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手作りルアーでバス釣り&うどん麺づくり!加東市・加西市モニターツアーリポート
2025年に開催される大阪・関西万博に合わせ、国内外の人に兵庫県のいいところをアピールしていく「ひょうごフィールドパビリオン」。加東市からは特産品である「釣り針」を紹介する『プロから学ぶ特産品 〜釣り針とルアー〜』が登録されています。 今後の多くの人に来てもらう仕組み作りに向け「加東市・加西市のよくばりモニターツアー」を2023年12月2日に開催。おとなり加西市での「人気のうどん麺づくり修行体験」と合わせて紹介します。
加東市・加西市のよくばりモニターツアー
今回、神姫バスが企画し2023年12月2日(土)に実施した「加東市・加西市のよくばりモニターツアー」は、ひょうごフィールドパビリオンに加東市が登録した『プロから学ぶ特産品 〜釣り針とルアー〜』から「環境に優しいルアー制作」と「プロに教わるバス釣り体験」を中心としたツアーで、昼食にはお隣の加西市にある人気うどん店「がいな製麺所」へ行き、そのうどんの作り方を学ぶ『本場さぬきうどん麺づくり修行体験』を組み合わせています。
応募開始後、あっという間に満員御礼となりました。
当日の参加者は7組14名。朝8時に姫路駅南口から出発し、小野市、加東市を経由し、ルアーづくり体験をおこなう『アクア東条』へと向かいました。
加東市で『環境に優しいルアーづくり』
加東市には、ダム建設のために作られた東条湖(1951年に完成)があります。
周辺には観光スポットがあり「東条湖おもちゃ王国」は子ども連れで遊びに行ける人気スポット。近くにゴルフ場やホテルもあり、少し足を延ばせば西国三十三所巡礼の25番札所「播州清水寺」や作陶家兄弟が創意工夫を凝らした器を作る「東条秋津窯」などがあります。
東条湖湖畔に建つ『みずうみの水族館 アクア東条』は、東条湖の生物、特に魚たちを紹介する施設で、水槽がいくつも並ぶ無料の水族館です。
今回のモニターツアーでは『環境に優しいルアーづくり』の場として、展示室を利用させてもらいました。
みずうみの水族館 アクア東条
住所 | 兵庫県加東市黒谷1197−23 |
電話番号 | 0795−47−0505 |
開館時間 | 9時30分~17時30分(10~2月は10時~16時) |
休館日 | 毎週木曜日・年末年始12月29日~1月3日 |
料金 | 無料 |
アクセス | 車 中国自動車道「ひょうご東条」インターチェンジから約7分 |
駐車場 | あり(無料) |
公式サイト | https://www.hyoturi.or.jp/aqua/ |
SNS | YouTube www.youtube.com/@user-zb1ls7qz1x |
釣り針は加東市の特産品です。加東市を中心に県内の生産高は国内生産の約8割を占め、その歴史は江戸時代までさかのぼる伝統産業でもあります。「小さな体に、大きな使命」。これは、釣り針を表現する言葉であり、生活に欠かせないものとして発展してきました。
現在は、ルアー(疑似餌)や釣り竿等を手掛けるメーカーもあり、海外でも高い評価を得ています。
東条湖は、車で大阪から約60分、神戸からは約40分の場所に位置し、ブラックバスやワカサギ釣りを楽しめるレジャースポットです。加東市にとって大切な観光資源であり、特産品の釣り針を産地で楽しんでもらうのにピッタリの場所です。
『環境に優しいルアーづくり』では、環境に配慮した素材を使い疑似餌(ルアー)を作ります。その素材とは豚の皮。ポークルアーとも呼ばれるもので、樹脂製ルアー(ワーム)に対して自然にかえる環境に優しいルアーとして注目されています。
実際に環境対策で樹脂製ルアーの使用を禁止にしている釣り場もあるので、ルアーフィッシング好きなら、作り方は知っておいた方がいいルアーです。
しかも、今回のモニターツアーで教えてくれたのは、日本最高峰のプロバスフィッシングトーナメント「JB TOP 50」に名を連ね、東条湖や生野銀山湖での大会では圧倒的な強さを誇る三原直之プロ。三原プロに会いたくて今回のツアーに応募した人までいる人気プロです。
プロに教わりながらの貴重なルアーづくり体験。この後には制作したルアーを実際に使うとあって、参加者のまなざしも真剣です。
豚皮を使ったルアーの制作は、手順としては簡単。
まず、豚皮を用意します。釣具屋などで販売されているそうですが、東条湖近辺では手に入りにくいため、ネットでの購入が無難です。
触ってみると、ゴムのような弾力。少し脂がありますが、臭いはほとんど気になりません。
これを、好みの大きさや形にカットしていきます。
切っただけでも完成といっていいくらいですが、釣れるルアーにするためには、狙う魚の大きさに合わせたサイズにする、水中でユラユラとさせるために薄くしたり切れ込みを入れたりするなどの工夫が重要になります。
そのノウハウを三原プロが、楽しく教えてくれます。
参加者は、どんなルアーなら釣れるのかを想像しながら、いくつも制作していきます。
豚皮のルアーは、水に溶けやすく、時間が立ち渇いてしまえばルアーとして使えなくなるのが難点。実際には、試しながら使うことになるので、いくつか用意しておきます。
なかには見た目もすごい力作まで。時間はあっという間に過ぎていきます。
ここで、予定にはなかったのですが、急遽三原プロから、多く釣った人に商品を出すとの提案があり、最初に釣り上げた人にも「早がけ賞」が送られることが決定。参加者も盛り上がり意気揚々と湖へと向かいます。
東条湖で『プロに教わるバス釣り体験』
環境に優しいルアー作りが終われば、「プロに教わるバス釣り体験」へ、アクア東条のとなりにある桟橋『東条湖BIGBITE(ビッグバイト)』へ向かいます。
通常は貸しボートでのバス釣り、冬はワカサギ釣り、レジャーボートなどが楽しめます。
東条湖BIGBITE(東条湖ビッグバイト)
住所 | 兵庫県加東市黒谷25 |
電話番号 | 0795-47-0072 |
営業時間 | 公式サイトを参照(季節により変動) |
定休日 | 年中無休(年末を除く) |
料金 | 公式サイトを参照 |
アクセス | 車 中国自動車道「ひょうご東条」インターチェンジから約7分 |
駐車場 | あり(無料) |
HP | http://www.tojokobigbite.jp/index.php |
SNS | Facebook https://www.facebook.com/tojokobigbite YouTube https://www.youtube.com/@officialchannel3384/ |
三原プロに東条湖はどんな釣り場かと聞くと「難しい場所だけど、難しいからおもしろい」とのこと。この日は風もなく穏やかな陽射しの釣り日和ですが、果たして釣れるかドキドキです。
参加者全員に釣り道具一式が渡され、三原プロから簡単に使い方とコツを伝授。
そして、バス釣り大会がスタート。制限時間は90分。それぞれポジションを決めて釣り始めます。
今回は特別に桟橋から釣らせていただきました。とはいえ、深さは10メートルくらいあります。桟橋まわりでは、小さめのブラックバスやブルーギルが多く、時折大物が湖面を揺らすことも。
釣り堀ではないため、そう簡単には釣れません。
1匹目「早がけ賞」が出たのが開始から15分後。見事なブラックバスでした。
三原プロも参戦。早々に釣り上げるのはさすがプロです。
その後は、特製ルアー(その場で漁場にあったものをつくってくれた)を参加者に渡したり、釣り方指導をしたり。子どもたちも真剣そのもの。
釣りあげる人も次々現れて盛況。スタッフがサポートしてくれるので、釣りに慣れていない人も安心して楽しめました。
参加者の1/3くらいの人が釣り上げ、多い人は3匹も。
時間は、あっという間に過ぎ、タイムアップ。
アクア東条に戻り表彰式と景品争奪ジャンケン大会。最後にサイン会と記念撮影でプログラムは終了。
初めは表情の固かった参加者も笑顔で東条湖を後にしました。
加西市で『本場さぬきうどん麺づくり修行体験』
昼食は加東市のとなり、加西市に移動し本場の讃岐うどんが食べられる『がいな製麺所』へ。
がいな製麺所は、2005年から営業を続けている人気店。「なぜ、加西市で讃岐うどん?」というのは、オーナーである水谷克也さんの人生そのものに関係してきます。
何も夢を持てなかった19歳の水谷青年が「うどん屋」になりたいと思い立ったことから始まります。うどん店めぐりの末、22歳の時に出会ったのが讃岐うどんの本場・香川市で讃岐うどん界をけん引するレジェンド・るみばぁちゃんが切り盛りする「池上製麺所」。弟子入りを志願すると快く引き受けてくれたのが修行の始まりです。
やがて一番弟子として認められ、2005年に独立を決意。加西に戻り「がいな製麺所」をオープン。るみばぁちゃんの笑顔の看板とその言葉を胸に営業を続けられています。
この日、いただいたのは『肉うどん定食』(1,200円)。肉うどんにかやくご飯(小)、ドリンクが付いています。香る出汁に食べ応えのある麺。釣りで冷えていた体も温まります。
この後、うどんづくりに挑戦することも忘れ、一気に食べてしまう美味しさでした。
がいな製麺所
住所 | 兵庫県加西市和泉町25-3 |
電話番号 | 0790-45-0848 |
営業時間 | 10時30分~15時 |
定休日 | 毎週火曜日、1月1日・2日 |
アクセス | 車 加西インターから約10分 |
駐車場 | 有り(無料) |
公式サイト | https://www.gaina-japan.com |
SNS | Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100049269265213 Instagram https://www.instagram.com/gainaseimensyo/ |
今回のモニターツアーの午後は『本場さぬきうどん麺づくり修行体験』。単なる“体験”ではなく“修行体験”というのが、実は大切なのでした。
がいな製麺所の『本場さぬきうどん麺づくり修行体験』は、定期的な開催はありませんが、依頼があれば出張を含めて随時開催されています。
通常は、修行体験の後、プロが作ったうどんを美味しく食べる順序ですが、今回はツアーの都合で先に食事をしました。
『本場さぬきうどん麺づくり修行体験』では、粉からうどん麺として仕上げるまでの一連の作業を体験できます。
出来上がったうどんは、持ち帰りその日のうちに食べられるというのも魅力。修行ですから、指導いただくオーナーの水谷さんが師匠で、参加者は弟子志願者ということ。
うどん麺づくりは、2人1組で行います。最初に行うのが、たらいの中に小麦粉を入れ、一粒一粒がピカピカツヤツヤになるまで優しく混ぜていきます。その後、塩水を加えてこねていきます。
塩水の分量や混ぜ方、こね方のコツまで、全て惜しみなく教えてくれます。時折、師匠のるみばぁちゃんの話を交えながら。
修行当時、75歳のるみばぁちゃんは、いつも魔法の言葉を唱えながら仕事をされていたそうです。その魔法の言葉とは「美味しくなぁれ」。言葉にすることで思いが届くようです。
次は、麺にコシがでるように、足踏みでさらにこねます。
しっかり踏んだ後は、寝かしの工程。本来なら2〜3時間、店では半日ほど寝かすところですが、体験では10分間だけ。しっかり抱きしめ、暖かくして寝かしつけてあげます。この間に、交代でトイレ休憩などを行います。
休憩が終わると、生地を広げて伸ばし、折り返しては麺棒で広げて伸ばす。その繰り返し。目指すはうどん麺の太さ2〜3ミリです。
いよいよクライマックスの工程、うどん切り。多くのお店が使っている「麺切りカッター」の登場です。見たことはあっても使ったことが無い人がほとんどで、こわごわワクワクしながら挑戦。
包丁の刃の幅に合わせて生地をたたんでセット。包丁を引き上げる高さによって、カットする幅が変わる仕組みなので、同じ高さ、同じリズムで切るのがコツ。参加者は初めてのはずなのに、みなさん上手です。
これで完成です。麺がひっつかないように粉を振って袋へ。自分で打った麺。おいしいに決まっています。
最後に、美味しく食べるためのコツを伝授。
粉を落とす事やよく沸騰した湯に麺が踊るように入れてゆでることなど、教えてくれます。
うどんを湯がくときのコツは「人と人はくっついてもいいけど、うどんはくっついちゃいかん」というのは、るみばぁちゃんの言葉。「うどんの美味しさは、うどんを食べる雰囲気にある。美味しいねって食べられることが美味しさの秘訣であり秘密でもあるのよ」と、ニコニコとした笑顔で教えてくれたそうです。
全て終了の証に、水谷師匠から参加者に認定書が渡され「修行体験」は終了。
最後に記念撮影をしました。
「加東市・加西市のよくばりモニターツアー」を終えて
参加者たちも一様に満足していただけたと感じるツアーでした。
『プロから学ぶ特産品 〜釣り針とルアー〜』では、加東市で釣り針づくりが昔から盛んであったこと、東条湖という釣りを楽しむ素晴らしい場所があり、環境に配慮しながら楽しむ大切さが体験の中で認識できます。
『本場さぬきうどん麺づくり修行体験』では、作り方を学ぶだけではなく、うどんを愛する人の言葉を聞きながら、その情熱に接することができるのが一番の体験になることを実感できました。
今後は、正式なツアープログラムとして実施できるよう検討が重ねられます。
「参加したいなぁ」と思った人は、加東市や加西市、神姫バスからの発表を心待ちにしていてください。
〇 本ツアーは北播磨広域観光協議会兵庫DC・アフターDCに向けた広域ツアー助成事業を活用したものです。
(ライター塚本隆司)
※本記事は2023年12月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)
姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。