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夏休みにおすすめ阪神間の穴場スポット、尼崎南部エリア。船の行き交う尼ロックと運河沿いの遊歩道

尼ロック防災展示室特別公開のお知らせ(尼崎港管理事務所施設課提供)

その辺りって工場しかないでしょ? いいえ、最近は遊歩道も整備されて、のんびり過ごせるおすすめスポットなんですよ。夏休み期間中の週末には尼ロックの見学も楽しいですよ。

迫る海との戦いの歴史、尼崎南部エリア

兵庫県尼崎市の南部には、国内有数の「海抜ゼロメートル地帯」が広がっています。なんていきなり難しそうなお話で恐縮ですが、実際かなり大変な状態で、昔から何度も水没しそうな危機に見舞われていたといいます。その面積は、実に尼崎市の1/3。そこで1951年から、国と県と市が莫大なお金と時間をかけて、このエリアを取り囲むように長い長い防潮堤を整備しました。さらに防潮堤の内側にある工場をめぐる運河からは、常にポンプで排水して水没を防いでいます。

 なんて普段あまり広く皆さんに知られてませんよね。そうなんです、実は静かに、今日も続く水との壮大な戦いが繰り広げられているのです。

運河と工場。この辺りの水面は海より低くなっています

防潮堤に護られた工場地帯のサイバーな景色

尼崎市南部の運河が巡っているエリアは、基本的にあんまり人がいません。工場が立ち並ぶ工業地帯で、住宅地ではないので、仕事関係の人たちしかあまり用事がないんですね。なので一般ピープルが入り込むととてもアウェイな雰囲気というか、なんかちょっとこわいな、怒られへんかな、という空気が以前はありました。しかし最近、工場夜景の魅力が広く知られるようになったり、工場地帯がちょっと身近になってきたのもあるのでしょうか。この辺りにも遊歩道や公園が整備されて、ちょっとした憩いの空間も増えてきました。

 普段あまり見ない、あまり人のいない景色。海からやってくる鳥の群れ。間近を通過する大きな船。サイバーな工場の佇まい。内陸よりも広がりを感じる空。尼崎市南部のエリアには、実は隠れた写真映えスポットがたくさん眠っているのです。

尼崎運河の案内

大きな船が豪快に行き交う閘門、尼ロック

防潮堤の内側の運河と、外側の海。防潮堤があるということは、工場に原料を運び込んだり製品を運び出したりする船が、海から出入りできませんよね。そのために一箇所、閘門(こうもん)が設置されています。閘門というのは二つセットになった水門で、これを開けたり閉めたりすることで海からの水を防ぎながら船を通すことができる施設です。ちょっと難しいかもしれませんが、これはあのパナマ運河と同じやり方なんですね。

尼ロックの看板。施設の概要がよくわかります

尼崎の閘門は「尼ロック」と呼ばれて、一部の尼崎市民に親しまれています。「一部の」というのは、つまりそういう尼崎南部の様子に興味を持っている人があまり多くないからなのですが、実はこのエリアって知ると結構面白いんですよね。

水門が閉じた尼ロックを海側から見たところ

尼ロックはやはり、このエリアの目玉です。500トンまでの船が通過可能で、水門の開け閉めの際には潮位差で水が流れ込んだり、かなりダイナミックなシーンが見られます。

水門が開いたところ。水路の幅ギリギリの大きな船が出てきます

この尼ロックの運転を管理している建物の一階には防災展示室があって、毎年7月と8月の週末には一般に開放されています。各日先着で記念品がもらえたり、フレンドリーな対応が嬉しいです

水門が開くと、水位の高い海側から水が流れ込んできます
防災展示室の玄関
防災展示室の展示物
水門の操作盤

 様々な展示物、また映像も紹介されています。画面からは、まさに水没しかかっていた過去の尼崎の様子がリアルに感じられます。また、2階のバルコニーからは閘門を通航する船の様子が眺められます。普段あまり目にすることのない角度から見る船はなかなかいいものです。

展示室の屋上から見た、尼ロックを通航する船

阪神なぎさ回廊の一部、ウォーキングにもサイクリングにも

阪神なぎさ回廊の案内
遊歩道に設置された道しるべ

尼ロックの北側一帯は、尼崎運河に沿って自転車道を兼ねた遊歩道が整備されています。これは阪神間の海沿いエリアに整備されている「阪神なぎさ回廊」の一部で、「なぎさめぐり尼っ子リンリンロード」と名付けられたこの区間では、工場が建ち並ぶ中を抜けていく、ちょっとSFっぽい景色が広がっています。なんとなく不思議な、映える写真が撮れそうです。

中堀運河と北堀運河の合流点に架かる、であい橋
であい橋付近は写真スポットがいっぱい
ウッド風の遊歩道

 いよいよ夏休み。混み合う人気スポットもいいですが、人混みを避けて超穴場の尼崎南部エリアでのんびり過ごしてみるのはいかがでしょうか。

であい橋はモニュメントになっています

(ライター 小嶋)

※本記事は2023年7月時点の情報です。

尼ロック防災展示室 

住所兵庫県尼崎市西海岸町地先
電話番号06-6409-1356
営業時間2023年7月・8月の土曜・日曜・祝休日 10時00分~16時00分
アクセス阪神尼崎駅より阪神バス(70系統)約10分東海岸町下車、徒歩約8分
駐車場あり 普通車14台(無料)

ライター 小嶋あきら

猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。

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