TOPIC/読み物
新開地とはどんなところ?
明治38年に旧湊川を埋め立てた跡地に自然発生的に生まれた歓楽街は、昭和初期には日本有数の繁華街になり、映画館や劇場など、全盛期では24もの劇場が建ち並び、人が集まる歓楽街として大変賑わっていました。有名なエピソードとして、かの喜劇王チャップリンは、戦前に新開地を何度か訪れ、新開地周辺を散策していたことが新聞で報道されました。また、新開地の目と鼻の先で育った映画評論家の淀川長治さんは幼少期からこの場所にあった活動写真館や芝居小屋、聚楽館(しゅうらくかん)でたくさんの映画を観ていたとも言われています。
『神戸新開地・喜楽館』の筋向いに神戸松竹座跡の説明版があります。1929年、この地に「神戸松竹座」が開館。鉄筋コンクリート造りの地上3階地下1階建ての立派な洋風建物で、当初は洋画興行を行っていましたが、1959年に演芸場になりました。1976年に閉館し、現在は、パチンコホール「A-TIME新開地店」が建っています。
インパクトも最大級
商店街のアーケードにつるされた巨大な提灯は、高さ2.8メートル、幅約2.4メートル、重さ約50kgと存在感も抜群。この提灯を目印に歩いていくと『神戸新開地・喜楽館』への入り口に辿り着きます。
ユニークな仕掛けも
入り口へのアプローチでは、2022年に開館4周年を記念して設置された「MELLIKEN(メリケン)」像がお出迎えしてくれます。名前の由来は、神戸のメリケン波止場から「MELLIKEN(メリケン)」という名に。生みの親は神戸出身の落語家、桂あやめさん。青い着物は神戸の海と空を、帯は、波を表していて、ポートタワーをイメージしています。
見た目も名前も神戸らしくオシャレでひと際目を引きます。
また、大阪・新世界のビリケンさんは、足の裏をさすると願いが叶うと言われていますが、こちらのメリケンさんは、慣用句「膝が笑う」にかけて、膝をさすると笑い声が聞こえ、来た人の笑いを誘います。
タニマチで劇場を応援
『神戸新開地・喜楽館』は、劇場の運営資金を募り、ごひいきになって頂く「喜楽館タニマチ制度」を実地。現在、2024年度第5期を募集しています。1万円以上寄付すると、特典として「喜楽館タニマチ名刺」という寄付者の名前が入った名刺を100枚もらえます。この名刺で前日までに予約すると昼席が割引され、家族や友人など名刺を配られた方も割引が使えます。その他、昼席入場予約券や元気寄席の招待券、「タニマチ」として寄付された方の名前が芳名版に連なるなどの特典が受けられます。
開場を告げる「一番太鼓」
寄席の開場時には、「一番太鼓」が鳴り響きます。最初は、前座さんが長バチで太鼓の縁をカラカラカラと叩いて木戸口が開く音を表現し、次に、お客さんがたくさん来るように「ドンドンドンと来い」と聞こえるように叩くのがポイント。耳を澄ますと、本当にそう聞こえてくるから不思議です。
叩き終わりは、長バチを漢字の「入」という字の形にして太鼓の表面を押さえて終了します。これは「大入り」になるようにとの縁起を担いだ打ち方だそう。細かいところにも意味があるのが面白いです。
臨場感あふれる面白さ
落語は、日本の伝統芸能の一つと言われ、語り口や表情、声色を変えて、一人で何人もの登場人物を演じるのが特徴です。身振り手振りで話すストーリーに、想像力が掻き立てられ、グッと引き込まれるのも生の迫力ならでは。アドリブで客席とのやりとりも面白く、どの演目も笑ったり感動したり、あっという間の楽しい時間でした。あなたも『神戸新開地・喜楽館』で落語の魅力を感じてみませんか。
(ライター ako)
※本記事は取材時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
神戸新開地・喜楽館
住所 | 兵庫県神戸市兵庫区新開地2丁目4-13 |
電話番号 | 078-335-7088 FAX:078-335-7089 |
営業時間 | 公演情報、チケットの購入方法や料金など詳しくはHPをご確認ください |
アクセス | ・私鉄各線(神戸高速・阪神・阪急・山陽・神戸電鉄) 「新開地」駅東改札3番出口、徒歩2分 ・JR「神戸」駅 徒歩13分 ・神戸市営地下鉄「湊川公園」駅より徒歩5分 ・神戸電鉄「湊川」駅より徒歩5分 |
駐車場 | なし ※近隣パーキングをご利用ください |
HP | 神戸新開地・喜楽館 (kobe-kirakukan.jp) |
ライター ako(あこ)
兵庫県生まれ、兵庫県育ち。美容師兼ライターをしています。趣味は、映画や旅行、美術館巡りなど。兵庫県は、オシャレで都会の顔もありながら、山や海など自然に恵まれた地域もあって、魅力がいっぱい。最先端の流行のものから伝統ある歴史的なもの、ちょっとマニアックなスポットなどを楽しくご紹介できたらと思います。