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全長52mの坑道を歩こう! 豊臣秀吉ゆかりの【多田銀銅山遺跡】を訪ねて

『多田銀銅山』

日本には多くの銀山がありますが、兵庫県にも『多田銀銅山』という銀山があったのをご存じですか?川辺郡猪名川町を中心に川西、宝塚、豊能、能勢、箕面、池田など、東西12㎞、南北10㎞と広範囲にわたる鉱脈の総称『多田銀銅山』では、奈良時代(710~794)から昭和48(1973)年までにわたり、銀、銅、鉛、顔料などのもとになる鉱石を採掘していました。(銀山地区は、豊臣秀吉の時代の天正12(1582)年から昭和48(1793)年まで) その遺跡の一つ、実際に入れる「青木間(ま)歩(ぶ)」で、当時の採掘の様子を感じてみませんか?

まずは歴史について学びます

「多田銀銅山 悠久の館」

「青木間歩」に行く前に「多田銀銅山 悠久の館」を訪れるのがおすすめです。こちらは【多田銀銅山遺跡】の中でも銀山地区(旧銀山町)の歴史を中心に紹介する施設です。実際に触ることができる鉱石や多田銀銅山にまつわる絵図、古文書、鉱山で使われた道具など、当時の採掘の様子を分かりやすく展示しています。

入り口は遊び心のある作りに

展示室の入り口

展示室の入り口も雰囲気があります。入り口を抜けると、鉱石や採掘の歴史の世界へ。館内は、絵図、高札は撮影禁止ですが、それ以外は撮影OKです。お子さんの自由研究にもおすすめです。(今回は、特別に撮影許可をいただいております)

青木間歩を映像で紹介
青木間歩を映像で紹介

中に入ると、「青木間歩」のコーナーがお出迎え。映像で解説されていて、青木間歩の見どころや青木間歩にある旧坑道の様子がよくわかります。

実際に手に取ってみることも…

触って学ぶコーナー
触って学ぶコーナー

実際に鉱石を触ることができます。「黄銅鉱(おうどうこう)()(おうどうこう)」や「(はん)銅鉱(はんどうこう)(どうこう)」は普通の石より少し重く、ズッシリしていました。これは、銅や銀の鉱物が含まれているからだそうです。

石の一つひとつ

石の一つひとつ、色や材質が違うのも面白いですね。

使われた道具たち

イラスト

イラストから当時の人たちが使用した道具や苦労しながら手掘りで作業を進めた坑内の様子がよくわかります。

「多田銀銅山」

「多田銀銅山」の歴史は古く、奈良時代に東大寺の大仏建立の際にもここの銅が使われたと伝えられています。また、平安時代から銀や銅が掘られ、豊臣秀吉の時代には「多田銀銅山」を直轄鉱山とし、採掘で得た収益を朝鮮出兵や大坂城の築城にあてていました。
江戸時代になると、この銀山地区は「銀山三千軒」と称されるほどの賑わいを見せていました。
また、豊臣秀吉が晩年に子供の将来を案じて4億5,000両、金塊にすると3万貫(11万2,500kg)を埋めたと伝わる「埋蔵金伝説」があったようです。しかし、これは絵巻や文書の用語から戦後に作られた「作り話」だと考えられています。例えフィクションだとしても、とても夢と浪漫を感じる話ですね。

多田銀銅山代官所跡遺跡

「多田銀銅山代官所跡」

「悠久の館」を出ると、向かい側に「多田銀銅山代官所跡」があります。
銀銅がたくさん採れた1662(寛文2)年には、ここに代官所を設置し、明治初期までの約200年間、多田銀銅山の管理する役所として機能していました。

青木間歩への道のり

「銀山橋」

青木間歩に向かう途中、「銀山橋」を渡ります。橋のデザインが特徴的です。

神社

もう少し歩くと、右手に神社が見えてきました。

金山彦神社
金山彦神社

金山彦神社は「鉱山の神様」として祀られているそうです。自然豊かな森の中の神社は、どこか趣があり、大変神秘的な雰囲気がします。

青木間歩に到着

青木間歩
青木間歩

昭和38年、日本鉱業が試掘のために削岩機を使って掘った坑道です。周囲に植物の「アオキ」が茂っていたことから、その名前が付いたとされています。平成12年に整備され、唯一、体験入坑できるようになりました。全長52m、大人が2人並んで歩ける程の広さです。

ヘルメット

入り口には、入場者のためにヘルメットが用意されていました。安全に配慮してくれるだけでなく、探検気分を盛り上げてくれるアイテムです。

温度計を見ると…
温度計を見ると…

中はひんやりしていると思ったら、12度でした。夏の暑い時には大変気持ち良いくらいです。

坑道

奥に向かって進みながら、天井の壁を見渡すと、鉱脈を見つけることができます。

壁の緑色に変色している部分

壁の緑色に変色している部分は、石の中に含まれる銅や鉛などの成分が空気に触れて酸化し、変色しているためです。

ゴツゴツした岩や地下水で湿った表面

当時の削られた跡なのか、ゴツゴツした岩や地下水で湿った表面を見ると、昔の採掘していた様子が想像でき、音が聞こえてきそうでした。

「青木間歩」の外

「青木間歩」の外に出ると、森に囲まれたのどかな景色が広がります。そして、『多田銀銅山遺跡』は、2015年10月に国の史跡に指定され、こちら以外にも遺跡が多数残っています。かつて繫栄していた「銀山地区」を散策しながら遺跡巡りをするのも、大変趣深く、おすすめですよ。

(ライター ako)

※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

多田銀銅山 悠久の館

住所〒666-0256 兵庫県川辺郡猪名川町銀山字長家前4番地の1
電話番号072-766-4800
開館時間9時~17時
開館日毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
12月29日~1月3日
入館料無料
アクセス【電車の場合】JR川西池田駅または日生中央駅から
阪急バス「白金2丁目」または「銀山口」バス停、徒歩約20分
駐車場あり(5台)、車いす用駐車区画(1台)
HPhttps://www.town.inagawa.lg.jp/kosodate/seishounen/
syougaigakusyuu/1417955802158.html

多田銀銅山遺跡 青木間歩

住所〒666-0256 兵庫県川辺郡猪名川町銀山
電話番号なし
開館時間9時~17時
定休日なし
アクセス【電車の場合】JR川西池田駅または日生中央駅から
阪急バス「白金2丁目」または「銀山口」バス停、徒歩約20分
「多田銀銅山 悠久の館」から徒歩8分
駐車場なし(多田銀銅山 悠久の館をご利用ください)
HPhttps://www.town.inagawa.lg.jp/kosodate/seishounen/
syougaigakusyuu/1417955802158.html
ako

ライター ako(あこ)

兵庫県生まれ、兵庫県育ち。美容師兼ライターをしています。趣味は、映画や旅行、美術館巡りなど。兵庫県は、オシャレで都会の顔もありながら、山や海など自然に恵まれた地域もあって、魅力がいっぱい。最先端の流行のものから伝統ある歴史的なもの、ちょっとマニアックなスポットなどを楽しくご紹介できたらと思います。

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