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山あり海あり川あり歴史あり 人情味も豊かな町、赤穂へ

かつては、塩の町、忠臣蔵の故郷として名を馳せた赤穂。今は、坂越が北前船の寄港地として日本遺産に指定され、御崎は恋人の聖地としてクローズアップ。若い世代からも人気の観光スポットになっています。自然豊かで歴史遺産も豊富な赤穂は、それだけにとどまらない魅力が満載の町なのです。

風情ある坂越の町は歴史的な魅力もたっぷり

坂越石畳

 風情ある白壁の酒蔵が美しい、石畳の道が続く港町、坂越。古民家を活用したカフェや雑貨屋、スイーツショップなどが点在し、赤穂の人気スポットです。
 その歴史は、忠臣蔵で有名な赤穂の町より、はるか昔にさかのぼります。7世紀半ば、都から蘇我入鹿の難を逃れてきた、聖徳太子のブレーンである秦河勝(はたのかわかつ)が漂着し、この地に没して生島に埋葬され、大避(おおさけ)神社にご祭神として祀られています。また坂越は、17世紀後半から廻船業で発達した町。2018年には、北前船寄港地・船主集落として日本遺産に追加登録されました。

坂越

 まずは、坂越の町を知るために「坂越まち並み館」に行きましょう。こちらは旧奥藤銀行を修景整備した施設で、坂越にゆかりの展示品や奥藤銀行時代の金庫も見学できます。観光案内所でもあるので、散策用のパンフレット類もここでゲットしましょう。

奥藤酒造郷土館

奥藤酒造郷土館へ。奥藤酒造は、1601年(慶長年間)から約400年続く赤穂市唯一の造り酒屋。300年以上前に建てられた酒蔵が残り、今もそこで酒を醸しています。その一角にある郷土館では、大庄屋や船主庄屋も務めた名門・奥藤家に残る昔の酒造道具、廻船業・漁業関係の資料、民具などを自由に見学することができます。

旧坂越浦会所

 旧坂越浦会所は、赤穂藩主も来浦の際には休憩所として使用した施設です。私のおすすめは藩主専用の2階「御成之間」。そこから望む景色の美しさが格別なのはもちろん、こぢんまりとして、不思議と落ち着く空間なのです。

生島

 坂越のシンボル、生島が間近に見える美しい海岸「坂越ふるさと海岸」までもすぐ。寄港した北前船の廻船が風よけとして生島を利用したそうです。

大避神社1
大避神社2

 大避神社は、この地で没した秦河勝公の御霊が神仙化し、村人が朝廷に願い出て、祠を築き祀ったのが創建と伝わっています。拝殿両脇の絵馬堂に並ぶ大小の絵馬は必見です。その昔、坂越が廻船業で繁栄していたことを示す船絵馬は、日本で最も古い時代のものも残っているんですよ。この神社では「12の数のミステリー」にも注目。拝殿へ向う階段が12段ある、境内の井戸が12本の石柱で作られている、神社への初穂料はその昔12銅で今も12の倍数が納められている、拝殿の天井絵が12×8枚あるなど、12の数にまつわる話が多く、河勝公が12人の供人を伴っていたことからと伝えられています。

坂越の船祭

 毎年10月第2土・日曜に開催される国の重要無形民俗文化財の「坂越の船祭」は、瀬戸内三大船渡御祭の一つにも数えられています。地元のガイドツアーに参加すれば、坂越の歴史をもっと詳しく知ることができるので、こちらもおすすめです。

海と空がきらきら輝く赤穂御崎を散策

伊和都比売(いわつひめ)神社

 境内から見る海と空の風景が美しいと評判の伊和都比売(いわつひめ)神社。その周辺も含め、赤穂御崎は「日本の夕陽百選」や「恋人の聖地」として、人気の観光スポットとなっています。
 伊和都比売神社は、平安初期の神名帳に記載される古社で、ご祭神は伊和都比売大神という女性の神様。かつては、日本海軍の勇将・東郷平八郎元帥をはじめ、海軍の勇士がしばしば参拝していたそうで、航海安全や大漁祈願はもちろん、勝ち運や縁結びのご利益もある神様なのです。まずは、こちらの神様にお参りをしてから散策しましょう。

きらきら坂

 晴れの日には、そこから見える海と空が美しく輝くことから名づけられた「きらきら坂」。坂から眺める風景も見事です。坂の両側には話題のお店がズラリ。雰囲気抜群で、季節ごとのスイーツメニューが人気のカフェ「海と坂と」や女性作家の感性が光るガラス工房「御崎ガラス舎」、全国区のイタリアンレストラン「SAKURAGUMI」に手づくりジェラート専門店「Scio’scio’(ショーショー)」と、人気店のオンパレードです。境内の一角には、塩のメーカー・赤穂化成の直営店「AMAMI TERRACE」があり、飲食はもちろん、体験やお土産購入もできます。

畳岩

 きらきら坂を遊歩道まで下り、さらに階段を下りたところにある「畳岩」。こちら、潮が引けば歩いて渡れる、小豆島の人気スポット「エンジェルロード」の様です。

タイル階段

 海を背にして階段を上がりましょう。素敵なタイルが貼られた階段は、外国の街の一角のようで大人気。何カ所かあるハート型のタイルを探すのも忘れないで。

大石名残の松

 「SAKURAGUMI」の斜め前には、赤穂城を明け渡した大石内蔵助が、京都山科へ旅立った場所に残る「大石名残の松」があります。

そこから始まる遊歩道を心地よい潮風と海や島影の景色を楽しみながらのんびり歩くのもよし、赤穂御崎温泉の日帰り入浴で海を眺めながらまったりするのもよし、美しい夕陽を見るのもよし。どんな過ごし方をするかは自分次第なのです。

絶景BBQなら「赤穂市立野外活動センター」におまかせ

 瀬戸内海を望む絶好のロケーションでアウトドアを楽しめる施設「赤穂市立野外活動センター」。赤穂御崎の大塚海岸へ向かう坂の途中にあり、広々とした芝生のキャンプサイトは開放的で、展望台にあるブースではBBQを楽しむことができます。

bbq1
bbq2

 BBQ(要予約)は、食材の持ち込み、現地手配いずれもOKで、食材も道具も用意してくれるプランなら、手ぶらで来て絶景を楽しみながらBBQできるので、超お手軽。アウトドアデビューにも最適かもしれませんね。

ドームテント1
ドームテント2

 2021年春にデビューしたドームテントも好評です。北棟、南棟と2棟あり冷暖房完備で、定員は大人3人(大人2人子ども2人)(1棟1泊8,000円~)。カーテンを開ければ青い空と蒼い海を望む景色が魅力で、夜は満天の星空を楽しむことができます。

dogrun

 約200㎡の広さのドッグランは、宿泊者はもちろん、日帰り利用者も使用料無料なので、気軽に利用できるのはうれしいですね。

赤穂市立野外活動センター
住所    赤穂市御崎708-1
電話番号  0791-45-1067
営業時間  日帰り9:00~21:00、チェックイン15:00、チェックアウト14:00(ドームは12:00)
HP    http://www.ako-yagai.jp/

名物「伝馬焼き」は必食!網元直営店で牡蠣を楽しもう

 石畳の道「坂越大道(さこしだいどう)」沿いで、奥藤酒造のすぐ前にある「伝馬船(てんません)」は、坂越牡蠣やその加工品、厳選の赤穂土産を販売しています。坂越牡蠣の生産業者・大河水産の直営店として、朝に水揚げしたばかりの新鮮なカキを使った牡蠣料理のメニューも提供しています。

伝馬船(てんません)
名物「伝馬焼き」(500円)

 名物「伝馬焼き」(500円)は、プレス機で焼いた「イカ焼き」ならぬ「牡蠣焼き」といった感じ。大粒の牡蠣をふんだんに使っていて、牡蠣の存在感が半端なし。もっちりした生地と牡蠣のバランスが絶妙で、タレは、ソース、塩ぽん酢、かき醤油から選べます。
 その他、牡蠣の旨みが出汁に溶け出した「牡蠣入りみそ汁」(200円)や坂越牡蠣のおいしさがダイレクトに伝わる、レンジパックの「蒸し牡蠣(5~6個)」(600円)もおすすめ。

牡蠣うどん

 土日祝限定メニューとして「牡蠣うどん」(500円)もあります。さっとボイルした牡蠣をトッピングした贅沢うどんです。牡蠣が苦手な人向けには、釜揚げしらすをのせた「しらすうどん」も用意しています。こちら、夏には冷たいぶっかけバージョンとして提供するそうですよ。
 店主の永石一彦さんは、坂越生まれの坂越育ち。坂越について、赤穂について、熱く語ってくれます。「年間を通して坂越牡蠣をPRし、坂越を中心に、赤穂のいいところをお伝えしたいですね。赤穂観光のリピーターになってほしい。他の店とも連携して坂越を盛り上げたいですね」。北前船の寄港地の一つである坂越で、港と船を行き来して人や物を運ぶ「伝馬船」のような存在に、また「坂越の船祭り」に欠かせない「櫂伝馬」のようにとの想いで付けた店名にも坂越愛がたっぷり。

赤穂土産

 店内には、赤穂の塩や海苔など、店主が一つひとつこだわってセレクトした“間違いない”赤穂土産も置いていますので、こちらもぜひご利用ください。

伝馬船(てんません)
住所    赤穂市坂越2175
電話番号  0791-56-6628
営業時間  10:00~16:00(シーズン中の牡蠣販売は~15:00)
定休日   火・水曜
HP    https://www.instagram.com/tenmasen_oyster/

漁業体験や漁船遊覧も楽しめる

海の駅しおさい市場
土産物

 目の前の海で獲れる新鮮な魚介が自慢の「海の駅しおさい市場」。坂越牡蠣を思う存分食べられる「牡蠣食べ放題」などのBBQを楽しめる小屋を併設しており、シーズンには多くの観光客でにぎわいます。テナントの「くいどうらく」でも、牡蠣料理はもちろん、年間を通して新鮮な魚介料理を楽しめます。「おうみや」では、魚介の干物や漬物など、自家製のの土産物もなども種類豊富に並びます。

親子
子供3人
魚介類唐揚げ

 「しおさい市場」では、牡蠣以外の時期には、漁業体験を楽しむことができます。一定の場所に仕掛けて魚を獲る「定置網」や、海底に籠を設置して漁獲する「籠漁」などをして、調理できる魚が獲れたら、新鮮なまま唐揚げにしたり、わっぱ汁(魚のみそ汁)にしたりと、豪快な漁師料理が食べられることも。

牡蛎棚

 また時期が合えば坂越湾遊覧も可能です。通常見られない牡蠣棚を見ることができたり、回遊するスナメリやエイの姿を発見することができたり。海上のカモメやウミウに会うことができるかもしれませんね。

上田水産代表 上田武司氏

 しおさい市場は上田水産が直営しています。代表の上田武司さんは、生まれも育ちも坂越。漁師としては祖父の代から、牡蠣の養殖業者としては父の代からで二代目。「漁師ではなく実はSE希望で、その関連の大学で学びました。親父に説得されて、坂越に帰ってきたんです」と話しますが、2台から始めた牡蠣の養殖筏も、今では12台を持つ業者になりました。  上田さん曰く「坂越かきは栄養豊富な一年牡蠣で、癖がなくて万人ウケする牡蠣」。牡蠣フライに醤油をつけて食べるのが一番好きだそうです。坂越かきが無名な頃は年間100人ほどしか観光客が来なかったそうで、牡蠣とたっぷりの野菜、牛乳と酒粕が入ったみそ仕立ての名物鍋「おっぱい鍋」がテレビで取り上げられてからは、テレビのロケがひっきりなしになりました。坂越かきは実際に食べても美味しいので、リピーターも増えました。上田さんは「テレビに出たら観光客が増えるということは、それだけ認知されていないということ。西播磨の海沿いに牡蠣の美味しいところがあるというのは知られているけど、室津や相生と一緒のように思われていて、ピンポイントで坂越ではない。まだまだですね。もっと認知度を上げたい」と話します。
 また2019年からは、カキを餌に混ぜてして育てた「オイスターサーモン」を養殖しています。カキのおいしさと栄養素をサーモンがそのまま受け継ぎ、良質の脂と甘い身、もちもちした食感が特長です。出荷時期はカキが終わる3月下旬からなくなるまで。「春先からの赤穂の名物として定着させたいですね」と上田さん。

海の駅しおさい市場
住所    赤穂市坂越290-7
電話番号  0791-46-8600
営業時間  10:00~16:00 定休日:火・水曜(11~4月はなし)

坂越は海だけじゃない!茶臼山・宝珠山でトレッキング

茶臼山・宝珠山 看板

 坂越といえば海と思われがちですが、実は山も楽しんですよ。
 茶臼山と、尾根づたいにつながる宝珠山は、トレッキングコースとして最適。看板にもいろいろなコースが提示されていますが、初心者は、「森林浴・神社・寺院・旧跡探訪コース」か「茶臼山パノラマコース」がおすすめです。

山と海
石仏

 坂越のまち並みを創る会・会長の寺井秀光さんのガイドによる、初心者向けのトレッキングコースを紹介しましょう。大避神社の脇道から金襴橋を通って車道に出ます。道路沿いに上り、まずは妙見寺観音堂に行きます。妙見寺は『太平記』に登場する児島高徳ゆかりの寺で、山内には高徳の墓が残っています。車道ではなく高徳のお墓の方から観音堂に上がる道もあります。観音堂から見る生島の風景は本当に見事。寺井さんは幼少時から坂越で一番この風景が好きだったそうです。わかる気がする~。さらに道路沿いに上り妙見寺奥の院へ。こちらの池には、空海の師匠が石仏を埋めたという伝説が残っているとか。そんなことが聞けるのもガイドさんと行く醍醐味ですよね。奥の院からさらに上がるとバーンと視界が広がります。このあたりは、「さこし船岡を良くする会」の人たちが放置林を整備し見晴らしをよくしたエリアで、地域の子どもたちとロータリークラブが連携して、ツツジの育成とサクラの植樹も行っています。道の途中には、石仏も祀られています。

坂越のまち並みを創る会・会長の寺井秀光さん
パノラマビュー

 パノラマビューを楽しみながら山頂へ。「茶臼山城跡」に到着。さっきの観音堂からより、一段と生島を上から見る感じ。絶景かな絶景かな。これを見るためだけに上がってきてもいいのでは、と思わせます。千種川の蛇行も美しく南側の景色も捨てがたい感じ。
 尾根づたいに宝珠山まで行くこともできるので、健脚者はこのコースにもチャレンジしてみては。  寺井さんは、坂越・北野町の自治会長で、坂越連合自治会の副会長。まさに坂越の要人です。「海あり山あり川あり深い歴史あり。豊かな自然があって人が温かい」。坂越の魅力をこう語ります。「町を維持するのは人間。人を作って町を作るのが大切。坂越の人は、人と話すのが好きな人が多い、だから、イベントをしていろんな人に来てもらって交流して町を元気にしたい」とも。今後は、日本遺産である北前船の寄港地つながりで、認定地の一つである高砂市や備前市との交流も予定しているそうです。

カヤックで神秘の坂越湾を周遊しよう

 坂越では、さまざまなアクティビティが楽しめますが、他にはない体験が坂越湾カヤック体験です。この体験の醍醐味は、生島の自然やそれを含めた坂越の歴史をカヤックで体感できること。天然記念物に指定され、自然遺産としての生島の素晴らしさを満喫することができます。
 約90分の体験は、坂越ふるさと海岸からスタート。準備体操はもちろん、カヤックの性能や漕ぎ方のレクチャーなど、安全面での講習をしてから、いざ海へ。

カヤック講習
カヤック1
カヤック2
カヤック3
カヤック5

安定感のある2人乗りカヤックで漕ぎ出します。生島のおかげで、坂越湾は風よけ、波よけの絶好のカヤックスポット。初心者でもスムーズに楽しむことができます。
 生島は禁足地なので上陸はできませんが、木がせり出している下をカヤックでくぐったり、海藻がたくさん水面に浮かんだ中を通り過ぎたり、岩と岩の間を抜けていったりと、カヤックならではの体験ができます。大避神社御旅所や、秦河勝公のお墓の入り口もカヤックから見ることができます。
 ツアーを運営するのは、経験豊富な地元スタッフ「NPO法人赤穂里うみカヤックス」のメンバー。代表の山口晴康さんは「生島は昔から守られてきた場所で神域。神秘的な雰囲気のパワースポットを海から感じてもらえます」とその魅力を語ります。今後は「SUPヨガ」なども予定しているそうです。

※本記事は2023年2月時点の情報です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

NPO法人赤穂里うみカヤックス

URL   https://www.ako-kayaks.org

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