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唯一無二のものづくり! 【tamaki niime】は自然と共生して循環型の事業を展開
先染めの糸で、色鮮やかに柄を織る「播州織」をご存知ですか。西脇を中心とする北播磨で約200年の伝統と歴史を誇る地場産業です。その西脇で、新しい播州織のカタチを追求しているのが『tamaki niime(タマキニイメ)』です。カラフルで、やわらかくて、個性豊かな一点ものを展開しています。2022年2月には、おりもの、こもの、たべもののみせ『tamaki niime shima』をオープン。こちらの新店を含め、本社や周辺でも、「tamaki niime mura」として新しい事業展開をし、益々パワーアップしています。
オンリーワンの作品を展開
本社は、西脇の中心地から少し離れた「日本へそ公園」の近くにあります。
すぐそばには川が流れ、のどかな田園風景が広がっています。自然豊かな環境のなかで、ひときわ目立つ白い建物が本社社屋ですが、こちら播州織の染工場だった建物なんです。この場所に移転してきたのは、2016年、会社設立10周年という節目の年でした。1階は「Showroom & Lab」、2階には「tabe room」を備えています。
『tamaki niime』は、デザイナーの玉木新雌さんが展開する播州織のブランド。玉木さんは綿の柔らかさと生地にする段階でデザインできる先染織物に惚れ込み、播州織の理想の生地を求めて、ブランドを立ち上げた大阪から産地である西脇に移り住みました。
当時、播州織といえばカッターシャツ生地が代表的なアイテムで、どちらかといえば硬い印象。柔らかくてふわふわの『tamaki niime』の生地と同じ織物とは思えません。まずは、サイズや性別を問わないショールから作り始めました。そのショールが大ヒット。リピーターが続出する作品として定着しています。
今では、ウェアはトップスからボトムスまで幅広く取りそろえ、ワンフロアで600アイテムほど並びます。ワンピースやスカートなどレディース以外は、ユニセックスで展開しています。その他、ミトンやエプロン、スリッパなど、小物類も置いています。
コロナ禍では、「タマスク」というマスクが大ヒット。暗い気持ちを明るくするようなステキな柄の布マスクで、私もいくつか持っていますし、プレゼントにも使いましたよ。
製造工程を自由に見学可能
ここでは、「コットン栽培→コットン収穫→糸の染め→経糸づくり→織る→織って洗う→仕上げ」という商品が完成するまでの工程を担っていますが、これらの工程をガラス越しではなく、間近で見学することができます。
1960年代から活躍する昔ながらの力織機を見ることもできるんですよ。
糸は7つの釜を使って染めています。糸はすべてが少量ずつ染める一点ものです。
また糸の段階だけでなく、織り上った生地もここで洗濯します。
染め上がった糸は、ピンクだけでもすごい数。これらの糸を使って、唯一無二の作品が織られていきます。西脇で本格的にコットンの栽培を始めて5年目。全国の農家にコットンの種を届け栽培してもらい、収穫物を買い上げる取り組みも行っています。自社の畑だけで300㎏、取り組み全体で1.6tのコットンを収穫しています。
作品に使うコットンだけでなく、周辺の田畑を借り、自然栽培の米や野菜を育てています。「循環型の取り組みを進めています。自分たちの敷地のなかで、理想のあり方を地域と関わりながら、仕組みを作っていけたらと思っています」とは広報担当の藤本さん。コロナ禍で、これまでの活動を振り返り、多くの方と一緒にものづくりをして今があることを再認識でき、今後も関係性を継続するためのいい機会になったとも。
綿から糸を作る機械も導入し、早ければ今年度中に、西脇で作られたコットンを西脇 で織って作品にすることができるそうです。まさに循環型で自給自足の取り組みです。
アニマルームも楽しい
緑豊かな本社敷地内では、多くの動物を飼っています。何と6種16頭。
5頭のアルパカはニュージーランドから千葉県を経由して、2月のイベントに合わせて村にやってきました。その他、ポニー1頭、ひつじ3頭、ヤギ2匹、烏骨鶏2羽、イヌ3匹という内容。繊維の原料になる種類の動物たちとともに暮らしながら、ものづくりを深め、自然と共生する環境づくりに取り組んでいます。
イベントも多彩に開催
本社2階の「tabe room」では、毎月「腹ごしらえ会」というおもしろいイベントも開催していますよ。『tamaki niime』と食の作り手による、カラダにも地球にもやさしい食べる時間ということで、土・日、祝日に開店します。
作り手は、兵庫県内を中心に『tamaki niime』のコンセプトに沿った食事を提供できるお店です。神戸から西脇に移転した人気カフェ『かもめ食堂』や、「Localprime」で取材した、たつのの『クラテラス』、相生の料理工房『Bon-Mark』なども不定期で出店しています。
「腹ごしらえ会」は予約不要。11時からスタートし、売り切れ次第終了です。
過去記事:『クラテラスたつの』 たつのの魅力がいっぱい詰まった元醤油蔵のランドマークスポット
過去記事:『Bon-Mark』サクサク食感と程よい塩加減 グランプリ受賞の「播磨灘牡蠣ラスク」が旨い!
また、6月4日に西脇で開催される「第4回播州織産地博覧会(播博)」の前日イベント「初開催!オープンファクトリー~ものづくりの現場をのぞいてみよう!」に参加します。lab見学とものづくり体験は、告知とほぼ同時に即満席になりましたが、播博は西脇市をあげて開催していますので、この機会に訪れるのも楽しいかもしれませんね。
『tamaki niime shima』は地域のイイものをセレクト
本社から車で3分くらいの国道175 号沿いに、2022年2月オープンした『tamaki niime shima』です。「おりもの、こもの、たべもののみせ」というコンセプトで、自分たちのつながりの中で発掘した、北播磨を中心とした兵庫県のイイものをセレクトしています。
「shima」は、住所の字名の「嶋」と、播州織の縞々の「縞」から。コロナ禍で輸出もストップし、布を売ってそれを生業としている業者が多いこの地域が大ダメージを受けたなか、ものづくりのこだわりをみんなで発信する場、そして一社だけでなく地域全体が共存共栄する場として立ち上げました。
多可町『足立醸造』の醤油や山田錦を使った煎餅「木桶仕込み醤油アーモンド&煎餅」、加古川『TAKAMIOKAKI』の「僕が本当に造りたかったおかき」、丹波篠山『鳳鳴酒造』の「ささやまサイダー」、多可町『茶穀米研究所』の「茶穀米」などなど、おいしそうなものがいろいろ並んでいます。
この店にしかないオリジナル商品もありますよ。
神戸ポートアイランドの自家焙煎コーヒー豆店「LANDMADE」と焙煎から一緒にしているコラボコーヒーやワンちゃん用のクッキーの「AZUL」と作ったオリジナルアイシングクッキーもあります。
ロゴマークの焼き印が押されたコースターは、多可町のひのきを使ったもので、このまま切手を貼って投函することができる優れモノ。
もちろん、tamaki niime作品もセレクトして置いていますし、オンラインショップとこの店にしかない限定商品もあります。
播州織のカットクロス(1m、2m、3m)もあります。
こちらもコラボ商品。播州織の幡屋さんの柄のモチーフをいかし、オリジナルの配色にしたものです。
そうそう、この店にはカフェスペースがあって、オリジナルコーヒーを飲むことができます。西脇の老舗和菓子店『住吉屋』の「へそ最中」をおやつに、ほっとひといきついてはいかが。
『tamaki niime』本社で「Showroom & Lab」で見学とウェアのお買い物、「腹ごしらえ会」の日だったら、「tabe room」でランチ。腹ごなしにアニマルームで動物たちと戯れて、帰りに『tamaki niime shima』で、お茶を飲んで、さらに地域のイイものをお買い物。
一日、『tamaki niime』ワールドを満喫できますよ。
(ライター 歌見)
※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
tamaki niime mura
住所 | 兵庫県西脇市比延町550-1 |
電話番号 | 0795-38-8113 |
営業時間 | 11:00-17:00 |
定休日 | 月・火曜 |
アクセス | JR比延駅から徒歩約19分 中国自動車道滝野社ICから車で14分 |
駐車場 | 20台 |
SNS | https://www.instagram.com/tamakiniime/ |
tamaki niime shima
住所 | 兵庫県西脇市嶋447-1 |
電話番号 | 0795-27-8227 |
営業時間 | 10:00~16:00 |
定休日 | 月・火曜 |
アクセス | JR比延駅から徒歩約22分 中国自動車道滝野社ICから車で12分 |
駐車場 | 15台 |
SNS | https://www.instagram.com/tamakiniime_shima/ |
tamaki niime
ライター 歌見(うたみ)
晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。
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