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素盞嗚神社の沿革
甲子園素盞嗚神社(こうしえんすさのおじんじゃ)。スサノオ神社(字がいろいろとあります)は日本のあちこちにありますが、治水に関係が深いと言われます。最寄り駅、阪神電鉄の甲子園駅はいま、道路(甲子園線)を跨ぐ形の高架の駅ですが、この道路は元々は川でした。1923年に埋められて、道路になったんですね。今も駅の南東側、ケンタッキーフライドチキンの辺りににちょっとした松林がありますが、これは元は土手の松林で、川だった頃の名残です。武庫川の支流、枝川(えだがわ)という川で、甲子園駅の少し下のところでさらに申川(さるかわ)という川に枝分かれしていました。甲子園球場の場所は、その川が枝分かれしていた部分の南側に当たります。
かつて暴れ川だった武庫川とその支流から、南側にあった村を護るためにここに神社が造営されたのでしょう。およそ400年前のことだといわれています。当時はおそらく松の大木に囲まれた、広く荘厳な神域だったでしょう。
西宮神社のえべっさんもいらっしゃいます
また、本殿の隣にはお稲荷さん、その隣には中津戎神社という戎さんの祠があります。実はこの戎さん、あの福男レースで有名な西宮神社の戎さん(西宮のえべっさん)です。もはや年代は不詳ですが、和田岬の沖に現れた戎さんを、鳴尾村(なるお、素盞嗚神社の南東側にあった村)の漁師が祀っていたのだそうです。その後、戎さんが「西へ連れて行け」とおっしゃって、いまの西宮神社に落ち着かれたといわれています。その鳴尾村の隣、中津浜に祀られていた祠を、堤防工事の折に街中に移し、その後素盞嗚神社に移したのです。だからここの戎さんは西宮神社の戎さんと同じ神様です。
もちろん、阪神タイガース推しです
甲子園球場よりも遙かに歴史の古い神社ですが、やはりこの立地ですからもちろん全体に阪神タイガース推しです。
鳥居をくぐって正面、手水舎の横には野球のボールとバットを組み合わせたモニュメント。「夢」と書かれた文字は星野仙一元監督の揮毫なんだそうです。拝殿横に積み上げられた菰樽の前にはかわいらしい虎の置物が並んでいます。さらにその横には岡田彰布元監督が揮毫した野球塚があって、周囲には絵馬がたくさん掛けられています。この絵馬もタイガースのマークやホームベース、野球のボールを象ったものが人気です。そして社務所には、タイガースや虎にちなんだ御守りやおみくじ、縁起物がたくさん並んでいます。
神社は南側から球場を訪れる人の動線に接しているので、これから試合を観戦するファンの皆さんがお詣りする姿もよく見られます。もしかすると本日の勝利をお願いしているのでしょうか。
その御利益は?
苦しいときの神頼み、なんていいますが、よく「ここは何々によく効く神様で…」なんていうことがありますよね。いやいや神様はお薬じゃないんですからこれはちょっと失礼な話かとは思うんですが。
素盞嗚尊はもともと野球の神様、というわけではもちろんありません。ヤマタノオロチを退治された強い神様(オロチは一説には水神で、暴れ川をオロチに見立ててそれを退治する、つまり治水の神様として素盞嗚尊が祀られたという説もあります)、また日本に木の種を持ってきて植えられた林業の神様でもあり、オロチ退治にお酒を使われたという意味では酒の神様でもあり、和歌も詠まれたということで学業の神様でもあります。つまり、非常に守備範囲の広い御利益があると思っていただいて良いかと思います。
と、宮司さんはおっしゃってました。
私事ですが、実はこの素盞嗚神社は筆者の産土神様でもあります。なので、ことあるごとにお詣りをします。お願い事ではなくて「おかげさまでこんなにいーかげんに暮らしてて、何とかやって行けてます。ありがとうございます」という感謝と日々の報告、といった感じなんですが。それで、令和2年2月2日にふと「せっかく日にちが揃ったので御朱印を頂きに行こう」と思い立って、以来3年4年5年と続けてしまってます。やめるきっかけがなくなってしまったから、というのもありますが。来年も6月6日にお詣りしようと思っています。
素盞嗚神社は、24時間いつでも開門されています。宮司さん曰く、
「当神社には門に扉がありません。閉めたら毎朝決まった時間に開けなあかんでしょ?(笑)」
とのことでした。
阪神甲子園駅すぐの素盞嗚神社。タイガースファンの方もそうでない方も、皆さんぜひ一度お詣りください。
(ライター 小嶋)
※本記事は2023年6月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
素盞嗚神社
住所 | 兵庫県西宮市甲子園町2-40 |
電話番号 | 0798-41-4556(甲子園素盞嗚神社) |
開門時間 | 24時間開門 |
アクセス | 阪神本線「甲子園駅」より南西へ500m |
ライター 小嶋あきら
猫とベスパが大好きな、ちょっと写真も撮れるライター。前回の万博をおぼろげながらに記憶している、そんな世代です。こわい話は好きだけど実はかなり真剣におばけはこわいです。兵庫県西宮市在住。