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香りの聖地・淡路島の【薫寿堂】で 手作りお香や新しい室内香を楽しむ
淡路島がお線香の全国シェア約70%という一大産地ということをご存知でしょうか。淡路島だけでも14社あり、そのなかでも最大手といえば淡路市にある「薫寿堂」です。仏壇に供える実用線香だけでなく、さまざまな種類の室内香もあわせ、100アイテム以上というラインナップを誇っています。工場に隣接したショールーム&ショップでは、買い物だけでなく気軽にお香づくり体験を楽しむこともできます。
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日本の香りの歴史は1400年前の淡路島から
『日本書紀』によると、推古3(595)年の夏、沈香木(じんこうぼく)が淡路島に漂着したとあり、「薫寿堂」からほど近い海岸に流れ着いたと推測されています。そして、海岸沿いに立つ「枯木神社」の小さな社にに等身大の香木が祀られています。
「薫寿堂」がある淡路市一宮町は、日本一の線香の町として知られています。淡路島全体で、全国シェアの約70%を占めるというのですから、一大産地ですよね。
線香づくりが地場産業として定着したのは明治時代に遡ります。廻船業が盛んだった淡路島に、大阪・堺から技術が導入されたのです。薫寿堂創業者の福永平一郎さんも廻船業を営む傍ら線香づくりにも着手し、明治26(1893)年、「福永線香店」として創立しました。その後「福永薫壽堂」を経て、昭和23(1948)年には「株式会社薫壽堂香舗」として法人設立、さらに平成4(1992)年の創業100年を機に「株式会社薫寿堂」と名前を変えました。現社長の福永稔さんで4代目となります。
もともと一宮町の江井港は天然の良港で漁師さんが多く、冬枯れ対策として線香づくりに従事していたそうです。線香づくりに欠かせない「乾燥」の工程も、季節風が吹く淡路島西海岸が適していたようです。
こうして作られる薫寿堂の線香
本社社屋に入ってすぐのところ、ショールームにあるお香原料の展示スペースでは、線香の製造工程のビデオを上映しています。
こちらの線香は、「調合」→「混練」→「成型」→「裁断」→「乾燥」→「検品」→「箱詰め」という工程で作ります。今はお客様向けの工場見学は休止していますが、特別に案内していただきました。
工場2階で、銘柄ごとの各種の原料・香料を調合。温水を加え約30分練り上げたのち円筒形の「練り玉」80㎏に仕上げます。
練りあがった練り玉を成型機に仕込み、素麺状に押し出します。
成型されたお線香・お香を銘柄に応じたサイズに切り揃えます。基本は1日1種類を作るそうです。この日は主要銘柄の「花琳(かりん)」を作っていました。
切り揃えたお線香は、温度・湿度管理された乾燥室で品質チェックを行いながら、約24時間乾燥させます。温度と湿度は、季節によって調整するそうです。
乾燥させたお線香・お香は、人の目と手で、1本ずつチェックしながら、曲がりや折れなどの厳重な検査を行い、商品として不適格なものは取り除きます。
銘柄ごとに、容量や数量を揃え、箱詰めして出荷に備えます。
機械で銘柄ごとに、配合を変えて作るお線香やお香ですが、最終的には人の目や手を使ってチェックし、箱詰めしている様子を見学することができました。
お香づくり体験が楽しい
薫寿堂では、「お香づくり体験」を楽しむことができます。
子どもはもちろん、大人でも童心に帰って取り組める内容です。
今回私も、友人3人と一緒に「お香づくり」にチャレンジしてきました。体験は予約が必要で、予約時間に行くと専用のスペースをあらかじめ用意してくれています。
スタッフの方が付いてレクチャーしてくれるので、心配無用です。
まずは、お香の色の粉と香料を選びます。色も香料もそれぞれ3種類用意されています。私は黄色のシトラスの香りの組み合わせにしました。
選んだ粉に水を加えて練っていきます。
さらに香料を加え練ります。香料が入ったので、練っていてもいい香りがします。
できあがった生地を薄くのばします。均等になるように両側に細いプレートを置きます。
クッキーの型で、型抜きしていきます。これ楽し~~~!
違う色の粉をセレクトした友達とトレード。ブルーの船やピンクのハートもかわいいでしょう。最後に残った生地は、マーブル模様にするのもかわいい。
できたお香は、このまま自宅に持ち帰り3~4日乾燥してできあがりです。
お香づくり体験をしたら、300円のお買物券がもらえます。なんだか得した気分。お買い物タイムを楽しみます。
<お香づくり体験>(1グループ4名まで・要予約)
料金:1人1,000円(ショップで使える300円の買い物券付き)
所要時間:約40分
人気のラインナップをご紹介
ショップには、実用線香はもちろん、様々な室内香が並んでいます。
実用線香の一番の売れ筋は「花琳」です。ミニ寸、長寸、うずまき型など種類も豊富です。ギフト用も多彩にそろいます。
室内香で人気は「花かおり」シリーズです。梅、桜、ラベンダーなどやさしい花の香り心地よい商品です。私もこのシリーズ、ラベンダーを持っています。爽やかな香りで季節を問わず使えます。
次に人気は「漢健香」シリーズです。東洋医学の思想をもとに、天然生薬やハーブを、炭とはちみつで丹念に練り込んだ天然原料100%の漢方香です。医学や薬学、そしてアロマテラピストといった専門家の協力を得て開発した商品だそう。ゆっくり寝たいときに最適な「眠」や鼻のムズムズを解消する「鼻」など、目的によってセレクトできるのもうれ しいですね。
プレゼントやお土産にも最適な商品を紹介しましょう。
こちらの商品、「AROMA cord」といって一見糸のようにも見えますよね。2mの長さのコードのようなお香です。好きな長さでカットして、お香として使うのはもちろん、水引やリボンの代わりにしても気が利いています。2色使いをしてもかわいいかも。
葉っぱのお香「HAKO」です。火をつけて使うのがお香ですが、こちらそのままお皿の上に乗せておくだけで、かぐわしい香りが楽しめます。葉脈まで美しく再現されているので、飾っておくだけでもステキですよね。こちら、木製の箱や銅製の缶入りもありますので、プレゼントにも最適です。
いい香りがする紐のお香、アロマコードを水引で結んだ「叶結び」。一粒万倍日+大安の良き日に、淡路一之宮である伊弉諾神宮でご祈祷を受けてきた特別なお香です。
桜がプリントされ桜の香りがする「花桜」や鯛やひょうたんなど縁起物がプリントされバラの香りがする「宝づくし」などがそろうプリント印香のなかでも、本社ショップ限定が「淡路七福神」のもの。縁起が良くて幸せな気持ちになりそうです。
和モダンテイストのもの、スティック・コーン・うずまきと3種の形状のお香に使用できるもの、うずまきのお香専用のものなど、香皿や香立もいろいろそろっています。
ショップの一角には、カフェスペースがあり、コーヒーやお茶などをフリーでいただけるカフェスぺースがあり、ほっと一息つくことができます。工場を案内してくれた常務取締役の明石省三さんは「普段の生活のなかに、香りを気軽 に取り入れてほしいですね。日常的に香りを楽しんでもらえたら」と話します。もともと香り好きな私ですが、自分で作ったお香は愛着もひとしお。毎日のようにお香を焚いて、かぐわしい香りに包まれています。
(ライター 歌見)
※本記事は2023年6月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
薫寿堂
住所 | 兵庫県淡路市多賀1255-1 |
電話番号 | 0799-85-1301 |
営業時間 | 10:00~16:00 <お香づくり体験>10:00~、11:00~、13:00~、14:00~、15:00~ |
定休日 | 年末年始 |
アクセス | 津名一宮ICより車で約8分 |
駐車場 | 15台 |
HP | https://www.kunjudo.co.jp/ |
ライター 歌見(うたみ)
晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。