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葺き替えたばかりの美しい茅葺き屋根
見事な茅葺き屋根は2021年9月に葺き替えたばかりでまだ2年弱です。兵庫県内の職人集団が屋根に登って葺き替える様子は、めったに見られないからと随分話題になりました。
この屋根が年月を経てどんなふうに変わっていくのかも楽しみですね。
店内から天井を見上げると、まだ若々しい色の茅がしっかりと組まれている様子がわかります。釘を使わずに自然の素材だけで作られた屋根、伝統の技とは、こういうことを言うのだと改めて見入ってしまいました。
靴を下駄箱にしまったら引き戸を開けて店内へ入ります。フロアは和モダンな雰囲気で、すべてテーブル席。掃き出し窓から見える前庭の小さな畑に実る野菜や、裏山の池など、里山の風景をながめながら料理を待ちます。
里山の幸と山の芋を堪能する
ランチメニューの『旬菜とろろ膳』は、メイン料理を6種類から選びます。まずはじめに出てくるのは薄くスライスした山の芋を揚げた山の芋チップス。パリっとした食感で山椒塩の風味がさわやかです。
五味五菜と名付けられたプレートは、地元の野菜で作られたお惣菜。和え物、焼き物、揚げ物など、旬の味をいろいろな調理法で少しずつ盛り付けられています。見た目もきれいで、行く度に違う料理なので楽しみなひと皿です。
炭火焼き料理は地鶏を選びました。他にあんかけハンバーグ、マス、牛ローストなどがあります。料理人にとって焼き物に使う炭選びも重要です。『やまゆ』ではここでも地産地消にこだわって、地元の炭焼き職人が焼いたものセレクト。この炭が、火のまわりがよくて香ばしく焼けるそうです。
もう一つのメインといってもいい名物が自家製とろろ汁です。山の芋のすりおろし具合もダシとの調合も、長年山の芋を扱い、山の芋を知り尽くしている『やまゆ』ならでは。丹波産の無農薬栽培米に麦を加えてふっくら炊きあげた麦飯に、とろろ汁をかけていただきます。ダシの風味と山の芋のねばりでご飯がいくらでも食べられそう。他に味噌汁、香の物、お菓子が付きます。
初めて丹波篠山の山の芋を食べた時に驚いたのが、そのねばり具合です。ダシでのばさなければ団子のようで、とろろ膳の味噌汁に入っていたのがそれでした。すりおろした時のねばりは他の芋類より強く、栄養も豊富。消化酵素ジアスターゼが多く含まれているので生で食べても消化不良を起こさないそうです。
今回はランチを紹介しましたが、夜の雰囲気も素敵です。要予約でグループや貸し切りもOKです。
『五節舎やまゆ』で郷土の味をお土産に
お腹がいっぱいになった帰りがけには『五節舎やまゆ』に立ち寄りましょう。おこわやいなり寿司などの伝統食、黒豆や栗といった特産品を使ったお菓子が並んでいます。
『丹波おこわ』は、丹波栗と黒豆、丹波栗と丹波大納言小豆など、丹波の特産品を加えて竹の皮に包んで蒸したもので、なんともいえない香りと美味しさです。
『やまゆのおいなりさん』は、たっぷりのダシを煮含めたいなり寿司です。酢飯とのバランスもよく、ボリューム満点!
大粒の丹波栗がごろんと丸ごと一個入った栗パイは、食べごたえ満点。ほくほくした栗の甘みと旨みを存分に味わえます。
他にも丹波篠山産の栗をたっぷり使った『丹波篠山パウンドケーキ』、丹波黒豆煮、栗の甘露煮や渋皮煮といった加工品もあり、丹波のいろいろな味をお土産にできます。
昔ばなしの絵本に出てくるような茅葺き屋根の古民家と里山の風景を見るとずいぶん遠くに来たように感じますが、JR篠山口駅から約2Km、丹南篠山ICから1kmほどの便利な場所。特産品の山の芋を使った料理は『やまゆ』ならでは。ゆっくり流れる時間を感じながら、丹波篠山の味を堪能しましょう。
(ライター 松田きこ/ウエストプラン)
(撮影 貝原弘次・草田康博)
※本記事は2023年4月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
りょうり舎やまゆ/五節舎やまゆ
住所 | 兵庫県丹波篠山市網掛81 |
電話番号 | りょうり舎やまゆ 079-590-1261/五節舎やまゆ 079-590-1262 |
営業時間 | りょうり舎やまゆ11:00~15:00 (L.O.) ※夜は予約制17:00~21:30 (L.O.) 五節舎やまゆ11:00~17:00 |
定休日 | 火曜(祝日の場合は翌平日) |
アクセス | JR篠山口駅西口からウイング神姫バスで、宇土観音バス停下車、徒歩約5分 |
駐車場 | あり(30台) |
HP | https://yamayu.co.jp/ |
株式会社ウエストプラン
松田きこ、かさはらみのり、中田優里奈、都志リサほか、兵庫県に精通した女性ライターが、観光やグルメ情報を中心に、阪神間や丹波・丹波篠山を縦横無尽に駆け回って取材します。