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【加東市】「東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー」がおトクだった件(イベント後日談)

東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー

兵庫県加東市をはじめとする通称「北はりま」と呼ばれる地域は、酒米の王者・山田錦の産地であり、地場野菜などのおいしい食材がたくさんあります。それを支えているのが東条川疏水。疏水がもたらす恵みと歴史を味わう「東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー」が令和7年2月5日(水)と6日(木)に開催されました。 ミシュラン一つ星の名店でのランチや疏水の要である鴨川ダム、酒蔵、国宝寺院の見学が付いたバスツアーの様子を紹介しましょう。

東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー概要

東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー

「東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー」は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催される大阪・関西万博(開催期間:2025年4月13日〜10月13日)に合わせ、兵庫県の魅力を国内外に伝える取り組み「ひょうごフィールドパビリオン」の体験型プログラム事業の一環として企画されました。

配布された資料。ダムカードも付いてくる
配布された資料。ダムカードも付いてくる

日帰りバスツアーで、一般社団法人加東市観光協会が主体となり、東条川疏水の歴史や役割を次世代に継承していく活動を行う東条川疏水ネットワーク博物館と協力して実施。発着地は、令和7年2月5日(水)はJR明石駅とJR神戸駅から、2月6日(木)はJR姫路駅とJR加古川駅。両日とも定員24名に対し、早々に満席になったそうです。

ツアーの行程を簡単に紹介しましょう。
午前中は東条湖で東条川疏水についての話。恵みの原点を知れば、食材や日本酒のうまさや大切さをより実感できるというものです。
グルメツアーの主役でもある昼食は、ミシュラン一つ星の名店「滝寺荘」の特別プラン。希望者には、とっておきの銘酒が付きます。
午後は、山田錦の産地である加東市で唯一の酒蔵「神結(かみむすび)酒造」で蔵見学と新酒や甘酒の無料試飲。その後、国宝寺院の「朝光寺」で、ボランティアガイドによる案内。最後に「道の駅とうじょう」でのお買い物と、観光協会だから実施できる盛りだくさんの内容を特別な価格(1名15,000円、銘酒不要は12,000円)で楽しめる内容でした。

また、インターンシップ中の兵庫県立社高校の2年生3名が同行。3年生になると自らツアーを企画し実施されるそうで楽しみです。

昼食会場で料理説明をする高校生(インターンシップ)
昼食会場で料理説明をする高校生(インターンシップ)

恵みの原点「東条川疏水」

ツアー一行が初めに訪れたのは東条湖湖畔にある観光旅館「東条湖グランド赤坂」。ここでは、東条川疏水とは何か、どんな歴史があるのかを知っていただきます。

東条湖グランド赤坂の館内から見た東条湖
東条湖グランド赤坂の館内から見た東条湖

グルメ目当てで参加した人も、実際に見聞きすると感動するのがこのプログラム。

まずは、東条川疏水についての動画解説。どんな仕組みで田畑に水がもたらされているかなど、初めて知る人には目からうろこの内容です。

そして、東条湖(鴨川ダム)建設で湖底に沈んだ土井村の話を、加東市に伝わる民話を後世に語り継ぎ郷土愛を深めてもらう活動をしている「ふるさとみんわ会」による大型紙芝居が上演。地域のために慣れ親しんだ土地を離れる決断をした人の心の葛藤を情感たっぷりに演じてくださいました。
参加者も「紙芝居に夢中になって聞き入ってしまった」とのこと。「大変な思いをされた人たちがいたことを、とてもわかりやすく教えてもらった」と感想をもらしていました。

最後に、戦後初のコンクリートダム「鴨川ダム」について、農林水産省近畿農政局鴨川・大川瀬ダム管理所所長から鴨川ダムに関する解説と実際に鴨川ダムへの見学が行われました。

ダム見学は、農林水産省の職員が案内してくれる貴重な体験で、ダム操作室や取水塔内部などを特別に見学でき、ダムの高さや大きさを実感。貯水率が約5割程度と低い状態だったので、取水口もはっきり見ることができました。

昼食はミシュラン一つ星の名店へ

「料理旅館 滝寺荘」のレストラン「紅葉亭」

グルメツアーのお楽しみ。ランチタイムはミシュラン一つ星の「料理旅館 滝寺荘」のレストラン「紅葉亭」でいただきます。

滝寺荘

滝寺荘があるのは、加東市の誇る名勝「闘竜灘」のほとり。闘竜灘は、加古川の中流にあり、川底いっぱいに起伏した岩により、ところどころで滝となり激流となることから、竜に例えられる名勝です。5月になれば鮎漁が解禁になりにぎわいます。

部屋の窓から眺める風景もなかなかのものです。

東条川疏水の恵みを感じるグルメツアー

お楽しみの料理は、東条川疏水の恵みとひょうご五国(旧国の摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)の食材を使った会席料理。刺身や焼肴、牡丹鍋などが用意されています。希望者には疏水の恵みを受けた山田錦を使った日本酒が付いてくる特別プラン。
気になる銘酒は、加東市唯一の酒蔵で食事の後に見学に行く「神結酒造」の大吟醸や「龍力」でおなじみ本田商店の究極の大吟醸「秋津」など、加東市産の山田錦を使った5種類を楽しめます。

残念ながら撮影はここまで。気兼ねなく食事と日本酒を楽しんでいただくために退席しました。


食事終わりに感想をうかがうと「どれもひと手間を惜しまない料理でおいしかった」「お酒にピッタリ」「猪鍋が特においしかった」など大絶賛。「鮎のシーズンにも来たい」と満足のいく内容だったようです。

老舗酒蔵「神結酒造」で酒蔵見学と試飲

神結酒造

一般的に日本酒の仕込みが行われるのは、冬の寒い季節。今回のグルメツアーが2月に実施されたのも、酒造りのピークが終盤を迎えたこの時期だからです。

神結酒造の創業は1893(明治26)年。今では加東市で唯一の酒蔵であり、酒米の王者・山田錦の産地だから安定して仕入ができ、水が豊かで寒暖差が激しい日本酒造りにぴったりの場所にあります。

繊細な酒造りの最中のため見学できる内容は制限されますが、この日は発酵する時のプクプクしている状態を、香りも感じながら見させていただきました。

蔵見学の後は、お楽しみの試飲。しぼりたての純米吟醸酒「冬の虹」と暖かい甘酒を特別に用意してくださっていました。
「冬の虹」は、洗米や浸漬(しんせき)などの行程を手作業で行い、搾ったままの状態で瓶詰めした新米山田錦の日本酒。この季節を楽しみに待っているファンが多い銘柄です。
甘酒は、アルコール分を一切含まない米麹の甘酒。奥深い味わいがクセになります。甘酒が苦手な人にもおすすめです。

直売所でのお買い物も楽しんでもらいました。

ボランティアガイドの案内で国宝「朝光寺」

朝光寺に訪れると寒いなか待ってくださっていたボランティアガイドの方が出迎えてくれました。

朝光寺は、伝承によると創建は651年(大化の改新が645年)。源平合戦における三草山の戦い(1184年)で焼失し、1189(文治5)年に現在の地に移り再建されたとのこと。

国宝の本堂は、室町時代の1413(応永20)年に造営されたもので、向拝(こうはい:正面に張り出した屋根の部分)は江戸時代に増築されたものの、室町時代初期における密教寺院本堂の典型である折衷様式を残す貴重な建物です。

西本尊の観音様は、千体千手観音立像(国宝)で知られる蓮華王院三十三間堂(京都)にあった一体が安置されているとか。なぜここにあるのかは謎らしく、歴史ミステリーをもつ寺と聞くとワクワクしてきます。

他にも重要文化財の鐘楼や県の指定文化財の多宝塔など、数々の文化財が見応えあるのですが、一番のおすすめはボランティアガイドさんの解説かも知れません。訪れる人が少ないこともあってか、自虐的なトークを交えながら楽しませてくださいました。
こういう楽しみがあるのが、バスツアーの魅力です。

帰る前に「道の駅とうじょう」でお買い物

最後の立ち寄り先は「道の駅とうじょう」。トイレ休憩とお買い物タイムです。
地元産の野菜をはじめ、山田錦を使ったパンやスイーツなど、多くの商品が並んでいます。普段はみかけない商品も多く、見て回るだけでも楽しい道の駅です。
もちろん、東条川疏水の恵みで育った山田錦を使った日本酒も多く並んでいるので、酒屋に立ち寄る気分で訪れてもいいくらいです。レアな銘酒に出会えるかも。

最後にバスの車内では、インターンシップの高校生たちからあいさつもあり、無事に帰宅されることを願いつつお別れしました。

バスが見えなくなるまで手を振り、お見送り
バスが見えなくなるまで手を振り、お見送り

地域のいいモノ・いいコトを知ってもらいたいと企画された観光協会主体のグルメツアーだからこそ実現できる内容と価格のツアーに、参加者も満足していただけたようで笑顔があふれる1日でした。

加東市観光協会や東条川疏水ネットワーク博物館では、ひょうごフィールドパビリオン体験型プログラムをはじめ、数々のツアーが企画されています。新酒の試飲などの酒蔵見学を含んだバスツアーは、このシーズンだけですが、他にもおいしいモノや楽しいコトがいっぱいあります。

加東市の広報ページや「ハートにグッと北播磨」公式サイト、SNS等でPRをしていますので、気になる方はチェックしてください。
ローカルプライムでもどんどん紹介していきます。

加東市観光協会https://www.kato-kanko.jp
ハートにグッと北播磨https://www.kita-harima.jp
東条川疏水ネットワーク博物館https://web.pref.hyogo.lg.jp/nhk08/toujyougawasosui/10_hakubutukan.html

(ライター 塚本隆司)

※本記事は2025年1月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)

姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。

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