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東条川体験⑦ 足と目で楽しもう!昭和池を望む三草山登山
兵庫県加東市の三草山に登り県内最大のため池「昭和池」を望むイベントが2024年11月30日に開催されました。 ひょうごフィールドパビリオン認定プログラム「見て!動いて!味わって!東条川疏水博士になろう!」の一環として開かれたプレイベントで、紅葉に包まれた「三草山」と東条川疏水の重要施設「昭和池」をめぐる登山。気持ちいい景色と心地よい運動を兼ねたイベントに参加してきましたので紹介します。
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三草山と昭和池ってどんなところ?
「昭和池を望む三草山登山」の舞台となる三草山や昭和池があるのは、兵庫県加東市。清水東条湖立杭県立自然公園内にあり、登山道が整備され、地元の人はもちろん遠方からも訪れる人気の登山コースになっています。
近年では、阪神タイガースの近本光司選手や東北楽天ゴールデンイーグルスの辰巳涼介選手(共に県立社高校出身)が高校生時代にトレーニングとして三草山山頂までのトレイルランを行っていたことで「近本ロード」「辰巳ロード」の名でも親しまれています(どちらも同じコース)。
三草山は歴史的にも重要な場所で、1184(寿永3)年に三草合戦がありました。源氏と平家が戦った源平合戦における一ノ谷合戦の前哨戦で、源義経率いる1万騎が三草山の西で待ち受ける平家の陣営に夜討ちをかけて勝利したと、平家物語に記されています
この三草山の麓にある大きなため池が「昭和池」です。北播磨と呼ばれる地域(加東市、小野市、三木市)の灌漑用水や水道水を担う東条川疏水の歴史は、この昭和池から始まったともいわれ、1934(昭和9)年に竣工しました。半世紀たった今も地域の水源として守られています。
この地域では、雨が少ないため多くのため池が造られていますが、なかでも昭和池は大きく、兵庫県内で最大。その大きさは、150.2万立方メートル。貯水量にして15億リットル、一般的なお風呂の約600万倍の貯水量になります。
三草山山頂に向けて出発!
スタート地点は、昭和池の下にある三草山山口登山口駐車場(駐車無料)。一般の登山者も多く、集合時間の10時には駐車場は満車となり、人気の登山コースであることが伺えます。
今回は、プレイベントとして地元の人を中心に参加を募集したところ、30名を超える応募があり、同地区のこども園から園児や家族、職員も参加。子どもたちのはしゃぐ声が響く楽しいイベントになりました。
まずは、主催の三草ふれあい広場の会長が「今回の目的は、三草山の登山を楽しむこと。そして、昭和池の歴史と未来、東条川疏水の魅力を知ってもらうこと」と挨拶。三草山から見る昭和池、山頂から見渡す360度の風景、昭和池から望む三草山は最高とのことで、楽しみでわくわくしてきます。
がんばって山頂まで登った子どもたちには「東条川疏水ネットワーク博物館」から疏水の守護神「疏水マン」に変身できるマントとお面などのプレゼントがあることが発表され、拍手で包まれるひと幕もありました。
続いて昭和池についての説明があり、いよいよ出発。いくつかある登山コースのうち三草コースで山頂を目指します。
登山は10名ほどのグループで3班にわかれ、順次出発。はじめは森の中の緩やかな道を進んでいきます。気持ちのいい山歩きです。
「目指す三草山はどの山ですか?」と聞けば、スタート地点からは見えないとのこと。いくつかの山を越えて、はじめて見えるというではないですか。アップダウンの激しい山中を進まなければたどり着けないようです。
ハイキング気分で参加したなら、きっと驚く急斜面。登山だったことを改めて実感します。
時折、振りかえれば美しい風景。振りかえる度に登っている実感が沸いてきます。
「もうすぐ山頂かな」と思えても、まだまだ通過地点。道は続いています。
休憩タイムには記念撮影。
目指す三草山の山頂が見えてきました。写真の右奥の山にポツンと立つ1本のこんもりとした木が山頂の目印。まだまだ先です。
2〜3歳の園児たちも頑張って登っていきます。
急な斜面には鎖が張られています。
大人も負けずと頑張り、三草山山頂を近くに感じるところまでやってきました。
三草山山頂に到着
三草山山頂に到着したのは、11時45分。出発したのが10時15分頃だったので、登りの所要時間は1時間30分、2.5キロメートルの行程でした。
山頂は結構広く、ゆっくり滞在できます。目印にしていた木にも、やっと会うことができました。
見渡す景色は圧巻です。まずは昭和池。青さが際立つ美しい風景です。
南東に目を向ければ、東条川疎水の要である東条湖(鴨川ダム)や東条湖おもちゃ王国が見えます。
南には瀬戸内海。そして明石海峡大橋。うっすらと淡路島も見えています。
360度見渡せるこの山頂には、三草山城があったことを記す石碑がありました。交通の要衝であり麓には街道が通っているため、ここから監視の目を光らせていたことでしょう。
現在も周辺状況を確認するカメラや電波中継設備が置かれています。
山頂にあるお社は三草山神社。京都北野天満宮から勧進された勉学の神様として名高い菅原道真公が祭られています。
三草山月例登山スタンプもありました。スタンプ帳があり、毎月末にスタンプの交換がされているそうです。
山頂で自撮りをするといいことも。加東市観光協会で提示をすると「近本ロード踏破証明書」や「辰巳ロード踏破証明書」がもらえるそうです。
休憩が終われば、参加者全員で記念撮影をして下山。昭和池へと向かいます。
ゴールは昭和池
下山は三草古道コースで昭和池を目指し、どんどん進んでいきます。
斜面は急で滑りやすいため、慎重に進んでいきます。時折見える昭和池と紅葉の美しさに癒やされます。
ある程度、下りれば道はなだらかになり、森林ウォークになります。
昭和池の湖畔に出るとその大きさを実感。水位は、例年に比べかなり低いようです。
大きな岩場がありました。昭和池を望む一番のビューポイントです。
岩場から見た風景。正面に三草山が見えます。
ここは、戦時中の射撃訓練場で、300メートル先に的を置き、岩場から射撃訓練をしていたそうです。
ゴール地点には立派な記念碑が建っていました。昭和池が完成し、周辺の水路の整備を終えた1934(昭和9)年に建てられたものです。
記念碑前では、到着した班から休憩&昼食です。
到着したのは14時15分頃なので、スタートから約4時間。なかなかの疲労具合と空腹です。
用意していただいた昼食は、地元の食材を使った巻きずし。体を動かしたあとのご馳走は、格別においしかったです。
昭和池を望む三草山登山を終えて
昼食を終えれば解散ですが、その前に子どもたちにプレゼント。「疏水マン」変身グッズが渡されました。早速、変身する子どももいて、ほのぼのとしたひとときです。
東条川疏水がもたらす恩恵に触れ、学び、守っていってくれることを願うばかりです。
昭和池は、1924(大正13)年に発生した大干ばつが契機となり、1927(昭和2)年から築造されました。困難が多く、犠牲者も出た難工事だったようです。
今は、鴨川ダムからの水も届くようになり、昭和池から多くの地域に水が送られていますが、完成から長い年月が過ぎたこともり再整備が計画されています。これからも守り続けていかなければならない、地域の大切な資産です。
大阪関西万博に向けて兵庫県のいいところを紹介していく「ひょうごフィールドパビリオン」の認定プログラム「見て!動いて!味わって!東条川疏水博士になろう!」(企画:東条川疏水ネットワーク博物館)のひとつとして実施された「三草山と昭和池を足と目で楽しもう!昭和池を望む三草山登山」。
今回の経験を踏まえ、次回からはローカルプライムのサイトをはじめ、SNS等を通じて募集する予定になっています。水と関わりの深い山や森に触れながら、ため池の重要性を知る機会。いい運動にもなるので、心も体もリフレッシュできる企画にぜひ参加してみてください。
(ライター 塚本隆司)
※本記事は取材時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。