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涼感誘う緑のインテリア、「つりしのぶ」で夏を楽しもう
梅雨の季節がやってきましたね。
じめじめ蒸し暑い気候の今、おすすめしたいのは涼やかな雰囲気漂う「苔玉しのぶ」。
6月末より「苔玉しのぶ」の販売を開始しました。
「苔玉しのぶ」を作っているのは兵庫県宝塚市の「つりしのぶ園」。今回、園主である市原誠さんに「つりしのぶ」の魅力について伺いました!
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つりしのぶとは?
シノブを束ねて井桁や玉などに作り、軒下につるして涼味を楽しむものであり、江戸時代深川周辺の植木屋さんによって作られた伝統工芸植物品です。
疫病・病魔を払う風鈴をつけたものもあります。
俳人 小林一茶は「水かけて夜にしたりけりつりしのぶ」と読み、歌川広重は「音曲町繁花の商人」の絵に様々な形をした「つりしのぶ」を描くなど、古くから愛され、その風情あふれる美しさは 夏の風物詩となっています。
この「つりしのぶ」の「シノブ」は岩壁や古木等に生え、根や茎に黒茶色の毛が生えるシダ植物であり、寒さに強く氷点下10度でも生息しているそうです。(!)
水切れにも強い特徴があり、1~2か月雨が降らなくても生息していく、といった名前の通りどんな環境でも「耐え忍ぶ」植物であると思っていましたが、唯一の弱点は「日光」。
1年中、特に暑い夏の日に長時間直射日光が当たると衰弱して枯れたりします。
全国で2か所!つりしのぶを専門に作る農園「つりしのぶ園」
兵庫県宝塚市にある「つりしのぶ園」。
現在、つりしのぶを専門に作っている農園はつりしのぶ園と、東京にある農園の2か所であるとのこと。
宝塚北部の豊かな自然に恵まれたつりしのぶ園では、冬季には氷点下になる厳しい環境の中で、何年もかけてしのぶ苗を育て上げ、しのぶ玉を丁寧に手作りされています。
ハウスには直射日光が当たらないように念入りに日差しよけのカバーがかけられ、驚くほどの数のしのぶ玉が並んでいました。圧倒的な光景に驚きます。
園主の市原誠さんは、20代の頃に友人が育てていたつりしのぶに出会い、魅了されたことがきっかけで50数年に渡って、つりしのぶの成長に尽力されているのです。
しのぶ玉作りにトライ!体験記
今回はLocal Prime編集部・バイヤーが市原さんを訪ね、つりしのぶ作りにチャレンジしてきました。
作ったのは、日本産(落葉)つりしのぶ玉です!
用意された材料はこちら↓
材料をパッと見ただけでは想像がつかず、アワアワする編集部に落ち着いて丁寧に教えてくださいました。
まず、玉の形にするために、鉢にネットを張ってその上から肥料をかぶせ、半分くらい入れたあとに白い球を入れます。
そこからさらに肥料を盛り、手でぎゅっぎゅっと押し込んでいきます。
球がかぶさるまで土を重ねたら、横に広がっているネットを吊り上げます。ネットは上部できつく結んで完了。
その後、しのぶを円状に巻いていく作業に移ります。
これが結構難しく、やわらかく巻いていくとしっかり成形されないので、U字のピックを使いながらきつめに巻きつけます。
市原さんの手仕事はとてもスムーズで美しく、ずっと見ていられます。
自分がいざ作るとなるとしどろもどろ…何万個も作られている熟練の職人さんの手の動きに感動しました。
バイヤー「形はこんな感じでよいでしょうか。」
市原さん「そうやね。いい感じに丸になったね」
民芸調に魅せ、しのぶを根付かせるのに役立つ棕櫚(しゅろ)縄を上から押さえながらきつく縛ります。
ピックを差し込み、栄養剤を埋め込みます。
ぐるっと回して吊れる状態にしたのち、ピックをはずしたら完成です!
しのぶ玉作りを体験して思ったこと
土をネットに入れて玉型に整える、しのぶを巻き付ける、棕櫚縄を巻くという簡単そうに聞こえる作業もそれぞれが意外と大変で、難しすぎることもなく簡単すぎることもなく本当に楽しい体験でした。
形を整える作業はなんとなく雪だるまの玉を作るのが難しいのに少し似ています(でも土の方がまだ簡単!)。
「このゴツゴツしたところ(こぶっぽいところ)から芽が出るんですよ」
「しのぶは暗い方へ根を伸ばしていくので上の方に巻き付ける方が良いよ」
という市原さんとの会話も楽しみながら1時間30分程度で完成。
吊り下げ用のスタンドも購入し自宅の窓辺に「つりしのぶ」がいます。
納得がいかず2回巻きなおした棕櫚縄と埋め込まれたセッコクランが家族にも大好評でした!これからの成長が楽しみです。
Local Primeでは今回体験した日本産ではなく、年中お楽しみいただける「常緑種のつりしのぶ」を販売中です。
形は玉型の他にも三日月型、満月型を南部鉄器の風鈴付きでご用意していますのでぜひご覧ください。
おうちで楽しむ、つりしのぶ生活
今回の体験でつくった「日本産つりしのぶ」と「常緑種のつりしのぶ」の2種類を自宅で育てています。
「常緑種のつりしのぶ」は暖かくなった3月下旬から白がかった緑の根が伸び始め、ゼンマイ状の芽が10本ほど生え、まさに生命の神秘を感じます。
小さかった芽は2週間ほどするとやわらかな葉を広げながら長く伸びあっという間に大人の仲間入りをしました。
新しい芽が出ていないか探すのが日課となり、癒しと楽しみを与えてくれています。
市原さんから日本産つりしのぶをうまく育てるためにいただいたアドバイスが3つあり、日差しは50%くらいを当てること、玉の土が80%くらい乾いたら水に浸けること、霧吹きでの水かけは毎日行うこと。
元気に育つよう祈りながら毎朝霧吹きをかけていますが、芽吹きが待ち遠しくて仕方ありません。
バイヤー・編集部コメント
つりしのぶ園 園主の市原誠さんとお話していて印象的だったのは
「毎日が学びの連続やね」
「つりしのぶの育て方は一筋縄ではいかない。一つ一つ個性があって研究しながら育てるのが楽しいね」
というお言葉。
たゆまぬ探究心と向上心、そして伝統工芸を絶やしてはならないという熱い想いがつりしのぶを息づかせているのだと感じました。
(文/CHIKAKO・MIKI 写真/CHIKAKO)
編集部 CHIKAKO
1991年、兵庫県姫路市生まれ。おいしいもの、音楽、本が好き。お酒は日本酒が好物。趣味は写真撮影で、週末はだいたいカメラで遊んでいます。地域の熱量をお届けできるように頑張ってまいります。
バイヤー MIKI
1994年生まれ。兵庫県三田市の湖の見える山のふもと育ち。あまいもの、音楽、おしゃべり、お昼寝が好きです。お酒と写真は日々勉強中です!地域のいいところを皆様にお伝えできるよう頑張ってまいります!!