fbpx

記事・読み物

願いが叶うパワースポットだけじゃない!「山手八番館」

「山手八番館」

「サターンの椅子」に座れば願いが叶う。神戸北野の異人館街にある「山手八番館」はテレビでもとりあげられる有名スポットです。異国情緒あふれる観光地としての紹介だけではなく、願いが叶うパワースポットとして知られ、遠方からも多くの人が訪れ、行列ができることもある人気の施設です。
ただし、それだけじゃないのが「山手八番館」。建物や美術品など見どころがいっぱいあります。

特徴的なチューダー風の館「山手八番館」

異人館うろこグループが運営する「山手八番館」

神戸の異人館街でも最も高台の場所に、異人館うろこグループが運営する「山手八番館」があります。結構な坂道を登ることになるので、はじめに申し上げておきますが、隣り合う北野外国人倶楽部、坂の上の異人館とともに、基本は土日祝祭日のみの営業です。詳しくは、異人館うろこグループ公式サイトで確認のうえ、お間違えの無いように。

山手八番館(旧サンセン邸)

山手八番館(旧サンセン邸)は、明治時代後期に建てられました。
港が見渡せる南に向かってオーバーハングと呼ばれる張り出した窓が連なり、柱や梁、筋交いなど木の骨組みを外側にむき出しにして間を漆喰やレンガで埋めたハーフティンバー建築様式を採用。1階部分はレンガ造りとし、玄関まわりはアーチ状に石を積み重ねた重厚な造りの館です。

入口の仁王像が不釣り合いのようにも感じますが、館内の展示を見て帰る頃には違和感は無くなるはずです。

ドアをくぐり振りかえると、美しいステンドグラス。もっと近くで眺めたくなる細やかで繊細な絵が描かれています。

美しいステンドグラス

願いを叶えてくれるサターンの椅子

館内に入ってすぐ左の部屋に、山手八番館に訪れるおよそ7割の人が目的とする部屋があります。そう、願いが叶うと伝わる「サターンの椅子」がある部屋です。
テレビ番組でパワースポットとして紹介された翌日から多くの人が訪れ、多い時で1日2000人が並ぶことがあった「サターンの椅子」。現在は、そこまでの混雑はなく、午後に数人が並ぶ程度ですが、わざわざ遠方から救いを求めて訪ねる人も多くいます。午前中は比較的空いているので狙い目です。

「山手八番館」

さて、気になる「サターンの椅子」とはどういうものなのでしょうか。
サターンとはローマ神話の五穀豊穣の神・サートゥルヌスのこと。ギリシャ神話のクロノスと同一視されています。この椅子が作られたのは19世紀頃といわれ、元はイタリアの教会にあったそうです。サターンの彫刻が施されていることから、豊穣をもたらす神の名に因み「願い事が実り叶う椅子」と伝えられています。
この不思議な一組の椅子が、いつからかここにあるのか定かではありません。ただ、願いを叶える椅子だということのみ伝わってきました。

向かって左が男性用、右が女性用です。願いを告げる作法などは特にありません。あえて言えば、自分に正直に、願いが届くと信じて強く願うことでしょうか。いろいろ願いたいことがある人も、混雑時などは譲り合いの精神を心掛けましょう。「写真を撮って待ち受けにするといい」ともいわれています。

「ホントに願いが叶うの?」と誰しも思うところですが、話せる範囲では、足の悩みを抱えていた人が歩けるようになった話や、人生のパートナーを見つけたかった人が同じ時間に並んでいた人と結ばれた話など、お礼に訪れる人がたくさんおられるとか。言えないスゴイ話もありそうです。

椅子の装飾

混雑時は難しいですが、芸術品として鑑賞するのもおすすめ。巧みな彫刻に驚かされます。2つの椅子の装飾を見比べると、肘当て下の子どもらしき彫刻がわずかに異なります。

写真提供:異人館うろこグループ
写真提供:異人館うろこグループ

お土産には「サターンの椅子のミニチュアチャーム」です。人気商品なので売り切れの場合があります。公式ネットショップでも購入できるので、欲しい方は公式SNSなどで販売情報をチェックしましょう。

見逃してはいけない!山手八番館の魅力

多くの人が「サターンの椅子」目当てで訪れる山手八番館ですが、他にも見どころが満載です。
サターンの椅子が置かれている部屋には、晩年のルノアールによるブロンズ像が展示されています。

ロダンやブールデル、ベルナールといった彫刻

彫刻に関しては館内にいくつも飾られています。しかも、ロダンやブールデル、ベルナールといった彫刻の三大巨匠らの傑作ぞろい。一部を除きガラスケースに収めるのではなく、近い距離で感じられるように展示してあります。
ほかにも、レンブラントやデューラーらの版画や絵画の展示が多くあります。

ィリアム・ホガースの世相を反映した連作画『娼婦一代記』

奥の部屋には「観るよりも読め」といわれたウィリアム・ホガースの世相を反映した連作画『娼婦一代記』が掛けられています。

2階にも祈りたくなる展示が多数

「ガンダーラの仏像と浮彫」

2階の展示もインパクトがあって驚きます。
「ガンダーラの仏像と浮彫」と題された部屋には、仏教の源流といわれるガンダーラやタイの古い仏像が並んでいます。正面にある仏陀坐像の存在感。イケメンすぎる端整な顔立ちには驚かされます。

仁王像

他にも、いくつも貴重な仏像や仏頭があり、それぞれ異なる顔立ちや表情をしています。仁王像の形相も加わり、じっくり見れば見るほど面白い展示になっています。

住人の生活を垣間見るような展示

また、住人の生活を垣間見るような展示もあります。高いところに建つ異人館は、比較的新しい時代に作られたもので、商いで成功を収めた商人らが開拓しました。そのため、内装を含め豪華な作りになっています。

今は港への景色を遮る建物がありますが、サンセン氏が住んでいた頃は、港までまっすぐ見えたはずです。高台に屋敷を構えたのには、居留地が限られていたという理由もありますが、自分の荷を積んだ船が着いたのかを確認する意味もあり、そこには望郷の念もあったことでしょう。

ピカソも影響を受けたマコンデ族の彫刻

1階、サターンの椅子がある部屋の向かいにも展示があり、東アフリカのマコンデ族の彫刻が部屋いっぱいに並べられています。

東アフリカのマコンデ族の彫刻

伝説では、マコンデの最初の男が黒檀の木で人形を作ると朝日を浴びて命が吹き込まれマコンデの最初の女になったとされていることから、黒檀の木は力と聖なる意味を持っています。
黒檀はとても硬く容易に彫刻ができないものの、300年以上前から独自の技術を発展させ、儀式や祭事用に作られてきました。今でも民芸品として作られています。

マコンデ彫刻

よく見ると、とても独特で奇妙な姿をしています。まるでピカソの『ゲルニカ』のような雰囲気がないでしょうか。ピカソはマコンデ彫刻に影響を受け、独自のピカソ芸術を生みだすことになるのです。

シティーループバスで山手八番館へ行こう!

願いが叶うサターンの椅子が有名な山手八番館ですが、ガンダーラやタイの仏像、マコンデ族の祈りがこもった彫刻、著名な芸術家の作品など、一見バラバラのように見えるものが、ここに訪れてみると、落ち着いた統一感のある内装と歴史がある家具や調度品によって 違和感なく共存しています。
きっと悩みを抱えて訪れた人も帰る頃には心が軽くなったような気になれるのではないでしょうか。

山手八番館へは、車で直接行くことはできません。専用駐車場も無く、近隣のコインパーキングを利用することになりますが、道幅が狭いのと観光客も多いのでご注意ください。
おすすめは、公共交通機関のシティーループバスが便利です(シティーループについては、神姫バス公式サイトを参照ください)。

神姫バスCITYLOOP


「北野異人館」バス停で下車し、徒歩1分のところに異人館うろこグループのビジターセンターがあります。周辺観光ガイドマップの配布や案内所、入館チケットの販売をおこなっています。
入館チケットには、北野7館周遊パスや山の手4館パスなどのお得なセット券も販売されています。チケット購入は、チケットプラザや各館でも販売しています。

山手八番館へは、ビジターセンターから徒歩約7分。ずっと上り坂ばかりですが、その苦労に見合う体験ができるスポットです。

(ライター 塚本隆司)

※本記事は2023年6月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

山手八番館

住所神戸市中央区北野町2丁目20-7
電話番号0120-888-581
営業時間10時〜18時 (季節変動があるため公式サイトでご確認ください)
定休日平日(土日祝のみ営業、季節変動があるため公式サイトでご確認ください)
料金単館券 大人(中学生以上)550円、小学生100円,、幼児無料
北野7館周遊パス 大人(中学生以上)3,000円、小学生800円、幼児無料
山の手4館パス 大人(中学生以上)2,100円、小学生500円、幼児無料
アクセス・異人館うろこグループビジターセンターまで
JR三ノ宮駅(西口)・阪急神戸線「三宮」駅東口・阪神本線「神戸三宮」駅
東出口5番から徒歩約15分
シティーループ「北野異人館」下車徒歩約1分
・ビジターセンターから山手八番館
徒歩約7分
駐車場なし
公式サイトhttps://kobe-ijinkan.net
SNSFacebook  https://www.facebook.com/kobe.urokogroup
Instagram  https://www.instagram.com/ijinkan_urokogroup/
Twitter  https://twitter.com/uroko_group

ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)

姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。

TOPへ