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「山田錦発祥のまち」多可町

農林水産省が選ぶ日本農業遺産に「兵庫の酒米『山田錦』生産システム(兵庫県北播磨・六甲山北部地域)」を認定すると発表があったのは2025年1月24日のこと。
北播磨・六甲山北部地域の気候風土や蔵元と産地が相互扶助する「村米制度」の歴史、酒米を代表する品種「山田錦」の厳格な種苗管理、受け継がれてきた栽培技術など、高品質な酒米の一大産地として評価されました。

「山田錦」は、多可町生まれの酒米「山田穂(やまだほ)」を母として品種改良されたもので、多可町は「山田錦発祥のまち」として宣言。山田錦は誕生(1936(昭和11)年2月27日)から89年にわたり、常に酒米の王様であり続けているのです。
発祥のまち多可町で育ち収穫された山田錦は、全国の蔵元に求められ、おいしい日本酒となります。この多可町ゆかりの山田錦でできた日本酒が里帰りをするのが多可町日本酒フェスタ。今年は18蔵46銘柄の日本酒が集まりました。

「多可町日本酒フェスタ2024バスツアー」の概要

神姫バスでは、昨年に続き『多可町日本酒フェスタ2024』でもバスツアーを企画、催行しました。
今回は、「大阪・関西万博」に合わせ兵庫県の魅力を国内外に発信する取り組み「ひょうごフィールドパビリオン」の認定プログラム「日本一の酒米「山田錦」発祥のまちゴールデンプロジェクト」の第3弾企画でもあります。
第1弾
【山田錦にふれるツアー2024①】山田錦発祥のまち多可町「田植え編」リポート
https://local-prime.com/news/taue-tour2024_taka/
第2弾
【山田錦にふれるツアー2024②】山田錦発祥のまち多可町「稲刈り&酒器作り」編
https://local-prime.com/news/yamadanishiki-tour/
第3弾
多可町日本酒フェスタ2024バスツアー概要
【開催日】2025年2月23日(日・祝)
【旅程】神戸三宮(8:30発)→道の駅北はりまエコミュージアム(休憩)→多可町日本酒フェスタ2024 (3時間滞在)→道の駅山田錦発祥のまち・多可(地元特産品のお買物)→かねふく めんたいパーク神戸三田(休憩・お買物)→神戸三宮(16:30頃着予定)
【料金】おひとり8,980円(税込) ※多可町日本酒フェスタ2024で使える2,000円分の飲食チケットと多可町名物グルメ「マイスター工房八千代」の巻き寿司のお土産付き

寒いながらも晴れ晴れとした空模様で一安心。日本酒好きの皆さんも晴れやかな気分で出発です。

途中、休憩で立ち寄った道の駅北はりまエコミュージアムからは、多可町商工観光課の三村さんが加わり、多可町発祥の3つのもの(杉原紙、敬老の日、そして山田錦)やフェスタ会場でも食べられる「播州百日どり」や「山田錦スイーツ」といった名物グルメなど、多可町の魅力を楽しく紹介していただきながら会場へと向かいました。

ツアー参加者には目印として杉原紙製手作りワッペンを配布。第2弾のツアーで紙漉き体験した際に制作したものです。やさしい手触りなどを体感していただきました。
大盛況!多可町日本酒フェスタ2024

駐車場に到着すれば、会場へと向かう人の列。すでに多くの人が訪れ賑わっていました。後日の多可町発表によると来場者数は約800人(前年の来場者数は約700人)とのこと。

会場は昨年と同じ多可町文化会館ベルディーホールでしたが、今回は会議室にも出店ブースが設け規模を拡大。飲食スペースが多く取られていました。

ホールのステージ上では催し物が行われ、お酒を楽しみながら見ることができます。

今年の目玉は「物語と音楽で楽しむ♪音楽コラボ講談 多可町発祥の酒米『山田錦』物語」。講談師の四代目玉田玉秀斎さんと3名のアーティストによる3部構成です。

講談の流れのままに振る舞い酒。そして、歌と音楽に合わせての乾杯で盛り上がりました。

他にも山田錦日本農業遺産認定発表式や多可町山田錦品評会の表彰式、地元の子どもたちによるダンスパフォーマンスなど、全ては見られませんでしたが華やかなステージだったようです。
18蔵46銘柄でにぎわう日本酒ブース

噴水広場からロビーに入れば、ズラリと並んだ日本酒瓶がお出迎え。酒飲み心をくすぐる演出です。

日本酒コーナーは、主に会場ロビーに設けられています。


今回、試飲が用意された日本酒18蔵46銘柄は、次のとおり。


各所で次々と試飲のカップに注がれていきます。
昼を待たずに売れきれとなってしまった銘柄もあるほど。

噴水広場には燗酒ブースも。


こちらも人気で予定していた銘柄分が終わってしまい、別の日本酒が用意されるほどでした。

レアな日本酒が飲めるブースでは、ドンペリニョン5代目醸造責任者がつくった日本酒「IWA5」、スコッチウィスキー樽で熟成させた日本酒「リンク8」など、めったに味わうことができない日本酒が並んでいました。

ホール内には、4種の銘柄を当てる利き酒挑戦コーナーも。正解率は15%くらいのようでした。ツアー参加者も挑戦し、見事に正解した人も。景品の酒器を持って帰られました。

日本酒でカクテルをつくる「日本酒は自由だ」コーナーも気になるところ。ロックやソーダ割りはもちろん、トマトジュースやカルピスで割ったものが人気のようです。

試飲だけではなく販売コーナーもあり、お気に入りの日本酒と出会えばその場で購入できるのも日本酒フェスタの魅力です。
多可町グルメもめじろ押し

日本酒の友となるおいしいアテも充実していました。多可町産の食材や地元のお店が出店されています。全て紹介したいところですが、一部を紹介しましょう。

一番人気は、播州百日どりの焼き鳥。常に行列がでてきている人気ぶり。

寒い屋外では、たき火にあたりながらマシュマロやチーズを焼くことも。子どもと一緒に楽しむ家族連れもおられました。

温まるといえば、粕汁。


珍しいところでは、きりたんぽ鍋。具沢山でボリューム満点です。

前年の倍の量を用意していたにもかかわらず昼には完売したのが、巻きずしで有名なマイスター工房八千代の「お寿司セット」。

他にもおにぎりや米粉のクッキー、パン、ケーキなどお酒が苦手な人やハンドルキーパー、お子さまも楽しめるラインナップでした。

「昨年食べて気に入ったから、店にも時々行くようになったんですよ」という人もおられ、出会いの場にもなっているようです。
未成年や飲めない人も楽しもう!

日本酒フェスタとはいえ、日本酒を飲むために訪れた人だけの場所ではありません。
ケーキやお菓子が売られている以外に屋外では大型のエア遊具、館内にもスタンプラリーや木のおもちゃなど、子ども連れでも楽しめるコーナーがいっぱいあります。

特製酒樽ガチャガチャの抽選会は、景品が豪華なこともあって大人気でした。

物品販売もあります。
秋田酒のオフィシャルグッズ、錫の酒器や米袋で作ったトートバッグも注目を浴びていました。

第2弾ツアーの【山田錦にふれるツアー2024②】山田錦発祥のまち多可町「稲刈り&酒器作り」編でお世話になった東条秋津窯さんも出店。山田錦を育てた土を混ぜ合わせ、釉薬にも山田錦の藁灰を使った日本酒を楽しむための酒器「山田錦酒器」を販売されていました。
地域密着神姫バスの連動企画
今回の山田錦にふれる第3弾ツアーでは、第2弾ツアーに参加された人向けの特典が用意されていました。
それは「多可町産山田錦を使用の日本酒(ミニボトル)」のプレゼント。さらに第1弾ツアーにも参加されていた人には日本酒フェスタで利用できるチケット500円分をプレゼント。そして、第2弾の酒器作り体験で作った酒器を持参した人たちで乾杯をしようというものでした。

完成した酒器を持参された方は3名。山田錦を育てた多可町の土とその稲藁から作った釉薬の酒器に、多可町日本酒フェスタの会場で注ぐ酒は、多可町の山田錦を100%使用した『山田錦発祥のまち 多可 純米大吟醸 原酒』(福光屋、石川県金沢市)。特別な一杯になることは間違いありません。

3人で乾杯していただきました。


酒器作り体験教室で講師をしていただいた東条秋津窯の陶工・藤村拓太さんも合流。藤村さんにとっても体験教室で作った器で乾杯し飲まれる姿を見るのは初めてとのこと。貴重な場となりました。
自分で作った酒器で飲む気分というのは、やはり格別なようです。手捻りの酒器ならではの口当たりも、お気に入りの飲み口を探す楽しみがあるとか。話も弾み、4合瓶はあっという間に空になったようです。
「多可町日本酒フェスタ2024バスツアー」を終えて
楽しいひとときもすぎ、帰る時間。参加者にお気に入りの酒は見つかったか伺うと「どれも美味しかった」「いっぱい飲んで、何を飲んだかわからなくなってしまった」という人や「つい買ってしまいました」といわれる人もいて、皆さん満足されたご様子。なかには18蔵全て飲まれた強者が2名もおられました。

バスは会場を出発し、すぐ近くの「道の駅山田錦発祥のまち・多可」で買い物タイム。野菜やお菓子類など豊富にそろっています。多可町ゆかりの蔵の日本酒が豊富にそろっている道の駅ということもあり、お土産に日本酒を買われる人も。甘酒の振る舞いもいただきました。

最後の立ち寄り先は「かねふく めんたいパーク神戸三田」。トイレ休憩とお買い物の後、無事神戸に帰着。お土産にマイスター工房八千代の「天船巻き寿司」を1本ずつお渡ししました。

「来年も来たい」という声があがる楽しいツアーでした。山田錦の田植えに始まり、稲刈り(荒天のため実施できずに内容変更)、日本酒を味わう3回に渡った「山田錦にふれるツアー2024」。ツアーだから立ち寄った先での発見や出会いも含め、多くの人に山田錦をはじめとする多可町の魅力にふれていただけました。
多可町では、大阪・関西万博に合わせ、より多くの人に足を運んでもらえる企画を準備されているそうです。神姫バス、ローカルプライムでも、引き続き紹介していきます。
(ライター 塚本隆司)
※本記事は2025年2月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
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ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。