fbpx
Local Prime

TOPIC/読み物

中播磨の“ええもん”がぎゅ~~っと詰まった 「ひめじ海里山(かいりや)鍋」で地域を活性化

「ひめじ海里山(かいりや)鍋」

姫路を中心とする「中播磨」エリアは、海から里、そして山まで自然がいっぱい。そんな中播磨の“ええもん”を手がける農畜水産物の生産者や加工業者、飲食店などが力を合わせ、名物になる鍋を作ろうと開発したのが「ひめじ海里山鍋」です。おいしいものがたっぷり入ったどんな鍋なのか興味津々。参入している生産者や加工業者の方々や今後の取り組み、自宅での楽しみ方まで紹介します。

「ひめじ海里山鍋」の開発秘話

メンバーの集合写真
メンバーの集合写真

「ひめじ海里山鍋」は、「中播磨『海・里・山』をむすぶ『食』の研究会」のメンバーが手がけたメニューです。
「せっかく中播磨には海も山も里もあるのに、今まで、それぞれ農家や漁師の会などはあったけれど、海、山、里の垣根を越えた会はなかった。中播磨の特徴をいかした会を作って食文化を発信していこうと発足したのがこの会です」と話すのは、会長の小川陽平さん。
兵庫県中播磨県民センター姫路農業改良普及センターの呼びかけで、発足したのが平成29年のことでした。
「ひめじ海里山鍋」も食文化発信の一環です。中播磨の海里山のものを使った名物鍋を作って広く普及しよう、手始めにまずは研究会の会員が手がけたものを入れて作ってみようと試作したそうです。姫路のブランドポーク「桃色吐息」や坊勢漁業協同組合の「ぼうぜ鯖」、中播磨野菜出荷組合の葉物野菜などを使って、毎年冬至の日前後に研究会による「ひめじ海里山鍋」を一般客にふるまい、翌2月に飲食店が参加する「鍋まつり」をPRするという活動を続けていました。 「海里山鍋」というネーミングは「美味しいもん食べて“かえりや~”」から。播州弁?なんでしょうか。耳ざわりがよく何だかほっとしますよね。

今回の鍋に入れたのはこんな食材

食材の集合写真
食材の集合写真

今回、研究会のメンバーが用意してくれたのはこんな食材です。
見るからに新鮮なのがわかる海里山の恵みの数々。これらを入れて作る鍋は、それぞれの食材からでる旨みが混ざり合って、どんな濃厚な風味の鍋に仕上がるんだろうと、想像するだけでワクワクします。

それぞれの食材のこだわりをご紹介

<桃色吐息(株式会社東原畜産)>

株式会社東原畜産

株式会社東原畜産が手がける「桃色吐息」は、その名前だけで食べたくなるような姫路ブランドポーク。甘みがある上品な味のポーク。名前通りの味わいがあります。
この風味や味わいを引き出しているのは、最高の飼育環境にあります。淡路生まれの姫路育ての「桃色吐息」は、3種類の品種を交配させて作った「三元豚」であること。また、大麦、小麦、トウモロコシなど、独自のブレンド飼料を使っていること。また通常の豚よりも大きく育てること。生体重120㎏以上に育て、最高に成熟した状態で出荷します。「飼育日数が増えることによってサシが入るんや。脂の質がようなる」とは、株式会社東原畜産の代表取締役、東原聖雲さん。鍋では主役級を張っています。
こちらのお肉、量販店では販売せず、石井精肉店(夢前町)、山下食品(広畑区)で販売しています。

株式会社東原畜産
兵庫県姫路市野里二本松51番         

<柚子のしずく、ゆず胡椒、ゆず(農事組合法人安富ゆず組合)>

安富町でのゆず栽培

安富町でのゆず栽培は平成3年頃から始まり、法人になってからは16年目を迎えます。組合員は65名。ほとんどの農家が兼業農家としてゆずを出荷しています。安富のゆずの特徴は、ゆず本来の味が濃いこと。
加工品は30種類くらいあり、天然果汁100%の「柚子のしずく」がメインの売れ筋商品です。お酒に入れたり、ケーキに使ったり、希釈してジュースにしたりと使い勝手は抜群。また「ゆず胡椒」は、地元産のハバネロ(激辛唐辛子)や青唐辛子が入った調味料です。中国自動車道の「安富PA」で提供する「鶏もも柚子胡椒焼」には、このゆず胡椒を使っているそうです。「鍋で使うと、味がちょっと変わって美味しいですよ」と理事の中塚泉さんが話してくれました。

農事組合法人 安富ゆず組合
兵庫県姫路市安富町長野320-1
HPはコチラ   

<白菜、長ネギ、小カブ他(中播磨野菜出荷組合)>

「中播磨野菜出荷組合」

「中播磨野菜出荷組合」は平成26年に発足。入会時45歳未満の生産者という縛りがあり現在11軒の農家が組合員です。それぞれがバリエーション豊富に多種類の野菜を手がけていて、全般的に葉物野菜を、なかでも小松菜を育てている人が多いそうです。施設野菜、露地野菜など、それぞれの得意なものをいかして、その土地に合った野菜を作っています。収穫してすぐ売り場に並べるので、鮮度抜群なのが自慢です。
「今回の鍋には、白菜、長ネギ、小カブなどを持ってきました。わさび菜が独特の風味をだしているのと、小カブがいい仕事をすると思います」と、株式会社菜の花インダストリーの三宅雄三さん。これらの野菜は、書写や飾磨のJA旬彩蔵、マルナカ、マックスバリュ、ヤマダストアなどで入手できるそうです。組合としては、無印良品ピオレ姫路店で開催する「つながる市」などに出店しています。

<鶏卵3種(株式会社藤橋商店)>

「株式会社藤橋商店」

畜産用飼料の販売や鶏卵の生産・加工・販売を手がける「株式会社藤橋商店」は、自慢の鶏卵3種でエントリーしています。
「夢王」は、パプリカを餌として与えているので、赤い色素が際立ち卵黄が赤いのが特長です。濃厚ですが後味すっきり、卵臭さがないので、卵かけごはんにピッタリです。「たまごかけごはん祭り」で3連覇した実力派です。
「夢美人」は、魚粉を餌として育った鶏卵で、昔ながらの卵らしい卵です。黄身は夢王より色味は黄色ですが、味は濃厚です。プリンやオムライスに適した卵です。
「ひょうごの穂々笑実(ほほえみ)」は、兵庫県産のお米をいっぱい食べている鶏が産んだ卵。黄身は一般的な黄色です。シフォンケーキなどスポンジケーキによく使われる卵で洋菓子屋さんがよく使う卵だとか。
「鍋には、〆の雑炊やパスタと一緒に使ってほしいですね」と営業部の平野真央さん。商品は本社横の直売所などで販売しています。

株式会社藤橋商店
〒671-2232 兵庫県姫路市相野115番地
公式HPはコチラ  

<ショートパスタ(農業生産法人小川農園株式会社)>

農業生産法人小川農園株式会社

農業生産法人小川農園株式会社では、米と野菜を作っています。自分たちで作ったパスタ専用のお米を収穫し、1年寝かせて米粉にして生パスタを打って販売しています。
農業の6次産業化に取り組み、自家製生パスタと地元の食材、イタリア人の奥さんの味を大切にした直営レストランを営んでいます。
今回の鍋では、〆のうどんやラーメンの感覚で、自家製のショート生パスタを使っています。

農業生産法人 小川農園株式会社
兵庫県姫路市山田町南山田105-3
HPはコチラ          

<もち麦粉、もち粉(姫路神崎生活研究グループ連絡協議会)>

姫路神崎生活研究グループ

姫路神崎生活研究グループは姫路市と神崎郡3町の「農業と食」をテーマに活動する10組織の連絡会です。それぞれが、地域の特産物の生産やその加工に取り組んでいます。
今回は福崎町の特産物である「もち麦」を使った「もち麦粉」で鍋の〆のすいとんを作ります。
「もち麦粉は小麦粉を使う料理に混ぜて使っていただくと、しっとり、もっちりした食感に変わり、風味が良くなるんですよ」と、姫路神崎生活研究グループ連絡協議会・会長の植岡洋子さん。

<干エビ、ぼうぜ鯖、播磨カキ(坊勢漁業協同組合)>

坊勢漁業協同組合

坊勢漁業協同組合の巻き網船団が5~6月に獲ってきた天然の鯖を、大型の生簀で、主に自分たちが獲ったイワシなどを餌にして天然の環境に近い形で育てたのが「ぼうぜ鯖」です。11~5月頃まで、美味しく食べられます。刺身やしめ鯖、しゃぶしゃぶ鍋で食べるのがおすすめです。
「播磨カキ」は、1年で成長する1年ガキ。濃厚な風味と加熱しても縮みにくいのが特長です。夏場は坊勢島周辺で育て、台風シーズンが過ぎると、川からの栄養分が豊富な網干や岩見に筏を移動します。「干エビ」はボイルした小エビを干したもの。坊勢島では昔からたくさん獲れていて、素麺の出汁にもよく使います。「今回の鍋には、出汁として生のエビを炒って干エビ同様に使います。エビは旨みが濃厚。またエビの味噌がコクを出します。ぼうぜ鯖や播磨カキも鍋に入れます」と、坊勢漁業協同組合の上西典幸さんは話してくれました。

坊勢漁業協同組合
兵庫県姫路市家島町坊勢697
公式HPはコチラ          

鍋の作り方はこちら

生エビの頭
生エビの頭
生エビの頭を煮出してまずは出しをとります。
スープができたら、豚肉や牡蠣、野菜を入れて煮込み、最後に鯖を入れます。

まずは、出しを取ります。出しは干エビで取りますが、干エビがなければ、生エビの頭を使ってもいいそうです。いつもは捨てるところを使うなんて、まさに「SDGs」ですよね。乾煎りした生エビの頭を煮出してまずは出しをとります。
一旦濾した出し汁に調味料を入れて、ベースのスープを作ります。
スープができたら、豚肉や牡蠣、野菜を入れて煮込み、最後に鯖を入れます。もち麦すいとんやショートパスタは〆に使います。卵でとじてもいいですよね。
味変を楽しみたい場合は、ゆず胡椒を入れるといいでしょう。

でき上った鍋

でき上った鍋を試食しました。おいし~~~~。初めての味わいかも。海や山、そして里の旨みが全部スープに溶け込んで、濃厚な仕上がりになっています。もちろん一つひとつの食材は美味しくないわけがなく、いろいろな野菜のおいしさも実感できます。ゆず胡椒を入れるとピリッと辛くなって、こちらも美味しい。すいとんのやさしい味わいにもほっと和んだりして。ショートパスタの〆って初めてかも。ご飯を入れて雑炊で卵とじも捨てがたいです。いろいろなアレンジも楽しめそうです。

スープの配合割合(4人前)
干エビ(頭ごと)125g
日本酒      1合
醤油      1合
みりん     1合
塩       少々
水       1.5升         

姫路の食文化を世界に発信したい

「今日の食材を一般家庭で全部揃えるのは無理なので、どれか一つでも一回買ってみようかというきっかけづくりになればいいですね」と、会長の小川陽平さん。お店に並んでいる野菜も地元の野菜かどうか確認したり、全国に誇れる食材があることを知ったり、姫路が豊かだということを認知してほしいと話します。
そのためには、一般家庭に地元の食材を積極的に使ってもらえるような仕掛けづくりや情報発信が大切になります。   
さらに、中播磨の食文化を世界に発信し、世界遺産で国宝の姫路城同様、食文化都市として播磨から世界につなげていく取り組みを続けます。

※本記事は2023年10月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

TOPへ