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築150年の古民家に一目ぼれして西脇へ移住
古民家カフェ「shima305」がオープンしたのは2021年1月。まさにコロナ禍真最中のことでした。京都市内で焼肉店を営んでいた鷹司(たかつかさ)一生(かずお)さんと木綿(ゆう)さんご夫妻は「いずれは静かなところで季節を感じながら暮らしたい」と思っていました。京都から2時間以内くらいの田舎に移住してお店ができたらと、広域で物件を探していましたが、たまたま出合ったこの古民家に一目ぼれ。ここでお店をすることに決めました。「焼肉の次に好きだったのがピザだったので、ピザ屋をすることにしました。うちのはピッツァという本格的なものではなくてピザです。完全独学で始めたんですよ」と一生さん。「今思うとコロナの時だったからこそ、ゆっくり始めることができてよかったのかも」と木綿さんは振り返ります。
築150年ほどの古民家は、天井や梁など残せるものはできるだけ残してリノベーションしました。余りにきれいに改装したので、前の住人の方から感謝されたほど。床の間や違い棚も雰囲気が見事にマッチ。まったく違和感がありません。
店内の一枚板のテーブルは、高知の木材市場で仕入れてきたボセの木で作ったもの。家族で削って足を付け仕上げました。
カウンターも同じく高知から仕入れてきたパープルハートの木。自然素材が見事に古民家の雰囲気となじんでいます。
改築中に屋根裏から出てきた家の図面は、竹を焼いて炭にして書いたもの。なかなかレアなもので、オブジェとして店に飾られ、これも雰囲気づくりに一役買っています。
平日限定のピザランチが人気
人気は、平日限定の『ピザランチ』(ミニスープ・ミニプレート付き)。ピザは、オーソドックスなマルゲリータやジェノベーゼ、4種のチーズのほか、オリジナルの創作ピザ、スイーツピザなど、約15種類から選ぶことができます。
圧倒的にこのメニューが人気というより、どのピザもコンスタントにオーダーが入るそうです。それってどれもおいしいってことですよね。
ペレット窯で焼くピザは、“かりっもちっ”の薄いイタリアンタイプ。今回いただいた『生ハムのPizza』もトマトソースベースで、ベビーリーフ、オニオン、生ハム、チーズ、ブラックペッパーを使ってドレッシングで仕上げたもの。生地もおいしいし、具材とのバランスも絶妙です。
また『りんごのPizza』も美味。こちらシナモンがきいていて冷めてもおいしい、デザートに最適なピザです。「数人で来られて、シェアして食べられる方が多いですね。そのなかにスイーツピザを入れられます」。大人数でいろいろ食べるのが絶対楽しいです。
創作ピザで気になったのは「2つの味のチキンPizza」。ボイルして細かく裂いたチキンを「柚子胡椒+マヨネーズ」と「黒七味+マヨネーズ」を半分ずつトッピングしたもの。一枚で2つの味を楽しめるのも得した気分。次回はこちらをオーダーしたいです。
ランチセットに付く「ミニプレート」は、ちょっとしたサラダの盛り合わせ。これはお腹がいっぱいになって帰ってもらいたいという店主夫妻の思いから。「セットにしたらピザのサイズが小さくなったり、限定メニューしか選べなかったりするお店もありますが、好きなものを自由に選んでほしいので、どれでも選べるように設定しています」と。また、こんなにいろいろなものが急騰しているのに、オープン以来、値段が変わっていないというところにもサービス精神を感じずにいられません。
丹波焼の器や播州織の小物なども雰囲気抜群
提供するピザの器や、取り皿などは、全部作家ものの丹波焼を使っています。一つの窯元に特化するというよりは、いろいろな窯元に行って見て触って気に入ったものを少しずつ集めてきました。
また、木綿さんが手作りした、播州織の布を細長く切って編んだコースターや座布団カバーも、お店の雰囲気にばっちりなじんでいます。
お店のロゴマークを入れてオーダーした播州織の布もステキでしょう。
店の一角では、木綿さんが作った手編みのバッグを販売しています。素材は綿、麻、レーヨン、和紙などさまざま。色や形もさまざまな一点ものばかりでステキですよね。
ミニ乗りさんにも評判の店
こちら、ご夫妻が愛してやまない「オースチンミニバン」です。1969年もののクラシックミニで、もちろん現役選手です。店は国道175号沿いの「嶋交差点」すぐのエネオス南隣にありますが、手前が駐車場で建物は少し奥まっているので、目印になるようにと看板代わりに置き始めたそうです。
すると、ミニクーパー愛好者の「ミニ乗りさん」たちが、よく来店するようになったとか。開店前に集合して駐車場に車を並べ、集合写真を撮ったりすることも。
店内には、ミニクーパーのミニカーや雑誌などもいろいろ並んでいるので、ミニ談義で盛り上がり「ミニ乗りさん」たちにはたまらない空間になっています。
人が人を呼ぶ人気店に
ピザが好き、古民家が好き、器が好き、ミニクーパーが好き、訪れるきっかけはいろいろですが、一度来るとお客さんはこの店のファンになって、また別の人を連れてくるとか。「思っていたよりはるかによかった」「写真よりピザが大きかった」「友達と来たけど今度は家族を連れてきます」などの言葉が励みになるそう。お客さんやご近所の方からは苗字ではなく「shimaさん」と呼ばれるそうですが、「そう呼ばれるのがうれしい」と鷹司夫妻。店名も浸透し、すっかり西脇に馴染んでいます。
ピザの味はもちろん、古民家の良さが伝わる空間や店主夫妻の温かいお人柄なども加味されたステキなお店。夜は1組でも予約があればオープンするそうなので、夜の雰囲気を楽しんでみるのもおすすめです。
※本記事は取材時点の情報です。価格は税込み表示です。商品内容や価格が変更となる場合があります。
shima305
住所 | 兵庫県西脇市嶋305 |
電話番号 | 0795-23-0305 |
営業時間 | 水~日曜11:00~17:00(LO16:00)、木・土曜17:00~22:00(LO21:00 ) ※夜は前営業日の16:00までに予約がなければお休み |
定休日 | 月・火曜(祝日は営業して後日代休) |
アクセス | JR加古川線比延駅または日本へそ公園駅より約1.5km(徒歩15分) 中国自動車道滝野社ICより国道175号を北へ約7.5km(車で11分) |
駐車場 | 8台、臨時駐車場もあり |
HP | https://www.shima305.com/ |
SNS | https://www.instagram.com/shima305_nishiwaki/ |
ライター 歌見(うたみ)
晴れの国・岡山出身で、20代半ばで兵庫県赤穂市に移住。ライターという天職を見つけ、赤穂市内にとどまらず、兵庫五国くまなく回ることができました。五国それぞれに、独特の食文化があり、うまい酒があり…。食いしん坊の私を心身ともに潤してくれます。兵庫県の“間違いない”「食」や「人」や「イイもの」に関わる記事をお届けできたらと思っています。