーがあり、イランから直接買い付けてきたペルシャ雑貨を販売しています。作家さんの手仕事のものが多く、ネックレス、ブレスレット、ピアスといったアクセサリーは、大理石やトルコ石など石を使ったものがメインです。
ギャッベもありますよ。このギャッベは、イランのある博物館の一角の小部屋に機織機を置いて、50年以上織っている作家さんの作品です。サイズも多彩に展開しています。
そのほか、伝統工芸品のキリムのバッグもあり、すべて一点ものです。
不思議なご縁で国際結婚へ
店主の丸尾法子さんとご主人のアリレザ・アフマディさん(通称:アリさん)です。
実は法子さんとアリさんは、不思議なご縁で繋がったお二人なんです。法子さんは、2018年11月にこの店をオープン、2019年1月に当時のご主人と離婚しました。
オープン後、アリさんの妹が【ほのり】のInstagram投稿に「いいね」をしてくれたのがきっかけで、家族ぐるみのお付き合いが始まりました。その後アリさんのDM誤送信があり、イランの方々だったのが分かったり、アメリカからの経済制裁が国民に与える影響を知ったりしたわけです。それで、イランへ直接行ってボランティアをするしかないと一念発起してイランへ行くことになったのです。
2021年11月に初渡航し、貧しい子どもたちへのチャリティも続けながら、ペルシャ料理や雑貨に興味を持つようになりました。90日滞在し帰国の2週間前にアリさんからプロポーズされましたが、再婚の気持ちはなかったので、そのままスルー。半年後2度目のイラン渡航で、アリさんの誠実な人柄と本気の愛情を実感してイランで再婚することに。
2023年1月、アリさんがペルシャ料理のシェフとして来日して、今に至っているそうです。特に料理人ではなかったアリさんですが“プロはだし”。「料理が元々好きで、おいしいと褒められたらうれしいし、初めてこんな味の料理を食べたと喜んでくれたらうれしい」と話します。お二人は、夜は同じ町内で、串揚げとケバブの店「ラッカ・ラッキャ」を営んでいるというから、こちらも気になりますね。
10月からは2階をドッグカフェにリノベーションして、愛犬家に喜ばれています。「あるイベントで、小型犬が車のなかに置き去りにされていたのを見たんです。いずれ、ワンちゃんと一緒に行けるお店ができたらいいなと思っていたので、セルフリノベーションしました」と法子さん。ワンちゃん用のフードも手作りなので、ワンちゃんと一緒にのんびりできますね。
「おいしい空気、水、お米を堪能できますので、ゆっくりくつろいでほしいですね」と法子さん。
(ライター 歌見)
※本記事は取材時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
古民家カフェ ほのり
住所 | 兵庫県多可郡多可町加美区大袋120-4 |
電話番号 | 0795-20-4141 |
営業時間 | 7:30~15:00 モーニング7:30~11:00(10:30LO) ランチ11:00~15:00(14:30LO) |
定休日 | 火曜 |
アクセス | 西脇市駅よりウイング神姫 山寄上行きで約50~55分、「大袋」下車徒歩4分 播但連絡道路神崎南ICより30分、中国自動車道滝野社ICより45分 |
駐車場 | 13台 |
HP | https://iranbuzzurl.base.shop/ (ペルシャ雑貨のオンラインショップ) |
SNS | https://www.instagram.com/honori20181130/ |
ライター 歌見(うたみ)
晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。