『Brillante（ブリランテ）』は、1999年に前川牧場の直営店としてオープンしました。現在の店主、前川重裕さんの父である重康さんが自社の生乳を使っておいしい加工品が作れたらと開業しました。店名の「Brillante」は「輝く」とか「すばらしい」意のイタリア語。その名に恥じない商品を作り続けています。
店は、加東市の名刹・西国三十三所の霊場でもある播州清水寺の参道登山口から500mほどの県道311号沿い。参拝のあとに立ち寄るお客さんも多いそうです。

スタイリッシュな外観とは少しイメージが異なり、お店の中は木の香りが漂い、ログハウスのような造り。置かれた調度品もおしゃれで、長居をしたくなるような雰囲気です。

花屋を営んでいた奥さまが手がけた店内は、小物使いがとってもおしゃれ。行列を待つ間も、飾られた装飾品が気になって目移りしてしまいます。

女子率100％の日もあれば、ゴルフ帰りの男子が多い平日や老人会になる日もあるそう。この店のジェラートをかけてラウンドを回り、成績がよかった人が他のメンバーにご馳走する常連さんもいるとか。オーストラリアから来て「こんなおいしいジェラート初めて食べた」といわれたり、毎回関所のように「寄らずには帰れない」と立ち寄ってくれたり、老若男女に愛されるお店であることは間違いありません。

季節メニューも含めると100種類以上のレパートリーがあるそうですが、常時用意するフレーバーは10種類ほど。一番人気はもちろん「ミルク」。牧場直営店の自信作です。次に人気はピスタチオです。

年間を通してあるのは、ミルク、ピスタチオ、宇治抹茶、ラムレーズン、チョコチップで、あとは季節によって入れ替わります。

人気のツートップ「ミルク」と「ピスタチオ」をダブルでいただきました。ミルク感がしっかり伝わり、さっぱりとした甘みが特長です。ピスタチオもおいしい。ピスタチオの風味とミルクとのバランスが絶妙で、この組み合わせ、ゴールデンです。

こちらは、季節商品で人気ナンバーワンのイチゴとミルクのダブルです。ミルクは飽きないおいしさ。しっかりとしたミルク感なのに、くどくないと申しましょうか。

ほかの人気のフレーバーを紹介しましょう。
「ラムレーズン」です。ミルクベースにラムの香りがたまらないフレーバーです。

「ベルギー産チョコレート」です。溶解が速いので、もともと冬のみの販売だったのでファンの熱いリクエストにより、夏にも登場しています。かなり濃厚です。

定番化の要望が高い、大ヒット中の「おとなの白くま」です。レーズンはもちろん、アプリコット、パイン、オレンジピール、ドライアップル、チェリーなどドライフルーツがたっぷり入って、練乳感が高い感じ。“おとなの”と付く所以がわかる贅沢なフレーバーです。

そのほか、旬の野菜や果物を使った季節商品も豊富です。例えば、加東市の桃を使った「桃」、近隣の農家による「ぶどう」、稲美町のメロンを使った「メロン」はどれも夏の定番。はちみつ梅干を使って作る「梅」は、酸味があってチーズっぽい味わい。店主の前川さんが納得できなければ廃棄するという幻のフレーバーです。そのほか、トマトソルベやスイカソルベなども登場します。

「何でこんなにおいしいの？」その秘密は、ブラウンスイス種という茶色の牛の生乳が一番の要因。「ブラウンスイス種の生乳の香りが練乳ぽいんです。ブラウンスイス種の生乳を多めに使い、フレーバーによってホルスタイン種との比率を変えています」。
おいしい生乳のためには、牛の食事や生活の状態にも気を配ります。放牧してストレスフリーにし、配合飼料は削っていきます。例えば、消化の遅い発酵させた飼料米と消化が速いオーツ麦の茎やアルファーファなどを混ぜた飼料にすることで、幸福な反芻（はんすう）を繰り返し、牛の幸せ度数があがるそう。
もちろん、ミルクの旨みがストレートに伝わるように化学添加物や保存料などはできるだけ使わないようにしています。そんなことの繰り返しが、老若男女に愛されるジェラートを生んでいるのです。

そんな重裕さんは、店の休みを利用してさまざまな講習会に参加し、今後の展開をいろいろと模索中です。
まずは、牛の種類をブラウンスイス種に絞り込むこと。また牧場の空いているところに果樹園を作るなどして、原料の80％を自社で調達すること。自社でチーズを作って究極のチーズケーキを作ること。自社のチーズと自家菜園で作ったトマトとズッキーニなどを使って、ピザ、パニーニ、ホットサンドなどを商品化すること。間違いない原材料と崇高な向学心で、ますますおいしい商品を作って輝き続ける「Brillante」から今後も目が離せません。

（ライター 歌見）