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【赤穂】ビートルズを丸ごと楽しめる特別空間
世界で唯一無二の『ビートルズ文化博物館』

忠臣蔵ファンならおなじみ、浅野家の菩提寺、花岳寺からすぐのところにある「ビートルズ文化博物館」をご存知ですか。こちらがスゴイ!館長の岡本備(そなう)さんの私設博物館ですが、ビートルズに関するコレクションを展示して音楽を流すだけではなく、ビートルズが全世界に与えた影響を文化や芸術として伝え、彼らを丸ごと楽しめる、他にはない空間なのです。

こぢんまりとした空間のなかにお宝がいっぱい

ビートルズ文化博物館
向いには「加里屋旅館Q」がある

「ビートルズ文化博物館」は、JR播州赤穂駅から南へ徒歩で約8分。赤穂城跡や赤穂大石神社へ向かうメインストリートである「お城通り」から花岳寺通商店街を西へ進み、赤穂義士の墓がある花岳寺の山門よりすぐのところにあります。たくさんのポスターやユニオンジャックをデザインした幕を飾っているので存在感抜群。すぐにわかります。
オープンしたのは2016年。くしくもビートルズの来日50周年の年と重なったそうです。決して大きいとはいえない、こぢんまりとした建物ですが、他にはない膨大なコレクションと、館長の岡本備さんの深くて果てしないビートルズ愛により、ど真ん中世代ではない私たちにも彼らの偉大さが伝わる空間なのです。

オリジナル制作のアート&カルチャーポスターで時系列に展示

第1~第4のウィンドウ
第1~第4のウィンドウ
第5~第6ウィンドウ
第5~第6ウィンドウ

ビートルズって、一体何年くらい活動したかご存知でしょうか。音楽で全世界に大きな影響を与えたグループなので、20年くらいは活動したのかと思っていましたが、実は1962年末から1969年までの約7年半の活動で、出したアルバムは13枚だったそうです。まずはそれにビックリ!デビューアルバムは30週連続第1位、セカンドアルバムは24週連続第1位、つまりほぼ1年間ずっとナンバー1ヒットという超ヒットメーカーだったのです。
館内の左半分は、その活動を時系列で6つの時代に分け、それぞれのウィンドウに、その時代に関するオリジナルのポスターや、約2万点を越すビートルズコレクションの中から2百点ほどを入れ替え展示しています。現在、当時ロンドンの公式ファンクラブの会報1~77号までのすべてを展示しているそうです。

ポスターは開館してから7年目で、すでに14回も作り替えたというからスゴイ。デザイナーとしてのスキルを発揮して次々と新しいデザインで作っています。こちらは、第2のウィンドー(1964~1965年)ですが、その年に出たアルバムやそれに関わるグッズを展示するだけでなく、ポスターには、バックにうっすらその時代を象徴するものを入れているのです。1964年は東京オリンピック開催に伴い、東海道新幹線が開業した年。文字の部分のバックには新幹線が見えるでしょうか。本当に芸が細かいですよね。

オリジナルDVDの鑑賞とライブラリー

英語、日本語の歌詞とコメントを流すオリジナルDVD
英語、日本語の歌詞とコメントを流すオリジナルDVD
所狭しと並ぶライブラリー
所狭しと並ぶライブラリー

館内右半分は、DVD鑑賞とライブラリーのコーナーです。DVDは岡本さんのオリジナル制作で、曲と一緒に英語と日本語の歌詞、コメントを流しています。「こんなことを歌っていたのかとわかったうえで一緒に歌えるのがいいんですよ」と岡本さん。
関連図書は、たくさんある蔵書のなかから抜粋して、国内外のものをびっしり並べておりすべてが閲覧自由です。

イエローサブマリーンのモニュメント
イエローサブマリーンのモニュメント

館内右側には、イエローサブマリーンのモニュメントが抜群の存在感を放っています。こちらの前で記念撮影をする方も多いそう。実は、このモニュメント、横浜スカイビルの全館でビートルズのアートイベント「SKY BEATLES CHRISTMAS」開催時、1階の入り口の上に飾られていたモニュメント。4×2.8mという大きさなので、当時、これを置くために一軒家を借りて、庭にブルーシートをかけて保管していたそうです。

入館記念品
入館記念品

入館の記念品がこちら。オリジナルデザインのチケットで、こちらは毎年作り替えているそう。一番上はクリスマスバージョンで、ファンなら絶対手に入れたいステキな記念品ですよね。

週末はレコードの日

レコードプレーヤーで聴く音が心地いい
レコードプレーヤーで聴く音が心地いい

土・日曜の13時から15時は、お客さんからのリクエスト曲をかける「レコードの日」として定着しています。『ミッシェル』のリクエストがあれば、収録されたアルバム『ラバー・ソウル』のその面を全部かけるというように、リクエスト曲だけでなくその面全曲を楽しむことができます。左側のスタンドには、その時かかっているアルバムのジャケットが飾られ、その曲やアルバムにまつわるエピソードを聞けるのも醍醐味です。
日本全国に常連客がいて、阪神間はもちろん、奈良や京都から定期的に訪れる人もいるそう。逆に「TVのコマーシャルでちらっと聴いて記憶に残っていました」「お父さんが好きなので、家族で来ました」など、20~30代のビートルズを知らない世代のお客さんが最近増えてきています。

岡本館長ってどんな人?!

館長の岡本備さん
館長の岡本備さん

こちら、館長の岡本備(そなう)さんです。ビートルズとの出会いは中学2年の頃。それまでは、クラシック音楽一辺倒でしたが、赤穂のレコード屋さんでは聴くレコードがなくなってしまい、店員さんから勧められたのが『A Hard  Day‘s Night』だったとか。買っては来たものの、しばらくは放置し、1カ月後仕方なくかけてみたら「すごい~~~」と大感動。「この素晴らしさを一人でも多くの人に伝えるのが僕の仕事」と岡本青年は思い込んでしまったというわけ。

チケットのレプリカ
チケットのレプリカ

その後、1966年6月30日と7月2日の日本武道館での来日コンサートに当たったのですが、当時は高校生だったので上京して6月30日を見に行くのがやっと。行けなかった7月2日のチケットは現在、通し番号、座席番号を変えた個別レプリカとして販売しています。
その後、岡本さんの「ビートルズエバンジェリスト(伝道師)」としての人生が始まりました。19歳~20歳の時、レコード店店員を経て、紆余曲折の後、武蔵野美術大学の教養課程を修了し中途退学、広告代理店でデザイナーとして2年間勤務し、その後独立して会社を起こしました。すべてはビートルズのためにと、会社の定款には「ビートルズのイベント開催」という項目もあるほどです。
今は赤穂在住ですが、東京時代はアパートの一部屋を取材用に「ビートルズコレクションルーム」として整備し、イベントや講演の要請があれば、日本全国どこまででも行ったそうです。「日本一のビートルズコレクターと言われますが、そもそも物には興味がなかったんです。でも彼らの素晴らしさを伝えるためには物が必要だと気付き、伝えるためのツールとして集めまくりました」。

ビートルズの魅力って?!

レコードジャケットで思いを伝える
レコードジャケットで思いを伝える

岡本さんはビートルズの魅力をこう語ります。「音楽で世界中の若者を魅了して世界を征服しただけでなく、社会を変えたところ。楽しいしやることすべてがカッコイイ!文化や芸術の世界にも通じていて、レコードジャケットでいろいろな思いを伝えたのもビートルズが最初だったんです」。
例えば、このジャケット、肉の解体作業員が切る仕事着を着ています。アメリカのレコード会社が、本来のアルバムの曲をバラバラにして作った、商業的なアルバムへ「見るからに気持ち悪いからやめてよ~」との抗議の想いを表している内容で、実際に回収騒ぎになりました。戦わずして勝つ、まさにビートルズ精神そのものです。こんな話が聞けるのも、こちらならでは。「ビートルズ博物館は世界で4カ所ほどあるけらしいど、彼らの文化を伝えているのはここだけ。趣旨が違うんです」と岡本さん。

夢はユネスコ文化遺産登録

制作中の『ビートルズ叡智図譜大全』
制作中の『ビートルズ叡智図譜大全』

岡本さんの目標は、ビートルズをユネスコ世界無形文化遺産に登録すること。「60年代に登場したビートルズの音楽は、世界中の若者たちに衝撃を与えました。その影響を受け、世界は「愛」「自由」「平和」「喜び」でいっぱいになり、社会、文化、芸術の世界を現在普通になっている姿に変えていきました」と岡本さん。そんな彼らを「世界無形文化遺産」にする活動拠点として、この博物館内に国際会議の本部を設置、現在署名集めをしています。
そして、そのための資料として制作中なのが『ビートルズ叡智図譜面大全』です。これは、今までに制作した120枚のポスターを一つの大型本として書籍化するもの。2セット作り、1セットは館内での閲覧用に、もう 1 セットは署名とともに英国政府に持っていく予定だとか。
とにかく、サービス精神豊かな岡本さんとのトークも楽しく、半日いるだけでビートルズのことをもっと知りたくなる空間です。他にはない唯一無二の博物館にぜひ。

(ライター 歌見)

※本記事は2023年3月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

ビートルズ文化博物館

住所兵庫県赤穂市加里屋2059
問合せ先soy20088@gmail.com
開館時間11:00~16:00
入館料300円(フリードリンク)
休館日月・木曜
アクセスJR播州赤穂駅から徒歩10分
駐車場なし
URLhttps://beatles21.jimdofree.com/
歌見さん

ライター 歌見(うたみ)

晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。

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