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「千代治のくつ下」の歴史
「千代治のくつ下」を製造販売する「千代田繊維工業株式会社」は、高砂市と加古川市の境にある信仰の山「高御位山(たかみくらやま)」の麓、のどかな田園風景が広がる加古川市志方町にあります。
創業は1951(昭和26)年。初代社長・長谷川千代次さんが長谷川千代次商店を立ち上げ、その後、2代目が千代田繊維工業株式会社として法人化。現会長で3代目の好信さんが、2009年に自社ブランド「千代治のくつ下」のインターネット販売を開始し、2017年、神戸国際会館に直営店をオープン。同時期、本社敷地内にショップをオープン。2019年には昔の工場をリノベーションしたギャラリーカフェ「露草」をオープンしました。昨年5月には貴也さんが4代目社長に就任しています。
加古川市志方町は、牛肉の町という印象が強いのですが、靴下の町としても有名で、その歴史は明治時代に遡ります。志方町の住人が中国・上海から手回しの靴下編み機を持ち帰ったことが発祥。江戸時代から綿花の栽培が盛んで、原材料の入手が容易だった地域性も背景にあります。農家の副業として農業用倉庫で製造の過程を担っていた時代から、昭和の高度成長期には多くの工場が建ち並び1970年代に全盛期を迎えました。当時は、志方町の多くの人が何かしら靴下の製造に携わっていたそうです。
2000 年を境に安価な海外靴下が大量に国内市場へ流入し、日本国内の多くの靴下工場が閉業へと追い込まれました。加古川を中心とする兵庫県靴下工業組合に加盟する工場も、最盛期には360社ほどありましたが、現在では60社という規模になっています。そのなかでも、今まで培われた技術で品質の良い日本製の靴下を作り続けているのです。
アイテム豊富にステキな靴下がそろう
敷地内にあるショップ「アトリエ」です。おしゃれな雰囲気でしょう。店内も色とりどりの靴下が並んでいて、とてもカラフル。ここでは実際に手に取って靴下を選ぶことができます。
「千代治のくつ下」は、約200アイテムで展開していますが、カラーやサイズも含めると2000~3000アイテムというバリエーションになります。
最大の特徴は、履きやすくて肌に優しいこと。日用品としての靴下、生活になじむ靴下であることとともに、おしゃれ感も大切にしています。そして、値ごろ感も魅力です。「自分のために買って、よかったので友達にもプレゼントしたい」と思える価格帯にもこだわっています。
多くの商品のなかから、おすすめを紹介しましょう。
まずは「マーブル編みシリーズ」です。これだけで100アイテムはあるそうです。おしゃれが楽しくなる豊富なカラーで展開しており、足を締め付けない柔らかな質感やゆったりした履き心地が特長です。
サンダルを履く時にも着けれる「つま先なし」のほか、5本指、くるぶし丈など、さまざまなアイテムで展開しています。
播磨の名峰、高御位山をモチーフにした靴下です。全パイルで耐久性が高いので、スポーツや山登りはもちろん、日常生活でも活躍する靴下です。太陽と四角い建物(=この 工場)のワンポイントがあるのも遊び心がありますよね。
重ねばき用ソックスは、あまり他店で売ってないのでわざわざ買いに来る人も多いそうです。「こんなところにあった、しかも安い」といわれるとか。
加古川市内や志方町内からはもちろん、「ドライブがてらに来た」という姫路・明石・神戸・大阪方面からのお客さんも多いそうです。「こんな靴下を探していました。やっと出合うことができました」と男性の方からメールをもらったときには、スタッフ一同、とてもうれしかったとか。
土曜の午前中のみオープンするカフェ
土曜の午前のみオープンするカフェ「露草」です。もと工場だった建物をリノベーションしたギャラリースペースで、一枚板のテーブルやカウンター、そして木製のチェアがとてもおしゃれです。
カフェはオープンしたのは5年前。「遠くから靴下を買いに来たのに、お茶でも飲めるところがあれば」とお客さんに言われたのがきっかけだったそうです。カフェを運営するのは、「千代治のくつ下」の店長の長谷川郁子さんです。「土曜日のモーニングを楽しみ に地元のシニアの方も来てくれるんですよ。地元の方たちの憩いの場にもなっています」。
パン、ヨーグルト、サラダのワンプレートとコーヒーというスタイルでやっています。「パンは自分が食べたいもの、野菜は旬のものを使って、コーヒー豆は自家焙煎しています」と郁子さん。土曜日の朝から丁寧に作られたプレートセットで、少し贅沢な気分になりました。
また年2回ほど、このスペースを使ってイベントをしています。7月にもイベントがあ るそうですよ
【Clothes&Goods Tree marche】
日にち:7月14日(金)15日(土)10:00~15:00
内容:katachi(布・ラミネート雑貨)、 koharubiyori(本革アクセサリー)、 higawari(日替わりで楽しめるコモノ)、 sunnytree(大人服・子供服)、 まるちゃんカフェ(陶器)、千代治のくつ下、sora(焼き菓子など・14日のみ)、ハナサクプアラス(パン11:00~・15日のみ)、trente sept(焼き菓子など・15日のみ)
自社工場にて製造販売を一貫して行う
最後に工場内を見学させていただきました。
工場の規模の割には機械の種類が多く、多品種小ロットで、いろいろな種類の靴下を編むことができるそうです。新旧取り混ぜて、約70台の機械が並んでいますが、職人さん7名、パートスタッフ4名と少数精鋭で、靴下を作っています。
靴下によって使う機械は異なりますが、こちらの機械は片足ずつ編みあがるタイプで、 人の手と目で検品して手作業で裏向きにします。
つま先を縫い合わせるイタリア製の機械もあります。
こちらは進化した機械で、つま先を縫い合わせやすいように、裏むきで仕上がるそうです。
4代目社長の貴也さんが、ものづくりへの想いを話してくれました。「私自身、まだまだ靴下づくりのことも、業界のことも、走りながら学んでいる状況です。製造から販売まですべて自分たちで行なっているため、お客様の生の反応を聞くことができ、それを商品づくりにつなげられるのがおもしろさ。靴下以外のラインナップも増えましたが、根底にあるものづくりへの想いはずっと変わりません。長く愛用していただけるように、シンプルだけど履き心地、着心地のいいものを丁寧に作っています。私共は小さな会社ですが、冒険心を持って成長し続ける企業でありたいと思っています。透明性の高い上質なものづくりを、これからも大切にしていきます。」
70年以上にわたって、糸の仕入れから編み立て、縫製、検品まで、すべて自社で行って きた千代治繊維工業株式会社。昔ながらの工場で、一つひとつ人の手と目で検品しながら、メイドインジャパン、メイドインシカタの靴下が作られているのがわかりました。もともと「千代治のくつ下」のファンだった私、作られている現場を見学し、作り手の想いにも触れ、ますます大好きになりました。
(ライター 歌見)
※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
千代治のくつ下/千代田繊維工業株式会社
住所 | 兵庫県加古川市志方町氷室219-1 |
電話番号 | 079-452-0243 |
営業時間 | 10:00~17:00 カフェ「露草」は土曜日9:30~12:30 |
定休日 | 日曜 |
アクセス | 加古川バイパス加古川西ランプより車で11分 山陽自動車道加古川北ICより車で7分 |
駐車場 | 20台 |
HP | https://www.chiyodaseni.com/index.html |
SNS | https://www.instagram.com/chiyojinokutsushita/ |
ライター 歌見(うたみ)
晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。