TOPIC/読み物
西宮・JR甲子園口にあるお好み焼き屋
まいど憶良(おくら)です。
西宮市はJR甲子園口にやって来ました。
駅南口を出てすぐに見えるほんわか商店街の中に、独特の「とろっ、ふわっ」としたお好み焼きを食べられるお店があると聞き、取材してきました。
楽しく美味しく食べるための空気感を作る
憶良 : 早速ですが、美味しいお好み焼きを食べてもらうために気を使っている点はどういうところですか。
店長さん : お店の空気感というか、食事を楽しんでもらうための演出です。
例えば「この人嫌いだな」と感じる人が作った食べ物って、実際にめちゃくちゃ美味しいものだったとしても、美味しく感じないじゃないですか。
食べ物を提供するプロである以上、美味しいことは当たり前のこと。技術的な事を考える前に、食べることを楽しむ空間づくりをすることが大切だと思っています。
例えば店の中がワイワイと明るい雰囲気の時と、活気のない時では、同じものを食べても味の印象が変わってしまいます。
それってライティングやBGMのボリュームひとつ変わるだけでも印象を変えることができると思うんです。
よくお客さんに、何か意味があるの?と聞かれたりする事なんですが、ウチはお好み焼きを焼く時に、生地で「の」の字を書いて、その上で焼いていくんです。
これをすることによってお好み焼きをひっくり返すときに鉄板に引っ付かずに返しやすい、という理由があるんですが、実はこの手順がなくてもさほど影響はないんです。
それよりも、お客さんの目の前で「の」の字を書くことによって、「さぁ、お客さん、これからあなたのお好みを焼いていきますよ」というメッセージを送ることが大切なんです。
焼き始めの儀式があることによって、焼き上がりまでの過程も楽しんでもらえる。そういう演出としての意味の方が大きいんですよ。
自分の足と舌で調べ、作り上げたお好み焼き
憶良 : この、ふわとろの生地はどういう経緯で生まれたんですか。
店長さん : お好み焼き屋さんをする上で、広島や大阪など、美味しいお好み焼きがあると聞いては実際に行って、食べて、自分のお好み焼きを作るヒントにしていたんですが、
最終的には広島風でも大阪風でもない、今までになかったお好み焼きを作りたいという想いが強くなりました。ここでしか味わえないお好み焼きを楽しんでもらうため、毎日精進しています。
独特の食感が楽しいお好み焼きの焼き方
「の」の字に引いた薄い生地の上にはたっぷりのキャベツ。その上に豚バラと天かすをセット。そしてほぼ水?というくらいシャバシャバとした生地を使って焼き上げて行きます。
これだけ水っぽい生地だと、鉄板はあっという間に冷えてしまい、その結果、再度温度が上がる時に生地が焦げたりするのですが、
『てんてこ』では16ミリのお好み焼き用ではなく、22ミリのステーキ用鉄板と強い火力を使って一気に焼き上げます。
これによって生地はふわっ、とろっと焼き上がり、またキャベツから出るとろみも加わって、他店では味わえない独特な食感が出来上がるんです。
おまけに小麦粉の量がぐっと少なくなっているのでカロリーも抑えられるというメリットもあります。
ひっくり返して野菜を蒸し焼き状態にしたら、
卵を割り、テコで広げ、
お好み焼きをセットします。
玉子に火が通ったら、
ひっくり返す。
鮮やかなテコさばき。
見ていても楽しい瞬間です。
オリジナルのソースをたっぷりと塗り、魚粉と青のりをまんべんなく振りかけたら、
控えめにソースを塗った後、ポン酢を回しかけ、魚粉と青のりを振りかけます。
ソースの焦げる匂いも良いですが、ポン酢の香りと音もテンションが上がりますね。
いざ、実食!
さて、二枚同時に焼きあがりました。
実は豚玉のキャベツに火が入るまでの時間と、ネギすじこんのネギに火が入る時間にはタイムラグがあるんですが、鉄板の位置をずらしながら、ネギにはゆっくり火が入るように調節しつつ焼き上げているんですって。
さりげない動きにもプロの技が光ります。
ぶた玉は、とろとろでふわっふわの生地と、存在感のある、蒸しあがったキャベツの甘味が同時に口の中に広がっていきます。
この独特の食感のとりこになって、常連化していくお客さんも多いんです。
ネギすじこんは、四国の赤土で育ったネギがびっしり。
ネギの内側のとろみが少なくて苦みも少ない品種で、『てんてこ』のねぎ焼きには一番なのだそうです。
すじこんは圧力鍋で柔らかくしたアキレスに、弱火で4~5時間コトコトと煮てじっくり味を入れた物。
アキレスは少しコリっとした歯ごたえのものも入っていて、色んな食感がこれまた口の中に楽しく広がっていきます。
具は脇役?てんてこのお好み焼きの楽しみ方
一番のこだわりは野菜の美味しさにこだわっていること。
豚肉やすじこんはアクセントで、いわば脇役。
火を入れすぎると風味が損なわれやすいネギの扱いもそうですし、季節によって水分量や柔らかさも変化するキャベツは、店に届いたら生でかじって水分量や糖度をチェックするなど、素材の魅力を引き出すことにこだわりを持って焼き上げる、『てんてこ』のお好み焼き。
ソースをかけてしまうと微妙な味が分からなくなってしまうお好み焼き屋さんもある中、『てんてこ』のお好み焼きはしっかり野菜の旨味を感じられます。
こだわりの詰まった『てんてこ』のお好み焼きを是非楽しんでほしいと思います。
※本記事は2023年2月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
てんてこ 本店
住所 西宮市甲子園口3丁目9-16
電話番号 0798-66-0894 ※お持ち帰りも承ります。
営業時間 (月~金)11:00~14:00 / 17:30~22:30
(土日祝)11:30~22:30
※変更になる可能性あり
定休日 元旦
アクセス JR甲子園口駅南口から徒歩1分
SNS https://www.instagram.com/tenteko_honten/
ライター 憶良(おくら)
ゲームプランナー、プロデューサー、ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。日本で一番古いハンドルネーム、OKURAです。休日は温泉へ出向き、道中での食べ歩き、行先の地元スーパーで珍しい食材を買い込んで料理したりと、食に対してはかなり貪欲。「美味しいものを食べている時、美味しいものについて話している時に、悪いことを考える人はいない」という持論を持つ。