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【淡路】「淡路人形座」新鮮にすら感じる淡路人形浄瑠璃の世界へ!

淡路人形浄瑠璃

南あわじ市で郷土芸能の淡路人形浄瑠璃を日常的に公演している「淡路人形座」。伝統文化を守る本格的な演目はもちろん、子どもにもわかりやすく人形浄瑠璃の世界を教えてくれる「バックステージツアーと戎舞」などが上演されています。
「ミシュラン・グリーンガイド兵庫」で二つ星を獲得するなど、外国人観光客にも人気。人形浄瑠璃を見たことない人に、ぜひ家族で訪れて欲しいスポット「淡路人形座」を紹介しましょう。

淡路人形浄瑠璃とは

淡路の郷土芸能「淡路人形浄瑠璃」

500年の歴史がある淡路の郷土芸能「淡路人形浄瑠璃」。国の重要無形民俗文化財であり、2016年に発表された「ミシュラン・グリーンガイド兵庫」では「寄り道する価値がある」二つ星を獲得しています。守るべき伝統芸能であり、世界に発信できる日本の文化でもあります。

伝統芸能というと難しく感じて、身構えてしまう人もいるでしょう。
趣味が多様化している現代では影が薄くなっていますが、元は庶民の娯楽。神事や祭りの際に催される人形芝居は、前の晩から重箱いっぱいに御馳走を用意して、一日中見るのが何よりの楽しみだったそうです。

最盛期の享保・元文期(1716~41)には、徳島藩(当時の淡路島は徳島藩)が税金や労働を免除していたこともあり、島内に40の人形座と1000人もの人形役者がいました。島外にも巡業に出かけ、全国80カ所くらいに、淡路人形浄瑠璃を起源とする人形芝居が広まっています。

南あわじ市では、小学1年生から中学3年生までの教育カリキュラムに人形浄瑠璃が組み込まれ、小中高の部活動にも人形浄瑠璃があります。老人ホームへの慰問や文化祭、イベントはもちろん、海外公演に出向くこともあるとか。人形だけではなく、語りも三味線もすべて子どもたちでまかなう、完全公演というから驚きです。後継者も育っていて、紹介する淡路人形座は、ほぼ地元で育った経験者で上演されています。

海外から研修に訪れる人も多く、ブロードウェイミュージカル「ライオンキング」や人形劇の「サンダーバード」にも影響を与えているといえば、興味が沸いてきませんか?

淡路人形座に行ってみよう

淡路人形座があるのは、兵庫県の淡路島の南、福良港や福良バスターミナルがあるところ。すぐ近くに、鳴門のうずしおクルーズの発着場所「うずしおドーム なないろ館」や道の駅「福良」、新鮮な淡路のおいしいものがそろった「福良マルシェ」があります。

「淡路人形座」

人形浄瑠璃とは、語り、三味線、人形の3つの芸能が集まったものです。常時人形浄瑠璃を公演しているのは、ここ「淡路人形座」と大阪の「国立文楽劇場(文楽座)」の2カ所だけ。
淡路人形浄瑠璃と文楽(大阪で成立し本拠地とする人形浄瑠璃)の大きな違いは2つあり、1つは人形の大きさ。淡路人形浄瑠璃は、一回り大きな人形で動きがダイナミックです。これは、屋外で上演する「野掛け芝居」をやってきた影響で、見やすいように発展してきました。
もう1つは、文楽が男性のみなのに対して、淡路人形浄瑠璃は昔から太夫(語り)や三味線、人形遣いも男女関係なく演じています。

「戎舞(えびすまい)」

淡路人形座では、45分間の公演を1日に4回、上演しています。
このうち、1回目と4回目は、バックステージツアーが付いた初心者向け(特別上演で演目が変わる場合あり)。演目は淡路島を代表する「戎舞(えびすまい)」を現代語に近いわかりやすい言葉で上演しています。
2回目、3回目は月替わりで演目が変わり、GWなど時期によっては特別公演もあります。姫路の人にはおなじみの「播州皿屋舗 青山館の段」なんて演目が掛かることも。言葉遣いが難しい回には、舞台の上の方に字幕が表示され、わかりやすくなっています。

チケット売り場

チケットは、館内で購入。チケット売り場の上には、大きな金文字の看板「金看板」と座員たちの名前を記した「まねき」が掲げられています。2公演を鑑賞する場合には、割引になるサービスもあります。

自由席

今回は、初めて淡路人形浄瑠璃を体験する人におすすめしたい「バックステージツアーと戎舞」の内容を少し紹介しましょう。
席は自由席。おすすめの席は、真ん中のブロックの3列〜5列目です。

初心者に超おすすめ「バックステージツアーと戎舞」

人形浄瑠璃を一度も見たことがない人が、いきなり本格的な公演を観たとすると、楽しむべきポイントもわからないまま終わってしまうかも知れません。
ですが、この「バックステージツアーと戎舞」では、そんな心配は全くいりません。

淡路人形座の上演中は撮影禁止です
上演中は撮影禁止です

はじめに淡路人形浄瑠璃を楽しむための解説があります。拍手のタイミングから、上演終了時に盛り上がる「おひねり」(小銭を紙に包んで舞台に投げ入れるアレです)の投げ方まで解説。おひねりの紙だけは、ちゃんと用意してあります(小銭は各自の負担です)。

人形浄瑠璃は、1つの人形を人形遣いと呼ぶ3人で操ります。

続いて、人形についての解説。人形浄瑠璃は、1つの人形を人形遣いと呼ぶ3人で操ります。舞台の横、床と呼ばれるところには、語りを担当する太夫と三味線(戎舞では太鼓)がいて、それぞれが協力して、人形に魂を吹き込み生きているかのように動かします。

にらみつける表情をする人形
にらみつける表情をする人形

人形の動きなどの解説が終われば、バックステージへ。備え付けのスリッパに履き替え、舞台裏を見学します。

バックステージで待機中の人形たち
バックステージで待機中の人形たち

普段入れないところだけにワクワクします。実際、客席から見ているだけでは、知り得ないことばかり。舞台はどうなっているのか、背景がどのようにして変わるのか、どんな姿勢で芝居をしているのか、実際に舞台に立ってみることもできます。

背景が次々と変わって最後は千畳敷の大広間になる、目の錯覚を利用した「道具返し(襖(ふすま)からくり)」も見られる
背景が次々と変わって最後は千畳敷の大広間になる、目の錯覚を利用した「道具返し(襖(ふすま)からくり)」も見られる
太夫が語る台本(床本)には、こんな文字(浄瑠璃文字)。何百年と受け継がれている貴重な本だが、大切に扱われているため状態がいい
太夫が語る台本(床本)には、こんな文字(浄瑠璃文字)。何百年と受け継がれている貴重な本だが、大切に扱われているため状態がいい

バックステージツアーの内容は、参加者の人数や年齢層などによって、若干変わることがあります。
バックステージツアーが終わると、いよいよ開演です。

「戎舞」

「戎舞」は、振る舞われたお酒に酔った戎様が、太鼓のリズムに合わせて楽しく舞い、観客を含めたみんなの願いをかなえようと、沖に出て大きな鯛を釣りあげる、めでたいお話。おおらかな心と戎顔で、プラス思考に生きることの幸せが込められています。

淡路人形座の公演様子

杯を重ねるたびに、徐々に酔っていく戎様の姿は、人が操っていること以前に人形であることすら忘れてしまうほど。釣り上げた鯛も生き生きとして、わかりやすくて楽しく、子どもたちも食い入るように見ています。家族旅行スポットとしておすすめする理由です。

淡路人形座のみなさん

上演が終われば、戎様と記念撮影。無料です。持参したカメラやスマホで撮影してくれます。照明も当ててくれるので、写りもキレイ。めでたい戎様に幸運を授けていただき、宝くじが当たったという人もいるとか。撮った写真をスマホの壁紙にしておくと、いいことがある・・・かも知れません。

ミュージアムショップも人気です

淡路人形座には、公演以外にも楽しみがあります。

三神さま(戎神・道薫坊・百太夫)

待合室には、淡路人形浄瑠璃には欠かせない三神さま(戎神・道薫坊・百太夫)が祭られています。とてもご利益のあるパワースポットです。

淡路人形座の資料展示コーナー

観客席の後ろには、資料展示コーナー。淡路人形浄瑠璃の歴史や、太夫・三味線・人形についての解説があります。必見は、人形の頭(かしら)の中の解説。目の動きなど複雑な操作を行う部分だけに、見てもわからないくらい複雑で驚きます。

部材は全て昔ながらのものが使われている
部材は全て昔ながらのものが使われている

ミュージアムショップもあります。
人気は、オリジナルTシャツや手拭い。公演を見る前にはなんとも思わなくても、公演後に見ると欲しくなってしまうから驚きです。外国人観光客に人気なのもわかります。

淡路人形座のオリジナルグッズ

淡路人形座へのアクセス方法

淡路人形座は、淡路島の南端・福良港や福良バスターミナルのすぐ隣にあります。
車で行く場合は、神戸淡路鳴門自動車道「西淡三原IC」を降り、県道31号から国道28号を福良港へと向かいます。神戸三宮からの予想時間は約80分。周辺に無料駐車場があります。

バスならば、神姫バスの神戸三宮バスターミナルや高速舞子バス停から「福良(南あわじ)線」に乗れば、約90分(高速舞子からは60分)で到着。車内には、コンセントや無料Wi-Fiがあり、神戸からのバス旅にピッタリです。
バスの本数は、30分〜1時間おきに運行。バス料金は片道2,440円。往復なら4,390円。家族連れやグループで出かける場合は、車の方が経済的ですが、一人旅ならバスを利用する方が、お得に楽しめます。

人形浄瑠璃と聞いて、年配の人が楽しむ印象を持っているなら、それは間違いです。アナログな伝統文化の世界ですが、とても新鮮で温かみのある淡路人形浄瑠璃の世界。あらゆる世代におすすめのお出かけスポットです。

(ライター  塚本隆司)

※本記事は2023年5月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

淡路人形座

住所兵庫県南あわじ市福良甲1528-1
電話番号0799-52-0260
営業時間9時〜17時
定休日毎週水曜日(休日の場合は翌日)、年末休館、臨時休館、
メンテナンス休館あり
料金高校生以上1,800円、中学生1,300円、小学生1,000円、3歳以上300円
アクセス車 神戸三宮から約80分
バス 神戸三宮バスターミナル(高速舞子バス停経由)〜 
福良バスターミナルまで、から徒歩2分
駐車場あり(無料)
公式サイトhttps://awajiningyoza.com/ja/top
SNSFacebook  https://www.facebook.com/awajiningyo
Instagram https://www.instagram.com/awaji_ningyoza/
YouTube  https://www.youtube.com/@user-jo5dk9jo8r

ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)

姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。

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