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世界最大級の渦潮求めて鳴門海峡へ「うずしおクルージング」

うずしおクルーズ 鳴門うずしお

淡路島と四国の間にある鳴門海峡で見られる「鳴門の渦潮」。日本国内のみならず、海外からも多くの人が訪れる人気の観光スポットです。特に春と秋は「うずしおの旬」。世界最大といわれる「大うず」が期待できます。
兵庫県側から見るなら、南あわじ市の福良港を発着場とする観光船「うずしおクルーズ」がおすすめ。
鳴門海峡に大きな渦が発生するのはなぜか、いい渦を見るコツなど、実際に体験してきたので紹介しましょう。

世界最大の渦潮が現れる鳴門海峡

渦潮は、いつでもどこにでも発生するわけでは、ありません。
主な条件は、地形と潮の満ち引き。浜辺での潮の満ち引きはわかりやすいですが、鳴門海峡のように幅が1.3Kmしかない特殊な地形では、自然は私たちに面白いものを見せてくれます。その仕組みを簡単に紹介しましょう。

うずしおクルーズ 鳴門大橋とうずしお

水は高いところから低いところに流れます。太平洋側(紀伊水道)の水位があがる満潮になるにつれ、狭い鳴門海峡よりも広い紀淡海峡から大阪湾へ、大阪湾から明石海峡を通って播磨灘へと海水が流れていきます。
太平洋側が満潮から干潮へと変わるのに、およそ6時間。ちょうどその頃、播磨灘では満潮を迎えるため、鳴門海峡を境に満潮と干潮が隣りあわせ状態になります。その水位差は最大で1.5m。

うずしおクルーズ
海に段差ができている。この日の段差は1mくらい
海に段差ができている。この日の段差は1mくらい(撮影日:2023/4/18 大潮の前日)

すると播磨灘から太平洋への潮流が発生。流れの早いところと遅いところができ、その速度差が回転力を生み、渦を巻くのです。

うずしおクルーズ
大うずの日ではなかったが、きれいな渦がいくつも見られた(撮影日:2023/4/18 大潮の前日)
大うずの日ではなかったが、きれいな渦がいくつも見られた(撮影日:2023/4/18 大潮の前日)

太平洋側が満潮で播磨灘側が干潮の時は、逆の潮流になり、これを繰り返しています。水位が同じになるタイミングでは、フラットになり渦も発生しません。

水位の差が大きくなるのは、大潮の時(月2回、満月と新月)。潮流も速くなり、大渦が発生しやすくなります。特に春と秋は渦が大きくなることから「うずしおの旬」と呼ばれ、世界最大といわれる直径20メートルの大渦が期待できます。

渦潮だけではありません。潮流の速さも世界級。世界三大潮流の1つに数えられています。
鳴門海峡の自然に育まれた歴史や文化がこの地にはあり「鳴門の渦潮を世界遺産に」との声が上がっているのも納得です。

うずしおクルーズ

大迫力の自然現象。吹き抜ける風と、波とは違う海の音。ぜひ、いい条件の時に行き、間近で確認したいですよね。

うずしおクルーズは予約がおすすめ!

相手が自然だけに、いつでも渦潮が見られるわけではありません。
せっかく見るなら、大きな渦が発生しやすい時間に行きたいところ。でも、それはいつなのか。「うずしおクルーズ」公式ページを見れば、わかります。
「時刻表」ページに、出航時刻と渦の「期待度」が表示されているので一目瞭然。予約ページへのリンクもあり空席情報まで見られます。 春と秋の渦潮シーズンの週末やGW、夏休みは人気なので、事前予約は必須と考えた方が無難です。

うずしおクルーズ船「日本丸」
うずしおクルーズ船「日本丸」

時刻表に書かれていますが「日本丸」と「咸臨丸」の2種類の観光船があります。
「日本丸」は航海練習帆船の日本丸をモデルにしたレプリカ船。「咸臨丸」は1860年に勝海舟らが太平洋を横断してアメリカに渡った蒸気帆船をモデルにしたもので、2021年3月から2代目の「咸臨丸」が就航しています。

うず渦の大きい時間帯を優先して決めるのがおすすめですが、なかには「咸臨丸」に乗りたいと選ばれる人もいます。今回は、人気の「咸臨丸」に乗船してきましたので、船内の情報も紹介しましょう。

うずしおクルーズ船「咸臨丸」(写真提供:ジョイポート淡路島株式会社)
うずしおクルーズ船「咸臨丸」(写真提供:ジョイポート淡路島株式会社)

さぁ乗船!おすすめの席は?

うずしおクルーズの発着場所にある

発着場所は、南あわじ市の福良港にある「うずしおドーム なないろ館」。1階の受付カウンターで手続きをし、乗船時間を待ちます。出港の30分前までに手続きを済ませましょう。

咸臨丸の定員は500名(コロナ禍では半数にして運行)。船橋甲板、上甲板、第2甲板の3階建てです。席は自由席(最大18名まで貸切ができる「貴賓室」を除く)なので、乗船後に、どこに行くのがいいのか悩むことでしょう。

貸切利用できる貴賓室。中央に大きなテーブルがある
貸切利用できる貴賓室。中央に大きなテーブルがある

船首に向かって右側か左側かは、渦が決まったところに出るわけではないうえ、どちらでも見られるように操船してくれるため、大差はありません。

船橋甲板の様子。船尾(奥)にもベンチがある
船橋甲板の様子。船尾(奥)にもベンチがある

問題はどの甲板からみるか。渦潮を見まわしたいなら高いところにある「船橋甲板」でしょう。オープンデッキなので、ベンチに腰掛けながら潮の香りと風を感じる快適なクルージングが楽しめます。渦潮ポイントへの行き帰りに風景を楽しみたいなら、船橋甲板です。

渦潮の迫力を近くで感じたい、座りたいので客室がある方がいいなら「上甲板」です。
客室は2つあり、座席やモニターがあります。ガイドさんの説明などをしっかり聞きたい人や、揺れが大きかったり、天候が思わしくなかったりすれば、上甲板で客室を利用することをおすすめします。

上甲板にある第1客室
上甲板にある第1客室

バリアフリー仕様なので、車椅子でも乗船可能。特に船首側の第1客室には、大きな窓があり車椅子に座ったままでも外の景色がみられます。多目的トイレもあって、ご年配の方や小さな子どもが利用しやすい甲板です。
デッキに出れば、波しぶきまで感じる近さ。迫力満点の渦潮がすぐ近くです。

最下層の第2甲板には、トイレや座敷、キッズコーナー、授乳室などがあります。外を見るには、小さな丸窓しかありません。しかし、デジタルアトラクションなどがある楽しい場所。この存在を知らずに帰る人も多いかと。もったいないです。

うずしおクルーズ
第2甲板のシアタールーム
第2甲板のシアタールーム

ドローン撮影した渦潮が見られるスクリーンや泳いでいる魚のシルエットにふれると解説が表示されるデジタルアクアリウムなどがあり、渦潮ポイントからの帰りに見ることをおすすめします。ただし、揺れが大きい時は注意しましょう。

デジタルアクアリウム (上段)シルエットになった魚の映像にふれると、(下段)解説が表示される
デジタルアクアリウム (上段)シルエットになった魚の映像にふれると、(下段)解説が表示される

うずしおクルーズへ、出航!

出航時間になるとスタッフが手を振り見送ってくれます。桟橋を離れる時には、水砲が高く打ち上げられます。約1時間のうずしおクルーズの始まりです。

桟橋

向かうのは、鳴門海峡。大鳴門橋が目印です。ガイドさんの案内を聞きながら渦潮ポイントへと向かいます。

気持ちのいいクルージング。天候にもよりますが、福良湾を出るまでは海は穏やか、湾をぬけると風が強くなるなど、別の海になります。

うずしおクルーズ
鳴門うずしお

渦潮ポイントでは、海面の白い泡が集まるところから、次々と渦が生まれてきます。その迫力、きっと記憶に残る光景になるはずです。

渦潮以外の見どころもあります。海面ばかりではなく、上も見ましょう。

うずしおクルーズ
大鳴門橋の下をくぐる
大鳴門橋の下をくぐる

大鳴門橋は、渦潮の発生に影響を与えない多柱基礎工法とよばれる特殊な工法で架けられています。将来、新幹線を含めた鉄道が通るよう作られましたが、実現への道は険しく、自転車道として活用する計画が進められています。

うずしおクルーズ
橋から渦潮観覧ができる大鳴門橋遊歩道「渦の道」に手を振ると、観光客が手を振り返してくれた
橋から渦潮観覧ができる大鳴門橋遊歩道「渦の道」に手を振ると、観光客が手を振り返してくれた

渦潮観覧時の注意点をひとつ。風が強い日は、帽子やマスクなどが飛ばないよう注意しましょう。スマホも落とさないように。取りに行くことは、誰もできませんから。

「うずしおドーム なないろ館」の楽しみ方と周辺情報

うずしおクルーズの発着場所「うずしおドーム なないろ館」は「道の駅 福良」として登録されている観光施設です。観光案内所やレストラン(2階)、お土産品販売所などがあります。

うずしおクルーズ
お土産品販売所

人気のお土産は、淡路大江海苔や名産品の淡路島たまねぎ、鳴門金時(サツマイモ)を使ったお菓子など。なかでも、タマネギスープは試飲ができることもあり、おいしさを知った人が買っていく人気商品です。
他には、淡路島は線香作りが有名で全国シェアの7割を占めています。その技術から生まれたお香は、お土産としても人気。種類の多さに驚いてしまう品ぞろえです。

うずしおクルーズ

子どもたちが喜ぶのは、咸臨丸などのうずしおクルーズオリジナル商品。クルーズの後に船好きになってしまう気持ち、わかります。

屋上の展望台は、福良港の全景が見渡せる絶景ポイント。昔ここで見た美しい夕景は、今も忘れられません。

うずしおクルーズ
屋上展望台から撮影
屋上展望台から撮影

「うずしおドーム なないろ館」の隣りには、無料のうずしお温泉「足湯・うずの湯」があり、名前の通り、足湯が渦を巻いています。
駐車場を挟んだ建物は、国の重要無形文化財の淡路人形浄瑠璃が観られる「阿波人形座」。その隣りには、産直品を扱う「福良マルシェ」があり、淡路のおいしものがいっぱい。イートインコーナーが併設され、購入した刺身やお寿司などが味わえるグルメスポットです。徒歩で行ける範囲に、水産会社が軒を連ねることから呼ばれる「ちりめんロード」があります。しらす干しなど直売品が購入できます。

うずしおクルーズだけではなく、淡路の食材を使ったグルメスポットであり、伝統文化にもふれられ、お土産もいっぱいある福良港は、1日遊べるお出かけスポットです。

うずしおクルーズへのアクセス方法

うずしおクルーズの発着地「うずしおドーム なないろ館」があるのは、淡路島の南端・福良港。
車で行く場合は、神戸淡路鳴門自動車道「淡路南IC」を降り、県道31号で福良港へと向かいます。神戸三宮からの予想時間は約80分。無料駐車場があります。混雑時は係員の指示に従ってください。

バス旅にも向いています。「うずしおドーム なないろ館」から徒歩でたった2分のところに、福良バスターミナルがあります。神姫バスの神戸三宮バスターミナルや高速舞子バス停から「福良(南あわじ)線」に乗れば、約90分(高速舞子からは60分)で到着します。車内には、コンセントや無料Wi-Fiがあり、神戸からのバス旅にピッタリです。

本数は、30分〜1時間おきに運行。「うずしおクルーズ」の出航時間に合わせて選べます。バス料金は片道2,440円。往復なら4,390円。家族連れやグループで出かける場合は、車の方が経済的ですが、一人旅ならバスを利用する方が、お得に楽しめます。

春と秋は大うず、夏は涼しくクルージング、冬は空いているのでゆっくり渦潮観覧。季節を問わず楽しめます。行楽シーズンは、予約をとって出かけましょう。いい渦に出会えますように。

(ライター  塚本隆司)

※本記事は2023年4月時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。

うずしおクルーズ

住所兵庫県南あわじ市福良港 うずしおドームなないろ館
電話番号0799-52-0054
営業時間9時〜17時
定休日営業日・出港時間は公式サイトにて要確認
料金中学生以上2,500円、小学生1,000円、
幼児(小学生未満)大人1名につき1名無料(大人の人数を超えた分は子供料金)
アクセス車 神戸三宮から約80分
バス 神戸三宮バスターミナル(高速舞子バス停経由)〜 
福良バスターミナルまで、から徒歩2分
駐車場あり(無料)
公式サイトhttps://www.uzu-shio.com
SNSFacebook  https://www.facebook.com/uzushiocruise/
Instagram https://www.instagram.com/uzushiocruise/
Twitter  https://twitter.com/uzushiocruise

ライター 塚本 隆司(つかもと たかし)

姫路城を眺めながら生きてきた、脱サラライターです。全国あれこれ旅をして来たけれど、やっぱり地元が1番!“兵庫のよいもの“を探し求めて歩きます。(呑み歩きだろ! とは言わないで笑)読んでくれているみなさまの「行きたい!欲しい!食べたい!」が「行こう!買おう!食べよう!」に心が動いたなら、何よりの幸せです。

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