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春と秋、年2回の企画展が待ち遠しい!1934年創立の白鶴美術館

神戸・住吉山手の閑静な住宅街に佇む『白鶴美術館』

神戸・住吉山手の閑静な住宅街に佇む『白鶴美術館』は、私立美術館のさきがけとして1934年5月に開館しました。白鶴酒造七代・嘉納治兵衛(正久)が集めた古美術品のコレクション500点から出発し、現在の所蔵品数は国宝2件・重要文化財22件を含む計1400点以上と圧巻!新緑がまぶしいゴールデンウィーク明け、春季展を開催中の館内を学芸員さんに案内していただきました。

東洋と西洋、伝統と近代が調和した本館

市バス38系統・渦森台行きのバスで「白鶴美術館前」下車。バス停から美術館が見えます
市バス38系統・渦森台行きのバスで「白鶴美術館前」下車。バス停から美術館が見えます

春と秋、年に2回の企画展にあわせて開館する『白鶴美術館』。阪神御影駅またはJR住吉駅からバスに揺られること10分ほど、住吉川沿いのバス停「白鶴美術館前」で下車しましょう。または、阪急御影駅から北東へ徒歩約15分、瀟洒(しょうしゃ)な住宅街を抜けると美術館の入り口に到着です。

重厚感のあるエントランス
重厚感のあるエントランス
『白鶴美術館』

「世界的価値のあるコレクションを私蔵するのではなく、ひとりでも多くの方の目にふれてほしい」。白鶴酒造七代・嘉納治兵衛(鶴翁)の願いよって開館した『白鶴美術館』。その社会貢献への思いは現在もしっかりと受け継がれ、国宝2件(75点)、重要文化財22件(39点)を含む約1450点以上の作品が大切に所蔵されています。

レトロな趣きたっぷりの長い廊下

入り口でチケットを購入したら、展示室へと向かいましょう。レトロな趣きたっぷりの長い廊下を一歩ずつ進みながら、胸が高鳴ります!

階段のそば、ゴージャスな応接間のような空間は映像視聴コーナー
階段のそば、ゴージャスな応接間のような空間は映像視聴コーナー

国宝や重要文化財にふれる貴重な展覧会

やわらかな自然光に包まれた展示室

やわらかな自然光に包まれた展示室は、ゆったりとした空間。等間隔で並ぶ展示ケースの中には、美しい文様が施された中国の銅鏡の数々が並びます(2023年春季展・本館は「中国の銅鏡」/6月4日まで開催)。
「1階は獣に関する図柄の鏡、2階は鳥に関するものと、フロアごとにテーマを分けて展示しています」とのこと。さまざまな素材と技術によって描き出された一つひとつの作品を、じっくりと鑑賞できるぜいたくなひとときですね(※館内は撮影不可/「撮影スポット」のイラスト表示がある箇所のみ可)

葡萄(ぶどう)の唐草文様と、たてがみを持つ獅子(ライオン)の姿が特徴的な「白銅海獣葡萄鏡(はくどうかいじゅうぶどうきょう)」/写真提供:白鶴美術館
葡萄(ぶどう)の唐草文様と、たてがみを持つ獅子(ライオン)の姿が特徴的な「白銅海獣葡萄鏡(はくどうかいじゅうぶどうきょう)」/写真提供:白鶴美術館
重要文化財指定の「鍍金花鳥獣文銀杯(ときんかちょうじゅうもんぎんぱい)」/写真提供:白鶴美術館
重要文化財指定の「鍍金花鳥獣文銀杯(ときんかちょうじゅうもんぎんぱい)」/写真提供:白鶴美術館
大きな窓越し、庭園の緑が絶妙な借景に。春季展はいきいきとした新緑、秋季展は鮮やかな紅葉をバックに

大きな窓越し、庭園の緑が絶妙な借景に。春季展はいきいきとした新緑、秋季展は鮮やかな紅葉をバックに、季節のうつろいを間近に感じられることも魅力のひとつ。「朝、昼、夕方と一日の中でも光の色が変化していくのもおもしろいですよ」と、学芸員さん。なるほど、訪れる時間帯の光と影の具合によって、作品の表情の違いが楽しめそうでうすね。

2階へは、こちらの階段から。温かみのある木とシックな絨毯がレトロモダンな雰囲気を醸します
2階へは、こちらの階段から。温かみのある木とシックな絨毯がレトロモダンな雰囲気を醸します
木の階段を上がって、2階へ。

木の階段を上がって、2階へ。明るく開放的なお部屋の天井を見上げると、鶴をモチーフにした精巧な天井画が描かれています。

「白鶴」または、七代治兵衛の雅号(鶴翁)を連想させる天井画
「白鶴」または、七代治兵衛の雅号(鶴翁)を連想させる天井画
夜光貝の輝きが印象的な「螺鈿鴛鴦宝相華文八花鏡(らでんえんおうほうそうげもんはちかきょう)」/写真提供:白鶴美術館
夜光貝の輝きが印象的な「螺鈿鴛鴦宝相華文八花鏡(らでんえんおうほうそうげもんはちかきょう)」/写真提供:白鶴美術館

異国情緒あふれる絨毯など、新館もぜひ

受付で本館と別館(新館)、2枚のチケットを受け取ります
受付で本館と別館(新館)、2枚のチケットを受け取ります

1995年10月、開館60周年記念事業によって誕生した新館。主に、白鶴酒造十代当主・嘉納秀郎(白鶴美術館四代理事長/1934~2010)が集めた、多彩な近代中東絨毯の展示館として親しまれています。

本館から歩いてすぐ。スタイリッシュな外観が目印の新館
本館から歩いてすぐ。スタイリッシュな外観が目印の新館
染色品の劣化を防ぐ配慮から、光の侵入を極力おさえた設計になっているという新館

染色品の劣化を防ぐ配慮から、光の侵入を極力おさえた設計になっているという新館。本館とはまた違った雰囲気が新鮮で、ダイナミックな展示にもワクワクします!

新館の公開も、年2回。本館の開館時期にあわせて、所蔵絨毯を中心とした企画展を開催していますよ。

2023年春季展は「近代ペルシアのメダリオン絨毯」。エキゾチックな作品の数々が圧巻でした
2023年春季展は「近代ペルシアのメダリオン絨毯」。エキゾチックな作品の数々が圧巻でした
作品をデザインしたポストカード(50円~70円/1枚)

本館の受付前では、作品をデザインしたポストカード(50円~70円/1枚)を販売中。企画展にちなんだ貴重な一枚など、来館記念やプレゼントにぜひ。

毎回好評!学生によるワークショップ

毎回大好評!ミニ屏風づくりのワークショップ「クルッと反転!紙が要のミニ屏風」
毎回大好評!ミニ屏風づくりのワークショップ「クルッと反転!紙が要のミニ屏風」

春季展・秋季展開催中に開催されるワークショップは、近隣の大学生たちが講師をつとめます。文化財に興味をもち、美術館内での活動という貴重な体験の場として、甲南大学・学生ワークショップ指導員のメンバーも毎回楽しみながら参加しているそう。

小学生から大人まで、気軽に体験できるミニ屏風づくり(約30分/参加費無料)
小学生から大人まで、気軽に体験できるミニ屏風づくり(約30分/参加費無料)

また、外部講師を招いての講演会や文化財特別講座、学芸員によるアート・トークやスライド解説など、展示品への理解をより深めてもらうためのさまざまなイベントも随時開催しています(※詳細は公式サイトをご覧ください)。

四季折々の風景に癒やされる庭園散策

昭和の名建築と称される館

貴重なコレクションを堪能した後は、ぜひ外に出てみましょう。昭和の名建築と称される館を一望しながら、手入れの行き届いた庭園散策もまた、心地よい時間が流れています。

青銅製の大きな「八角灯ろう」

青銅製の大きな「八角灯ろう」は奈良・東大寺に鎮座しているものと同じだそう。まるで展示室を見守るかのようにひときわ存在感を放ちながら、館のシンボルとして訪れる人を迎えています。

新緑に包まれた静かな池

新緑に包まれた静かな池を眺めながら、ホッとひと息。秋には紅葉が彩ります。美術館の裏手、六甲山麓からの清流はこちらの池を経由し、やがて直結する住吉川へと流れていきます。自然の恵みを感じられる、癒やしスポットです。

住吉川の春の風物詩、かわいいカルガモの親子に出会えるかも!?
住吉川の春の風物詩、かわいいカルガモの親子に出会えるかも!?
本館1階展示室・南側の回廊を歩き、裏庭にもまわってみましょう
本館1階展示室・南側の回廊を歩き、裏庭にもまわってみましょう
美しい「唐代銀器」などが人気の「ポストカードセット」(8枚入り/400円)

美しい「唐代銀器」などが人気の「ポストカードセット」(8枚入り/400円)。どれにしようか迷いましたが、きらびやかな金地に極彩色が映える「四季花鳥図屏風」をお土産にセレクトしました!来季のテーマ「中国陶磁」のポストカードもぜひ。

『白鶴美術館』

春と秋、年に2回の企画展示はもちろん、レトロな建築物やタイムスリップしたかのような館内、風光明媚な庭園など、見どころいっぱいの『白鶴美術館』。次回(2023年秋季展)は9月20日(水)から12月10日(日)まで、「白鶴美術館の陶磁器-植物文様を中心に」(仮題)を開催予定です(※詳細は公式サイトをご確認ください)。入館料の割引が受けられるお得な「リピーター・カード」も活用しながら、大切に受け継がれてきた古美術の世界をじっくりと味わってみてくださいね。

(ライター 外園 佳代子)

※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

白鶴美術館

住所兵庫県神戸市東灘区住吉山手6丁目1-1
電話番号078-851-6001
開館時間春季・秋季展会期中10時~16時30分(入館は16時まで)
休館日春季・秋季展会期中 毎週月曜(祝日は開館、翌平日休館)、展示替え期間
入館料大人800円、65歳以上・大学・高校生500円、中学・小学生250円
※団体20名以上は2割引
アクセス阪神御影駅、JR住吉駅から市バス38系統・渦森台行き「白鶴美術館前」下車
駐車場15台
公式サイトhttps://www.hakutsuru-museum.org/index.html
SNSFacebook  https://www.facebook.com/HAKUTSURU.MUSEUM/

ライター 外園 佳代子(ほかぞの かよこ)

令和の幕開けに、大阪から生まれ育った町・西宮へとリターン。虎の聖地・甲子園球場ま で自転車で行けちゃうライター&絵てがみ作家、書写教室指導者、不妊ピア・カウンセラ ーです。ふと気づけば4足のわらじを履きこなしながら、でもやっぱり!取材を通じての出 会いに心ときめく日々。最も長いライター人生で(私にしか読めない字で)書きためた取 材ノートを、いつの日か読み返すことが老後の楽しみです。

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