旧武藤山治邸「明治の洋館 JAZZ LIVE」
ノスタルジックな空間でジャズの音色に酔いしれて

旧武藤山治邸は、明治４０年（1907）に武藤山治が舞子に建てた木造２階建ての洋館です。当時は、この建物のほか、厨房などの付属棟、和館、ビリヤードをする棟が併設されていましたが、現在では洋館だけが現存しています。
円形のバルコニーやスレート葺の屋根、下見板張りの外壁が美しい「コロニアル様式」の建物で、設計は、国会議事堂や旧文部省庁舎などを手がけた建築家の大熊喜邦。
武藤山治が亡くなった後、鐘淵紡績株式会社（かねがふちぼうせきかぶしきがいしゃ）に寄贈。「鐘紡舞子倶楽部」という名称で従業員の福利厚生施設に姿を変え、利用されていました。
平成7年（1995）に、この洋館だけが垂水区狩口台に移築。そして、平成19年（2007）に兵庫県立舞子公園へ移築・復元され、平成22年（2010）11月より、一般公開されるようになりました。また、平成23年には、国の登録有形文化財に登録されています。

武藤山治は、慶応3年（1867）岐阜生まれ。慶應義塾では福沢諭吉の下で学んだのち、卒業後にアメリカへ留学。帰国後、三井銀行に入社。翌年、鐘淵紡績株式会社（以下鐘紡）へ入社し、大正10年（1921）には社長に就任。その経営手腕は「中興の祖」と称えられました。大正13年（1924）には衆議院議員に当選。様々な分野で業績を残しました。

明治時代には大変珍しいステンドグラス。階段横に設置され、やわらかな光が差し込みます。

装飾が美しいマントルピース。優雅な暮らしを物語っています。

多くの方にこの洋館の存在を知ってもらい、足を運んでいただこうと、毎月定期的に関西在住のプロミュージシャンによる「明治の洋館 JAZZLIVE」を開催しています。
その理由として、一つは、旧武藤邸が建てられた明治40年（1907）前後、アメリカのニューオーリンズでJAZZが発祥したとされ、歴史的に近いものがあること、二つ目は、鐘紡のクラブハウス時代にも「社交の場」としてここで音楽会やコンサートが開かれていたことが挙げられます。これらの由来により、日本のJAZZ発祥の地、神戸で歴史的にゆかりのある旧武藤邸でのJAZZLIVEを定期開催するようになりました。
2017年から現在まで、室内LIVE160回、野外LIVE20回の合計180回開催。参加人数は、7000人余りと、日本では大変珍しい「定期開催が行われる文化財建物のJAZZLIVE」となっています。

この日は、友膳莉子さん（Vocal）、光岡尚紀さん（Bass）、加納新吾さん（Piano）によるLiveが行われました。
前半は、光岡さんと加納さんによる楽器だけのセッション。ピアノと重低音のベースの掛け合いは、息を呑む緊張感と楽しさの連続。互いにアイコンタクトを取りながら奏でる音は、カッコイイの一言。室内全体に心地よいJazzのサウンドが響き渡りました。
後半は、友膳さんが加わり、しっとりしたムーディーな曲やスタンダードなナンバー、ご自身のアルバムなどの曲など。心に刺さる歌声にすっかり酔いしれ、あっという間の至福なひとときでした。エネルギッシュなLiveは、アンコールまで盛り上がり、最後には大きな拍手に包まれました。
かつて演奏会が繰り広げられていた旧武藤邸が、時を超えて再び音楽を楽しむ社交場として親しまれているのは、非常に感慨深いですね。格式高い広間で聴くJazzは、より一層感動が増しました。
旧武藤邸でのJAZZLIVEはこれからも定期的に開催されます。潮風を感じながら、野外ステージを観るのも心地いいですね。

次回は7月29日（土）に開催！
「篠笛Trio」と題して和楽器と洋楽器のコラボによる新しいスタイルのJAZZ LIVEをお届けします。

Local Prmeからも5席限定でチケットの予約ができます♪詳細はコチラ！！

旧武藤邸は、カフェも併設。JAZZLIVEの前後はもちろん、舞子公園を散歩した後の休憩やワンちゃんも外の芝生まで入れるので、愛犬と一緒にテラス席や芝生席を利用することもできます。

小さいお子さんを連れた家族、釣りや犬の散歩に来ている人など、多くの憩いの場所でもある舞子公園。目の前に広がる海を眺めながら、のんびり過ごすのも素敵ですね。

明石海峡大橋の根元に位置する「舞子海上プロムナード」は、海面からの高さ約47ｍにある回遊式遊歩道です。展望カフェでは、明石海峡を見ながら食事が楽しめます。また、「海上47ｍの丸木橋」では、透明の床から見える海面がスリル満点ですよ。

（ライター ako）