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登録有形文化財の建物を活用
「醤油の郷 大正ロマン館」は、旧龍野醤油同業組合の建物を活用した施設。東側の事務所は、その名の通り大正ロマンを感じさせるレトロモダンな洋館で、当時は1階が事務所、2階は集会所大広間として使われていました。今は事務所棟として、観光案内所と授乳室、展示などもできる交流室を備えています。
西側の建物は醸造工場だった建物。今は多目的棟で『クラテラスたつの』として活用しています。どちらの建物も平成28(2016)年に、登録有形文化財に指定されています。
カフェは、元醬油工場だった建物をリノベーションしているので、天井が高く開放的で広々とした雰囲気。構造上の梁が当時の面影を残しています。
オープンテラスもあるので、気候のいい時期なら、外で食べるのもおすすめです。醤油蔵にテラスがあるから「クラテラス」? なかなか絶妙なネーミングです。
地産地消と発酵調味料にこだわったメニューがすごい!
カフェでは、『地産地消たつの発酵ランチ(1,300円)』を提供しています。
とっても色鮮やかできれい!野菜もたっぷりで、動物性のものはほぼ使ってないヘルシーランチなんです。しかも、主にたつの市内の食材を使うって贅沢この上ないですよね。
定番は、無農薬ベビーリーフサラダと自家製甘酒ドレッシング、自家製おぼろ豆腐、揖保乃糸ばち汁、たつの市産紫黒米入り玄米ご飯という内容で、メインのおかずと惣菜3~4種が不定期で変わっていきます。惣菜3~4種類とメニューにはありますが、たっぷり6~7種類は並んでいます。
ごはんは大盛りも無料で、白米にも替えることができます。夢前町産の「夢美人」というブランド卵を無料で付けることができるなんて嬉しすぎます。
メニューの内容についてはスタッフから説明があります。そんな対応もとっても丁寧。もともと大好きなのに、もっとたつののことが好きになってしまいます。
取材日のメニューのメインは「右田農園のキャベツ入りのベジミンチカツ」。ミンチカツといっても肉はなしで、蒸しキャベツと高野豆腐、レンコンなど野菜がメインです。
惣菜は、菊芋のきんぴら、ニンジンラペ、九条ネギのニンニクソテー、紅芯大根の甘酢漬けなど7種類も。ほとんど右田農園さんなど、地元の農園からの野菜を使っています。しかも全部味付けが違うので、楽しみながら食べられるという感じ。
自家製ニンジンドレッシングには、地元・井戸糀製造所の甘酒を入れています。 その他、醤油は市内の各メーカーのものを料理に合わせて使い分けしたり、出汁は天然羅臼昆布と花かつおを毎日店内で丁寧に引いたり、井戸糀製造所の生糀で、自家製の醤油糀や塩糀を作って使用したりなど、全く手抜きをしてないところにも惹かれます。野菜メインなのに、全部いただくと本当にお腹が一杯で、帰ってから夜ごはんが食べられなかったほど。でもヘルシーだから罪悪感が全くないのもいいですよね。
いろいろな醤油をいただけるのもうれしい
各テーブルの上には、ランチの豆腐や卵かけごはんに使えるよう、濃口系、薄口系と2種類の醤油が置かれています。
ここクラテラスには、たつので製造している8蔵全部の醤油が揃っているので、ランチで使ってみて美味しかったら、併設のショップで買うことができるのも、いいしくみです。特に、豆腐や卵かけごはんにかけると味が際立つので、好みの銘柄を選びやすいかもしれませんね。
デザートも美味しい
『ソフトクリーム(500円)』は、たつの醤油味と紫黒米甘酒、2種類のミックスの3種類があります。ミックスをいただきましたが、甘酒の風味が強くおいしい。濃厚な味わいです。
人気は、『豆腐白玉のパフェ(650円)』です。水を一切使わず作った自家製おぼろ豆腐を練り込んだ白玉がもっちもっちの食感。醤油風味のアイスクリーム、小豆あん、うすくち醤油入りのカラメルソースもおいしさを引き立てます。
『ソフトクリームプリン(480円)』も人気です。カスタードプリンにホイップクリームと醬油ソフトクリームをオン。うすくち醤油入りのカラメルソースも潜んでいるのでこちらもアクセントがあって楽しいです。
たつのの特産品が一堂に介する貴重なショップ
たつのの特産品といえば、「揖保乃糸」「醤油」「龍野レザー」ですが、このショップには、それらが万遍なく揃っているのが大きな特徴です。
醤油は、たつので製造する8蔵全部の商品を扱っていますし、揖保乃糸は兵庫県手延素麵協同組合経由で、厳選の品を置いています。龍野レザーについては、一般消費者向けの商品を多く扱う2社から小物類を中心に仕入れています。
土台に、醤油のケースや素麺の木箱を使っているのも雰囲気づくりに一役かっていますよね。
ここなら、素麵と醤油など、自由に組み合わせて「たつのギフトボックス」を作れるのも魅力です。
今、人気の商品はこちら。
『実入り山椒醤油(831円)』です。兵庫県養父市の、香りのよい朝倉山椒を本醸造しょうゆに加えた一品。山椒の爽やかな香りが際立っていて大人気です。月に100本しか作れないので、入荷してもすぐ売り切れるそうです、見つけたときがお買い時の商品です。
こちらも人気。森口製麺の『カレー麺(レギュラー432円、辛口486円、味噌529円)』です。麺にカレーを練り込んだカレー生地の麵で、スープもカレー、カレー尽くしです。レギュラーと唐辛子入りの辛口、味噌ラーメンスープと3種類がラインナップしています。 商品はたくさんあるので、お土産選びも悩ましいところですが、「店長のおすすめ」のポップに、おすすめの理由がわかりやすく書かれているので、それも参考にするといいでしょう。
「テラス市」も人気のイベントに
11月を除く奇数月の第3土曜日に、「テラス市」を開催しています。
こちらは、地元の人にも「クラテラス」を認知してもらおうと2019年7月から始めたイ ベント。龍野にゆかりがある人や農園を中心に出店して販売しています。最初は地元野菜の農園など4つほどのテントから始めたイベントでしたが、今は定着し多くの人が訪れます。1月のテラス市でも、地元野菜、ハチミツ量り売り、チョコレート専門店、レモンケーキのお店、ピザやなど7店舗が軒を連ねました。
いいものをぎゅっと集めて情報も発信したい
クラテラスたつの・代表の水口麻衣子さんです。たつの生まれのたつの育ち、たつのをこよなく愛する水口さんは、管理栄養士として、カフェの料理やデザートの監修を手がけています。
「まずは、美味しく食べることが大事。醤油というたつのの発酵調味料や食文化に触れてほしい。そのためにはシンプルであることが大事。すぐ手に入るものを使って工程の少ない料理を作ることで、素材の味と調味料のよさを引き立てます」と話します。 お家でも作ってほしいという想いで、レシピをホームページでも公開しています。
今は、観光の拠点として機能していますが、もともとは地域の交流拠点としてスタートしたそうです。コロナをきっかけにもっと地元の人に活用してもらう施設として、地元の農園の米や野菜も並べ始めました。
「カフェメニューを食べて美味しかったとかお通じがよくなったとか言われるのはうれしいですね。見栄えだけでなく、身体が気持ちよくなるものを作っていますから。すっとお腹に入って後に引かない手作りのよさを感じてもらえたら。当たり前のことをやってあるものを生かしてまじめにやっているだけです」と水口さんは謙遜しますが、本当にクオリティが高いものばかりで、間違いない!
農作物にしても特産品にしてもバリエーションが多彩。たつのの豊かさを感じずにはいられない、素敵なスポットです。
(ライター 歌見)
※本記事は2023年1月時点の情報です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
クラテラスたつの
住所 たつの市龍野町上霞城126 醤油の郷 大正ロマン館
電話番号 0791-72-9291
営業時間 10:00~17:00
(カフェは16:30LO、ランチは11:30~14:00(なくなり次第終了)
定休日 定休日 月曜(祝日は営業、翌日休み)
アクセス JR姫新線 本竜野駅より 徒歩約20分
ウイング神姫 『龍野』バス停 下車 徒歩4分
駐車場 あり※限りがありますので、満車の場合は近隣駐車場をご利用下さい。
ライター 歌見(うたみ)
晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。